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まおー様は絶望の未来を歩む  作者: 粘々寝
2章:姫騎士レイディアナ
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2章 第1話:獣人と騎士

当初は8話くらいのシェイハなテンポで終わらせるつもりだったのに30話オーバーに。


メインはレイディアナちゃんのお話になります。

まおー様は添えるだけ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…

イーストエンドポイント周辺トイナ騎士国領

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…

 

 イーストエンドポイントのとある農村


 外壁は崩されており、焼き討ちで全焼した建物の燃え跡にはまだ煙が残っている。

 辺りには逃げ遅れた村人の死体と討伐されたオークの死体が入り混じっており、

 凄惨たる状態となっていた。

 

 姫騎士は剣に付いた血錆びを拭いながら、死体の山を見据えて眉をひそめる。

 このような惨状を作り出したケダモノ共への怒りから。

 「……酷い光景だな」


 そこへ事後処理を終えた一人の青年の騎士が駆け寄ってくる。


「レイディアナ姫のような方がが下賤なオーク共の相手などせずとも良かったのではないでしょうか」


「私も騎士なのだ、父、騎士王と同じようにトイナ領民の平和のために戦うさ。姫扱いは止めてくれ」


「これは失礼しました。しかし、最近の獣人共の動きは妙ですね。ただ数を集めて人間の集落を直接襲う事はしてこなかったと思うのですが」


「そうだな、ライノスウォーロードの出現報告がここ数週間の間途絶えている事が影響しているのかもしれない。このケダモノ共からは理性の欠片も感じない」


 村人の避難誘導を終えた老年の騎士も駆け寄ってきた。


「ご報告致します。逃げ遅れて犠牲となった村人達の数は大よそ3割程となっており、助かった者達の中でもケガを負ってる者が多数いるようです。戦闘により騎士にも数名被害が出ております。」


「そうか、随分と被害がでてしまったようだな。ケダモノ共め…… 一先ず私と数名は被害状況を本国に報告するために一度戻ろう。残りの騎士隊は付近の村まで村人を護送させろ」


「はっ他の者達にも命令を伝えてまいります。レイディアナ姫」


「任せた」


 指令を受けて男の騎士二人は散り散りに去って行き、

 姫騎士は再び死体の山を見据える。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…


 姫騎士一行はトイナ騎士国の城下町入り口の門まで進むと、

 中から檻を引く馬車が外に出ていくのを見かける。

 檻の中にはみすぼらしい恰好の人々が見えた。

 その様子を姫騎士は訝しんだ。


「なぁ、あの馬車は何なのか分かるか。我国では奴隷売買は禁止していたと思うのだが」


 同行していた老年の騎士は馬車について知っている様子だった。


「レイディアナ姫、あれは流行り病患者の輸送馬車ですね。一度感染してしまうと助からない上に、伝染するので、感染者は隔離された村に馬車で輸送されるのですよ。治療法も見つかってはいないようです」


「獣人共の相手だけでも大変だというのに、病まで蔓延っているとは…… 由々しき事態だな」


「ええ、悲劇的な話です。伝承によると勇者の使う魔法ならば治せるそうですが、私達にはどうにも出来ないことなのです」


「何故、神はそのような魔法を勇者にだけ使えるようにしたのだろうな」


「それは、神のみぞ知る事でしょうな」

「そうだな…」


 姫騎士は輸送されていく檻を見送っていると、

 檻の中に居る子供と目があった。

 目には光が宿っておらず、冥い色をしていた。

 よく見ると皮膚が変色しており、着ているぼろきれには吐血の跡が付着していた。


 まだ年若い者達があのような檻に閉じ込められるのは不憫だと。姫騎士は思った。

 姫騎士は一刻も早く、国を平和にしなければならないと思った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…


 イーストエンドポイント周辺にはトイナ騎士国がある。その国の領地は魔族領のゴブリン領及びオーク領と隣接していた。ゴブリンやオーク等の獣人は周辺の村々で略奪を働いて人を襲うため、トイナ騎士国は騎士を中心とする対魔族部隊を編成して獣人を掃討しているのだ。幸い、オークやゴブリンはそれ程強い存在でもなく、騎士であるならば簡単に蹴散す事が出来る程度の存在なのであった。ならばオークやゴブリン等滅ぼしてしまえばいいのかといえば、それが出来ない理由がある。


獣人要塞


 オークやゴブリン領とトイナ国領との丁度境に位置するこの要塞を魔将・ライノスウォーロードが防衛していたためである。彼が獣人達を指揮することで多様な戦術が使用され、騎士達は苦戦を強いられることになるのだ。要塞自体も非常に堅牢であり、要塞内部に攻め込むには騎士の得意な騎兵戦術も封じられてしまうために未だに攻略するに至ってはいない。


 しかし、突如ライノスウォーロードが獣人要塞から姿を消すことになる。

 姿が消えてから1週間の間は獣人達に動きはなかった。


 その後、オーク達が狂ったかのように近場の村々を襲い始めたのだ。



 トイナ国城内では騎士階級の者達で執り行われる円卓会議が行われていた。

 最も偉そうな席には騎士王、その隣の席には姫騎士、

 それからテーブルを囲うように騎士達が椅子にかけていた。


「此度の獣人共の大規模な襲撃について何か手掛かりのある者はおるか」


「発言してもよろしいでしょうか?」

「構わぬ、レイディアナよ」


「はっ、恐らくは獣人要塞から魔将・ライノスウォーロードの消息が途絶えている事に何か原因があると思われます。目撃報告が途絶えてから1週間の間までは獣人達の動きはありませんでした。恐らく、備蓄の食糧が尽きたので付近の村の収奪を企てたのかと思います」


「ふむ、指揮する者が不在のため、オーク達は手当たり次第に欲望のまま村を襲っているということか」


「恐らくそうだと思います。王よ。このままでは獣人達に付近の集落が手当たり次第に滅ぼされてしまいます。何か手を打つべきです」


 老年の騎士と青年の騎士は相槌を打ちながら姫騎士の話を聞いている。

 それにならい、追従するように相槌を打つ者が増えていく。


「今ならばライノスウォーロードも獣人要塞に不在で獣人共も統制が取れていない、か。ならばこちらから討って出て、獣人要塞を陥落させることに賛成の者は挙手せよ。また反対の意見がある者は発言を許可する」


 一斉に手が挙げられる。反対の意見は出なかった。


「よかろう。我々トイナ騎士達があのケダモノ共を殲滅し、付近の平和を取り戻すのだ」

「「「おおおおおお!」」」


 歓声が上がり、会場は熱気に包まれる。

 のちに、獣人要塞をめぐり、トイナ騎士国と獣人との間に決戦が繰り広げられる事になる。

レイディアナちゃんの騎士国内での生活描写が全然足りてなかった。

特に世界観も心理描写も色々ガバガバなのでもう少し何とかしようと思う。

また、新訳になるかもしれない。でも途中投稿で加筆すると更新扱いにならない。悲C。


せめて序盤の導入部数話は1章の新訳と過去編が終わったら直そう……

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まおー様の対勇者戦線の設定

ネタバレありだけど設定気になったらこっち見てね

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