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迷鳥たち  作者: 馬之群
孵化
9/57

群千鳥

放課後、私はいつものように一人で帰ろうとした。すると、数人の男子高生が行く手を阻んでいる。嫌な予感がする。

「おい、シカトしてんな。」

面倒だな。どうしようか。

「すみませんが、急ぐので。」


「舐めた口利いてんじゃねぇぞ。」

彼らは不意に殴りかかってきた。私はなす術もなく殴られた。人通りが少ないので、警察に通報してくれる人が居るはずもない。死神は助けに来ないだろうし、彼の助け方は殺す以外にない。


「止めて。」

暫くすると攻撃の手が緩まった。

「いい気味よ。少し勉強が出来るからと言って調子に乗って!」

見覚えのある金髪パーマが私を見下ろしている。私は憤りを覚えた。私は努力した結果としてあの成績を維持している。何もしないで勝手に妬んで、剰え他人に頼んで報復するなんて…。


消えればいいのに。こんな奴。私は願った。

「アハハ…。ゲホッ、ゲホ。何よ、これ?」

目と鼻から血が出ている。周囲の男子も同じ症状だ。

「ちょっと、何したの?」

私にも訳が分からない。死神が来たの?姿が見えないけどな。取り敢えずこの隙に逃げないと。私はそこから走り去った。


遂にこの時が来てしまったか。紗里が死神として覚醒しつつある。紗里は四月二日生まれだ。もう少しで死神の成人年齢である十八歳になる。あの子たちは死ななかったようだが、もう紗里がハーフだとバレただろうな。家まで気配が駄々洩れだ。今もオーラが隠せていない。こうなったら僕も学校に行こうかな。


「紗里が傷つけたのですか。」

僕は悪魔に問う。

「そうだ。その前に女子(おなご)の方が彼らに襲われたのだ。」

「彼らは紗里が人外だと気付きましたか。」

「全くもって気付いておらん。」

それは良かった。無駄な殺生をしないで済む。


「ねえ、さっき助けてくれたのって死神?」

「いや、僕だったら死なせちゃったよ。悪魔に頼んだ。紗里に危害を加える者が呪われるように。」

やっぱりそうか。死神の姿が見えなかったし、あの出血は不自然だった。


「僕も一緒に行くよ。」

「え、何処に?」

「学校。」

そう言って死神は骸骨の仮面を着ける。顔が分からなくなった。

昨日まで家から出ようともしなかったのに?変だと思いつつ外に出て、その原因が分かった。何これ?空を天使や死神が埋め尽くしている。みんな暇なの?


「この数を相手にするのはキツイな。結構多い。」

のんびりした話し方だけど、かなり危機的状況じゃない?それに私の隣にいて大丈夫なのかな。すぐに気付かれそう。

「まあすぐに襲われることはないよ。」

「何故そう言い切れるの?」

死神は曖昧に微笑んだ。既に何か対策をしてあるのかな。

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