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あの「嫉妬」というネガティブな感情に囚われてから、

毎日が不愉快で仕方ありません。

それからというもの僕は、ボーカロイドに関する情報を

全てシャットアウトするようになりました。

少し距離をとった方が良いと考えたのです。

動画なんてまったく見ていられません。

ニュースサイトなんてもってのほかです。

ボーカロイドに関する技術情報の類もいけません。

とにかく、ボーカロイドを、特にミクを連想させるものは全て、

なるべく触れないようにしました。

なぜだかは分かりませんが、それらの情報は心を乱します。

ソワソワして居ても立ってもいられません。

僕は、ほんとうに情けないことですが、

「自分が知らないことは、存在しない」という、

何かのアニメだったかドラマだったか・・・

とにかくその作中で登場したセリフを自分に強く言い聞かせる事で

どうにか心の平静を保とうとしたのです。

余計な情報を知らなければ、ボーカロイドの、ミクに関する事は全部、

自分の頭の中だけで完結できる。

何も知らないのだから、焦りも嫉妬も、怒りも感じる事はないはずです。

この嫌な気分も消えてなくなるのです。

これまでの眩暈を覚えるような劇的で騒々しい日々とは変わって、

緩やかな日常が、誰にも邪魔されない、

静かな僕らの暮らしがおとずれるはずです。

最初からこうしていれば良かったのでしょう・・・。

そうすればこんなに心の平穏を乱される事はなかったはずです。

最初からこうしていれば良かった・・・。


※


ほんとうに、そのように出来ればどれだけ幸せでしょうか。

今さら頭の中だけで全てを満足させようだなんて、

常人にはとてもとても出来ない、夢を見ているような話です。

当然ながら、僕は神様でも仏様でも超人でもエスパーでもヒーローでも

魔法使いでもないし、アニメの主人公みたいに隠れた力を秘めてもいません。

激しい飢餓感をかき立てる、どうしようもなく収まりのつかない欲求が

心の内で大きくなる事を、僕はよく理解していました。

それは、自分に嘘をついて誤魔化すということができないほどに、

大きな影響を持つ存在へと成長していました。




つづく


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