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エピローグ:魔王に拾われた少女:後編

>>魔王エディプスの邸宅――


 主人が女性なだけに彼女が好きな青拾い薔薇の花で囲まれたベル様の魔王城とは違い、エディプスの邸宅は同じ魔王だというのに実に質素である。

 家の多くは魔界の葛で覆われており壁面が見える箇所はまばらだ。

 その葛が窓に寄り付かないのは窓枠が金属でできているからだろう。

 悪く言えば派手さなのない、良く言えば落ち着いた風情の邸宅をソフィーは気に入っていた。


 その正面にある庭は、つい先日まではソフィーが植えた花なども咲いていた。

 だがエディプス一人が住むようになってからは手入れがされるわけもなく。

 それら草葉は今や雑草のように生い茂るのみ。

 ソフィーはそんな雑草を魔術で刈り揃えると、中庭に大きな魔法陣を杖で描く。


 それは魔法陣だ。あのメアリの地下牢で描いていたもである。

 何度も書いたそれをソフィーが書き間違えるわけもなく、その術は成功する。


 召喚対象はソフィーの隣に立つ義父だ。

 義父はソフィーにうなづくと、その魔法陣に身を乗り出した。


(こんな近距離の召喚なんて、初めて召喚術を使ったとき以来かしら……)


 どことなく真剣な表情のソフィー。それもそのはず、今回はただ召喚しただけでは終わらないのだ。

 義父である魔王エディプスに対し召喚後の契約も行わなければならない。


 ソフィー学園卒業の証であるマントとローブを学生服の上に着ている。

 その色は彼女の使う紫式と同じヴァイオレットだ。

 そう、彼女は義父からの卒業試験として、この試練に挑んでいる。


 ソフィーは小刀を取り出す。

 そしてその刃を右手人差し指に当てた。


(っ――)


 ソフィーの身体に小さな痛みが走り、押し当てられた指にはぷっくりとした血溜まりの玉が出来た。

 その血の滴る指を父の口元に差し出す。


「お父さん。私と契約しましょう。契約の内容はそう――『私を貴方のお嫁さんにしてくれませんか?』」

「あぁもちろん。ソフィーが死ぬか俺が滅びるか――、互いにその道をたがえるまで――」


 義父はその差し出されたソフィーの右手手首をつかんだ。

 そして反対の手でソフィーの顎に手をかける。


「その契約方法を教えたのは俺だが、恋人同士でやるなら少しそれは無粋だな――」


 義父は右手を掴んだまま、その指をソフィーの唇に持っていきぬめつける。

 それは即席の口紅だ。

 ソフィーの唇は赤く濡れた。


「恰好もよろしくないな。卒業式の服も悪くは無いんだが、そんな契約ならばこうだ――」


 義父が指を弾く。

 それだけでソフィーの服は砕け散った。

 ソフィーは一瞬で全裸にしてしまう。

 一瞬で顔が真っ赤に火照るソフィー。

 だが、次の瞬間、眩しい光がソフィーを覆うと、眩しい光は純白のウェディングドレスに変化した。


「こ、これは――」

 ソフィーの顔はさらに耳まで赤くなった。


「あぁ、可愛いよソフィー。なんて可愛い生き物なんだろう。ニンゲンでもこんな可愛い娘はいない。愛している――。契約(けっこん)しよう」


 ソフィーの顔と義父と顔が触れ合うほどに近づき、重なる。


 魔界の空は雲一つない快晴で――

 唇から漏れた雫がウェディングドレスに赤い染みをつくった。



 ・ ・ ・ ・ ・ ・

 ・ ・ ・

 ・ ・



>>>とある世界のハザマで――<<<

MCーA:(ヒロイン役)紫式の魔女ことサー・アーサー・ソフィー・ヴァイオレッタ

MC-B:(告白されなくてもゼ〇シィは買っていいだろうか?)暴食の魔王ベル様


ベルさま「はーぃ。後編なんでここからソフィーとエディ―のトゥルーラブルートのえっちが始まるわけですが、当然のように一般ですのでカットざます。おーほほほ。ウェディングシーンってばいいよね。ケーキに斬撃を入れたり、ブーケを女に投げつけたり。あぁ、しかしトゥルーラブか、どんなにソフィーちゃん乱れちゃうんでしょう」


ソフィー「えー。なんのことか分からなーぃ」


ベルさま「なにをカマトトぶってんのかしら。この本編のエロ発生器が」


ソフィー「しかし、前編と後編と別れてだいたい後半がエロ―シーンなんでしょう。エロエロすぎない?」


ベルさま「確かに、我がバイブルによると読者にはエロシーン5割マシに見えるとあるから、前後編で半分がエロだと終始エロエロに見えたりするのかもしれない。解せぬ。超エロいところはすべてカットしたハズなのに」


ソフィー「そこらへんはご想像にお任せするとしてですね。きゃっ。きゃっ」


ベルさま「さぁ後は『ソフィーちゃんのニンゲン辞めよう!のコーナー』以外は全終了ですね。お疲れ様です! はい終了~♪」


ソフィー「って、ベル様! なんで私がいきなりニンゲン辞めないといけなのよ!」


ベルさま「えー。だってエディと契約という名の結婚をするんでしょう? エディって私と同じ魔王じゃん。だからほぼ寿命が無限大よ? たとえソフィーがエディと永遠の愛を誓っても、ニンゲンのままの貴方なら百年もすればしわくちゃなおばあちゃんになっちゃうじゃない。そのときエディはまだ若々しい青年で――。ほらソフィーはそれに耐えられる?」


ソフィー「そ、そうかな? そうなのかな?」


ベルさま「そのうち子供ができて、『お父さんを殺して私がお父さんのお嫁さんになる』とか言っちゃう娘が登場しちゃうんだねきっと」


ソフィー「そ、それはちょっと……。でもなんだか想像でできちゃう私が怖い」


ベルさま「だからよ。永遠の美貌を持って若さに対抗しましょう! みたいな?」


ソフィー「じゃぁ、ニンゲン辞めて何になれば良いの?」


ベルさま「そうだねぇ、例えば『人知を超えた魔術師の極み! オーバーロ――」


ソフィー「ベル様! それアンデットじゃない! 却下よ却下!」


ベルさま「えー、抜けるような肌の持ち主になってもてもてよ?」


ソフィー「それ抜けるようなじゃなくて、抜け落ちてますやん。骨だけじゃないですか。絶対ダメだからね」


ベルさま「じゃぁ『地平の先までさくさく動く、魔法創作物の極み! ストーンゴぉーレム!』」


ソフィー「それ身体が固そう。お肌も荒れてそう。そしてエディに嫌われそう」


ベルさま「そういう基準? ならば『一つ人の世生き血を啜る! 魔物の極み! ヴァンパイア!』」


ソフィー「ヴァンパイアねぇ。それニンゲンの血が必要でしょう? どうやって供給するの?」


ベルさま「んー。じゃぁ普通にサキュバスとか? これだって精気が必要だけどって、ソフィーにはエディがいるからいいよね」


ソフィー「なるほど……。そういう手が……。エディと相談しないと……。でもそれ、私が攻めになりすぎない?」


ベルさま「だったら魔人かな。何の特徴も面白みもない結論だけど。魔人化するならエディに頼みなさい。その手の術式は彼の方が得意だよ多分」


ソフィー「はーぃ」


ベルさま「(ま、人が魔人化するには大量の人柱が必要なんだけど……、彼女にはその代わりとなる大種類の女性の髪を持っているし、その辺はエディがやるから大丈夫か……)」


Fin.

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