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まおー様は絶望の未来を歩む  作者: 粘々寝
2章:姫騎士レイディアナ
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2章 第23話:デモナとヘレナ

伏線でも何でもないし、冗長なだけの話ではあるんですが、

ヒロイン同士で絡みが一切ないと今後不味い事になるので追加した話。


飛ばしていきなり好感度中の状態からでもいいんですけど。

何かいきなりフレンドリーに接しててもアレだしって事で。はい。

ーーーーーーーーーーーーーーー…

獣魔領 魔城シュールストレミング

ーーーーーーーーーーーーーーー…


 魔城のサロンで一人、机に顔を伏せて溜息をついている女性魔族が居た。

 獣人要塞での略奪部隊を指揮していた姫騎士デモナである。

 漆黒の全身鎧は今日はつけていない。

 リボンやボタン等の装飾のついた女性魔族向けのドレススカート姿である。

 ただ、ぶかぶかに垂れ下がった胸部の生地には哀愁が漂っていた。


 獣人要塞では略奪を行わなければ食料は殆ど手に入らず、

 それもほぼ野宿同然の生活を強いられる。

 眷族化して力を手にしたとはいえ、

 慣れない過酷な生活は彼女に十二分の疲労を蓄積させていたのだ。

 本来は、週1~2の頻度で交代でやるような任務である。


 それでも意地で4日間は気丈に振舞ってきた彼女であったが、

 後続のデーモンナイトが見るにみかねて魔城に連れ帰ったのであった。

 なお、かつてのライノスウォーロードは1週間…どころか毎日休みなしで働いていた。


「はぁ……何をやっているんだろうな。私は…… 」

「あれ、確かマオの眷族の子、デモナ、だよね。どうかしたの?」

「うゎ…!?」


 突如背後から一人の魔族の娘に鈴音のような声をかけられる。先代魔王の娘へレナである。

 物憂げに俯いている姫騎士の事が気になったのであった。


 ただ、姫騎士の方はヘレナの放つ異様な存在感に気圧されてしまっていた。

 それは生物としての格の違い実感させられること。

 上裸の男も大概であったがそれとは全く桁が違うのだ。何もかも。


 油断して失礼な態度を取ってしまった事を後悔し、

 姫騎士はビシっとした態度で謝罪する。

 

「これは、ヘレナ殿、お恥ずかしい所をお見せして申し訳ございません」

「いいの、そんなに畏まらないで。今の私なんてちーっとも偉くないんだし。ね、それでどうしたの?」

「ええ、その、少しばかし仕事を続けられる自信が持てなくなってしまいまして…… 」

「ふぅ~ん。でも女の子なのにお仕事しているならそれだけでも全然凄いと思うけどな~ 私なんてな~んにもしてないもの」


 先代魔王の娘であるヘレナは国賓待遇なので勤労の義務は一切ない。

 なので勝手気ままに城の中を歩き回っているのだ。

 一方まおー様はといえば玉座の間に居ない時は大抵外に出ていたり、

 図書室に篭っていたりする。なので、ヘレナも図書室によく向かってたりする。


「いえ… こんな事ではいけないのです。もっと私がしっかり任務をこなさないと」


 今の姫騎士は自責の念と脅迫観念で塗りつぶされそうになっていたのだ。

 自分が休んでいる間に犠牲者は増え続ける。

 獣人も騎士国の民も。だから休んでいる暇などないのだと。


「なんか、最近のマオみたいだね。いっつも張り詰めてるの」

「魔王が?」

「うん、勇者が現れてからかな。その日からずっと」


 勇者……"教会"のお告げによれば、魔王を滅ぼす者。

 世界に救いと奇跡をもたらす者、神の代弁者であり執行者。


「勇者は、既に現れているのですか」

「うん、マオがもう一回やっつけちゃったけどね」

「な…!?」

 

 勇者の死。それは姫騎士に衝撃を与える事実ではあった。

 それは、希望は潰えているということ。


「でもね、勇者って何度でも生き返っちゃうから」

「そんな事がありえるのですか」


「うん、私のおとーさんもね。勇者を何度も何度も何度もやっつけたけど。何度も生き返ってきたから。そのうち倒されちゃったんだ」


 勇者は何度でも生き返る。何度でも、何度でも、何度でも。

 魔王を殺す世界の希望として。


「……嫌な事を聞いてしまった。申し訳ない」

「もう、終わった事だし…… 別にいいよ。それでマオが勇者にライノスウォーロードをけしかけてから、もうずっと張り詰めてるんだ」


 獣人要塞からライノスウォーロードが消えた理由、それは勇者が誕生した事だった。

 彼が抜けた事で狂った歯車は、騎士国と獣人両方に多大な悲劇をもたらした。

 そして、獣人との戦争が終わった後も悲劇は拡大する一方であった。


 姫騎士は頭の奥がチリチリと痛む感覚を覚えたのだった。


「一つ、聞いてもいいだろうか」

「なぁに?」

「魔王は、勇者が現れる前は何をしていたのだろうか」

「な~んにもしてないよ。裏山に走りに行ったりたまーに暇そうに本読んだりしてるだけ。だから一緒におしゃべりとかして時間潰してるの。最近は急がしそうにしてて構ってくれなくなっちゃったけど」


 "もしも"、勇者が出現していなければ、騎士国は獣人要塞を攻める事はなかった。

 それは、騎士王は死なず、姫騎士は堕ちず、

 民への略奪は激化せず、獣人達も死ぬこともなかったということ。

 だが、"もしも"、という事は起こりえるはずもなく。


 虫唾が走るとはこの事なのだろう。と姫騎士は思ったのだった。

 勇者が神の意志なのだとすれば、神に全力で嫌われた国。

 それが騎士国という国だった。


「貴女は、勇者の事をどう思ってる」

「嫌い。何度だってこの手で直接消してやりたい。おとーさんも城の皆も、大切なモノは皆壊されていったもの。今だって、マオを……」


 そう言い放つ魔族の娘にあったもの。それは、怒り。

 普段は穏やかな表情をしていた彼女であったが、その時は憎悪で顔を歪ませるのであった。

 まおー様が見たら恐らく悲しむであろう顔なのだった。


「……そうだな。私も、嫌いだ」


「ねぇ」「ん?」

「私達気が合いそうだし。友達になりましょう。本当のところ、気軽に話せる女の子の友達がずぅーっと居なくて寂しかったんだ」


 薄暗い共通点で友達になるというの悲しい話だと姫騎士は思った。

 こんなご時世やご身分でなければ、もっと明るい話題で話せたのではないだろうか。


「私でよければ…… そういえば同年代の女性と話す機会はあんまりなかったな」


 否、実の所同年代ではない。ヘレナの方が数倍年上であったりする。


 姫騎士は男の真似事ばかりするので、必然的に男臭い現場にばかりにいた。

 社交界は煩わしかったので積極的に出てこなかった。

 特にドレスやヒラヒラした服を着るのは大嫌いだったりする。大体馬鹿にされるから。


「ねぇ、貴女の国の事とか色々教えて欲しいな」

「そうだな…」


 そうして、魔族の事とか騎士国の事とかお互いに色々話をしたりするのであった。

 姫騎士と魔王の娘はちょっぴりだけ仲良くなったのだった。

神に背きし剣の極意、その目で見るがいい…闇の剣!

とかそのうちデモナちゃんが言い出しそうな勢いですけど。


暗黒騎士(ダークナイト)化していく様を楽しんで頂ければ。と。


名前が出てくる度にさり気無くライノスウォーロードがどんどんやべー奴化してきてますが、気にしない。

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まおー様の対勇者戦線の設定

ネタバレありだけど設定気になったらこっち見てね

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