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イベント等での露出が増えるに連れて、
彼女とコンタクトを試みようとする人達が増えてきました。当然です。
この段階で大切なのは、徹底的に日常性や生活感を排除する事。
それはアイドルプロデュースの基本です。
(もっとも最近のアイドルはファンとの地続き感を売りにしているようですが)
食事や排泄などの生理現象を、容易に想像・連想できてしまうようなことを
目撃されないのはもちろんの事、生活感を微塵も感じさせないよう、
普段の外出にも最大限に気を使わせました。
これまでの活動と矛盾しているかもしれませんが、
あまり長い時間、人目に晒すのも良くはありません。
イベント中も、人とのコミュニケーションを厳しく禁じました。
これも最初から徹底させた制限の一つです。
納得してくれていたとはいえ、流石にとても難儀なことでした。
でも彼女のためです。厳守させました。
イベント終了後にみせる、彼女の不満と悲しみを含んだ表情は痛々しいものでした。
しつこいようですが「気安さ」や「等身大」を売りにするような事は厳禁なのです。
今はとにかく、我慢をしてもらうしかありません。
※
だけど彼女の苦労は、確かに実を結びつつあるようです。
ここまでは望み通りに事が運んでいます。あまりに順調で不安になるくらいです。
何事も基礎が大切です。そして、それを築き上げる事が何よりも難しいのです。
だけどそれさえどうにかなれば、後はわりとシンプルに運んでいくはずです。
今回の場合、彼女に神秘的で虚な存在であるという
キャラクター付けをおこなうことが目的です。
ネットでのファンの反応を見る限りでは、
それは少しずつ、でも確実に組み上げられているように見えます。
イベントでの限られた場所・僅かな時間にしか姿を現さず、
ネット上にも情報は少ない。
ただ見ることしかできない、コミュニケーションできないという状況は、
肉体が滲ませる「人」としての存在感を薄めて不安定なものにします。
そしてそれは、本来の意味でのアイドル―――
神性を帯びた「偶像」の条件を満足させるにとても大切な要素の一つです。
色々なコミュニティやSNS、ツイートなどでの反応を見る限り、
狙い通り今では、その彼女のある意味での「匿名性」が、
目の前にいるのに何も知ることができないという状況が、
そういったことが作用しあって、誰もが彼女に不思議な感覚を、
人間としての存在感の弱さや儚さを、徐々に感じ始めているようでした。
次の段階では、それをもっともっと強固なものにして、
その上で更に「神性」といえるようなものを与えていかなくてはなりません。
つづく




