2章 第22話:エンジョイ&エキサイティング
やだ…なにこれ… とか思わないであげてほしいな(はぁと
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サウスイースト ユーミン遊牧民国領
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騎士国から南西に草原地帯があり、そこにはユーミン遊牧民国という略奪国家が存在していた。
彼らは、馬に乗り、国や村から略奪し、男も女も容赦なく奴隷にし、虐殺もする。
長らくの間、平静を保っていた遊牧民国であったが、その状況は変わっていた。
遊牧民国の族長ギスヴァーンは一通の報告書を諜報員から受け取り、読む。
「騎士国で騎士王が戦死し、魔族に敗北して約半数の戦力が失われたか。これをどう思う?」
「族長、今こそ騎士国に攻め込む時でしょう。ここで富を蓄え、いずれ来る南帝国との決戦に備えねばなりますまい」
そう、参謀長ボルシェビキーンは言うのであった。
略奪国家は専ら農耕民族への襲撃によって生計を立てることになる。
そして、豊富な鉱山資源や農産物を保有する騎士国は絶好の獲物となるのだ。
「うむ、守りの要である騎士王が死んだ以上、奴らは所詮烏合の衆でしかない」
「既に手をうっております。騎士国内部にスパイを潜り込ませ、腐敗した領主に賄賂を握らせ、分断工作を行っております」
「ふふふ…… 大変結構でよろしい。それでは戦争といこうか」
「ふふふ…… 先々代から引継ぎ続けて150年…長らく雌伏の時を待っていた甲斐がありましたね。すぐに演説の用意を致します。」
「任せたぞ。これより始まるのは歓喜の宴だ」
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そして、数日後、族長ギスヴァーンの演説が行われることになった。
櫓の上に登ったギスヴァーンは数千といる部族を見下ろす。
幾千の男共は武器を取り、ヘラヘラと嗤い、今か今かと待ちわびている様子だった。
「諸君、これより我々はあの平和ボケした騎士国に攻めこむ!」
「「「おおおおおおおおおお!」」」
それは、狂気と狂喜と熱気に満ちた万雷の怒号。
ある者は逃げる者共を後ろから一方的に切り殺す様を夢想し、
ある者は命乞いをする者、女や子供に最高の屈辱を与えてやることを想像し、
ある者は両手に戦利品を抱え、崩れ落ちた者共の嘆きを賛美歌とすることに希望を持った。
「我々の喜びは敵を打ち負かし、敵の持つ物を全て奪い、血の涙を流し尽くすまで完膚なき程叩きのめしてやる事だ!」
「「「おおおおおおおおおお!」」」
「馬に乗り、矢をかけ、家を燃やし、間抜けどもの妻や娘を己の腕に抱くのだ!」
「「「おおおおおおおおおおお!」」」
「エンジョイ&エキサイティング!」
「「「エンジョイ&エキサイティング!」」」
「奴らの血で我らの喉を潤し、奴らの汗で我らの富を築き、奴らの涙を嘲笑ってやるのだ!」
「「「おおおおおおおおおおおお!」」」
「男は鉱山奴隷にして使い潰せ」
「「「女は性奴隷にして犯し尽くせ!!!」」」
「エンジョイ&エキサイティング」
「「「エンジョイ&エキサイティング」」」
「抵抗する者は」
「「「 皆殺しだ!!!」」」
「エンジョイ&エキサイティング」
「「「エンジョイ&エキサイティング!!!」」」
「「「おおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」
宴が始まり、肉を食らい、酒に溺れ、叫び、火を囲む者共。
それは獣よりも血に餓え、畜生よりも強欲に、暴力に対して正直だった。
彼らは人。古来より受け継ぎし本能に忠実なだけの人々だった。
狂った男共の様子をどこか冷めた目で見る部族の女達がいるのであった。
「男共って野蛮よねぇ」
「ほんとよねぇ」
…これより数日後、ユーミン遊牧民国はトイナ騎士国に宣戦布告することになる。
それは、一方的な大虐殺の始まりであった。
戦争理由は少々雑ですけど。まぁ、中世なんだしこんなもんでしょう。
弱ってしまえば横からハイエナに食らいつかれる。それだけの話。
リアル歴史にある大陸を半ば統一した偉人だってこのセリフを言ったのです。
別に珍しい事でもなんでもないない。
さぁ皆でエンジョイアンドエキサイティング!
サクーシャ的にモヒカンキャラを書くのが一番楽しい(はぁと
…またデモナちゃんの頭痛の種が増えることになったよ!やったー!




