お金になる仕事
俺たちは姫様と別れたあとギルドに魔物の部位の買取をしてもらいに来ていた。
「一角ウサギの角が二十本ですね合計で銅貨四十枚となります、ご確認下さい」
ちなみにこの世界でのお金の単位換算はこうだ。銅貨五十枚で銀貨一枚、銀貨千枚で金貨一枚、金貨百枚で白金貨一枚だ。
何故銅貨だけ五十枚で銀貨一枚なのかと言うと庶民が多く使うためまとめやすくしているそうだ。
そして白金貨は大商人や貴族しかお目にかかれない貴重な貨幣だ。
「そういえばビッグスライムを倒したんですが、あれはすごいですね、剣が全く通りませんでしたよ」
「ビッグスライムを倒したんですか!?あれはDランクの魔物ですよ!よく倒せましたね!まぁギルドとしては討伐しても水になるだけのスライムは買取出来ないのであまり関係ないんですが、あの魔物は弱ってる他の魔物を取り込むから強くなりやすいんですよね」
ちなみに今の俺のレベルが十二でミルが十四だ。ビッグスライムを倒したからミルの方がレベルが高いんだろう。
初心者はレベルが上がりやすい。だからこんなにすぐレベルが上がるんだ。
「だけどあのビックスライム普通よりデカかったんですよ。どうしてか分かりますか?」
ミルが気になっていた様で受付嬢に聞く。
「分かりません。もしかしたら他の魔物をたくさん取り込んだせいなのかもしれません」
そんなものなのか?とミルがまだ疑っているので何故かと聞くことにした。
「なんでそんなに疑ってるんだ?」
「なんだか少し邪悪なオーラがしたような気がして……気のせいならいいんだけど」
まだミルは気になっているようだったが俺は受付嬢から銅貨を受け取ってギルドの上へと向かった。
ギルドの上は居住スペースとなっていて冒険者はここに格安で泊めてもらえるようになっている。
なんとその額一部屋銅貨十枚だ。普通の宿屋に泊まると安い部屋でも一部屋三十枚ぐらい取られるのだからとんでも無く安い。
受付嬢曰く初心者冒険者が凍え死んだりしないように国からギルドに支援金が下りるらしい。
福利厚生がしっかりとしたいい国だ。
部屋はミルと同じ部屋にしている。
俺は色々問題があるだろ、と言ったのだがミルがお金が勿体無いからと同じ部屋にしようと言ってきたのだ。
結局俺が折れて同じ部屋で暮らすことになった。
俺は妹と姉がいて、ちょくちょく人の布団の中に入ってくることがあったので別に良かったのだが、人の部屋に入ってくる神経は今でもわからん。
ベッドは二つあったので、もちろんミルとは違う布団で寝いてる。
別にそんなに残念じゃない。
次の朝。
「ミルー、起きてるか?朝ご飯食べよう」
一応ギルドに借りた仕切りを立てているのでミルの様子はこちらからは分からない。
「うん、分かった。ちょっと待ってて」
「了解」
最初に銅の剣をもらったけどそれ以外の鎧とかは全く買ってないな。
服を売ったときのお金を足しても今のお金だけじゃそんなに立派な物は買えないし……何か金になるいい依頼はないかな?
「お待たせ、じゃあ下に行こうか」
ギルドには酒場が付いていてここでは軽食程度ならあるので朝ご飯はここで食べるようにしている。
一番安いパンと日替わりスープを毎朝頼むようにしている。ミルも同じ物だ。
ここで俺は朝考えていたことを話すことにした。
「俺たち剣とか杖の得物はあるが、それも弱いし、鎧とかの防具がないから買っておきたいんだ。だからそのために今日はもう少しお金をためたいから後で一緒に掲示板を見に行こう」
魔物をただ狩るよりも依頼を受けた方が貰える金額は大きいのだ。
「わかった、朝ご飯食べたら掲示板に行ってみよう」
こんなことを話しているとパンとスープが運ばれてきた。
それをさっさと食べると俺たちは掲示板に向かった。
掲示板前にはそれほど人はいなかった。
冒険者は基本的に朝早くから出かける事が多いというのがこの世界の常識らしい。
つまり俺たちはすこし遅いのだ。
今回は防具を買いたい為、お金になる依頼をやりたい。
「何か金になる良い仕事はないかな」
「……これなんてどう?新しく発見されたダンジョンの探索って依頼なんだけど」
「報酬はいくらなんだ?」
「銀貨三枚でダンジョンで見つけた物は全部貰っていいんだって!結構好条件じゃない?」
俺たちが普段行う依頼は銅貨二十枚くらいなので、それに比べれば破格の報酬だ。
「なぁ、ミル、探索って具体的にどうやってやれば良いんだ?やっぱり大変なのか?」
「確かに大変だよ。でもね、この間、言った残された天使的な力を使えば少しは楽になるよ!」
「その天使的な力って具体的にはなんなんだ?」
「敵感知だよ。邪悪な気配がなんとなくで分かるんだよ。魔物は暗闇でもある程度見えるんだけど、人間はそうじゃない。だから敵感知スキルなんてのもあるんだよ」
ふむ、敵感知か。でもそうなると罠感知とか暗視とかもあった方が良いよな。
そんな事を考えているとカーボーイの様な帽子をかぶった西部にいそうなお姉さんが歩いてきた。
「君たちダンジョンに行くんでしょ?『暗視』とかに困ってたりするんじゃないの?私がスキルを教えてあげようか?」
「ありがとうございます。それで何をすれば教えて頂けますか?」
こういう時はだいたい対価を払うのが普通だよな、漫画とかでは。
「話が早いわねぇ、と言いたいところだけどここは初心者の街よ。助け合うのがここのルール。無償とまでは言わないけど酒一杯で教えるわ。夜にならないと『暗視』の練習は難しいし、それまではダンジョンの注意点とかを教えるわ。結構あって時間かかるから暇にはならないわ」
お姉さんはそう言って酒場の方に歩いて行った。
俺たちは一応ダンジョン探索の依頼を受けてお姉さんについて行くことにした。
この度は「異世界転生したのに魔王がいません!」を読んで頂きありがとうございます。
趣味で初めて書く小説ですので、拙い部分がかなりあると思います。
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