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・・・なるほど。
・・・どうやらそれは、間違い・・・というか勘違いというか、
とにかく意図とは違っていたという他にありません。
みんなが見ていたのは、興味を注いでいたのは、
僕の作った製作物でもなく、ましてや僕自身でもなく、
そこに登場するキャラクター・・・、いえ「人物」です。
架空の存在のくせに、立派な人格をもった人物。
彼女がいなければ、いまの僕の立場はなかったということです。
僕をここまで引き上げてくれたのはその「人物」だったということ。
例えようのない影響力と存在感。
多くの人の人生に、多少の差こそあれ影響を与えたでしょう。
いま、ようやく気がつきました。
嫉妬の対象が誰かと言う事を。
※
色々なメディアで取り上げられる度に、次々と新しいファンを獲得し、
存在感を増してゆく。みんながミクを肯定しました。
そしてみんなに愛されていきました。
僕はその姿と存在に羨望と、そして憎しみも含んでいたようです。
シンプルな話だったようです。
僕の、強く醜い承認欲求や自己顕示欲は、
決壊したダムが吐き出す、濁った水の奔流のようでした。
ボカロ界隈を欲望のままに汚して、満足しようとしていただけ。
僕が望んだのは、ミクを独占する事ではなく、
僕がミクそのものになりたかったようです。
ミクのようにみんなに知られ、そして愛でられたかった。
僕はミク自身に、憧れと、そして嫉妬という醜い感情を向けていたようです。
普通じゃないかもしれませんが、それほど可笑しな事とも思えません。
ミクに関するニュースに触れた時、
ミクの認知度が上がっていく度に、
あなたの中にも、なんとも言いようがない
複雑な気分が頭をもたげること。
どこか遠くにいってしまうような不安。
それには少なからずの羨望と嫉妬が含まれているはずです。
「自分が一番の理解者なのに」という感情は、
それほど異常なものとは思えません。
そして僕は、それがほんのちょっと強く飛躍して、
ほんのちょっと「変質」していたのでしょう。
そう、それだけのはずです。
それだけ・・・。
他のみんなと同じように、僕もミクを愛しているはずです・・・。
あぁぁ・・・。僕も普通に愛したかった・・・。
つづく




