第五話 それぞれ沢山のカロリーを消費した!
タイトルに統一性のない私です、いちのせです。こんにちわ!
今回のお話の後半は朝チュン手前みたいな感じになっているのでお気をつけください。
イチャラブ苦手な方はお気をつけくださいね!(2回め)
「こんなのって無いっスよーぐすん」
彼…彼女?は立ち尽くしていた。
ようやく、ようやくこの手に出来た祈りの腕輪。
それがまさか使用済みだっただなんて。
これまで幾つもの祈りの腕輪を手にしてきた。
その悉くが使用済みで。
今度こそ!と希望を持ってきたのに。
「こんな最果ての場所でも空振りなんてーーー!!」
彼…彼女、は空に向かって声を張り上げたのであった。
そんなフュリー君はいずれ仲間になります。
だがしかし今回のお話とは何ら関係がありません。
クライブ村。
ブロッコリーが有名で、他に大した特産品も目立つものもない小さい村で、宿屋も唯一酒場を兼用したところがあるだけの農村だ。
年中ブロッコリーが育つ土壌のおかげで世界の都市に出荷して生計を立てていて、訪れる人物といえば買い付けに来る商人か、ブロッコリーを食べたい観光客くらい。
よくある田舎の集落って感じのとこだ。
日が完全に落ちきる前にその唯一の宿屋「グリーンベール」に部屋が取れた俺達は、夕飯がてら1階の酒場に降りてきていた。
「すっごい賑やかだなあ」
「ん、ちょっと、ドキドキ」
そう言ってフードに手を入れ髪飾りの位置ををちょっと直すユリナ。
まあ確かに、見たところおっさんばかりでいかにも高魔力!っていうのは見当たらないけどユリナは今までこんな沢山の人間見たこともないだろうし、あんまり中まで行かないようにしよう。
「おー、お二人さん荷物は置いてきたの?んじゃどこでも好きなとこ座ってよ、御飯作るね」
階段下で突っ立ていた俺達に声をかけてきた獣人族がこの宿屋と酒場を切り盛りする女店主さんだ。
この女店主さんは…なんていうんです、大人の魅力?に溢れたお方だ。
楕円のケモミミと、小さな短い角、二の腕から指先までを覆う毛並みは見事な白黒斑で、スラッとした身体にあるのはとても豊かな胸。とても、豊かな、お胸。
ホルスタインタイプの獣人だ。
ま、まあ俺にはユリナがおりますし、そんな下心丸出しで見たりはいたしません。
ほんとに獣人いるんだなーすげー!と驚きはしたけども。
でもこの飲んだくれのごっついおっさんどもは9割がた店主さん狙いで来ているに違いない。
これは同じ男としての勘でしかないが。
ま、店主さん既婚なんでこのおっさん方は実らない想いを抱えているわけだ。
ここに来たばかりの時に、うちの旦那がーって隣りにいた人を紹介してくれたから知っている。
その旦那さんというのが、カウンターの向こうで包丁を振るっているドラゴニックという種族だ。
竜の種族というと特別っぽい感じだが、ここでは獣人の括りらしい。
太い尻尾は鱗で覆われていて、頭の角は金属みたいに光を反射しているし、顔は竜そのもの。
鋭い牙がずらっと並んでいる。
羽根は個人差があり、旦那さんは無いタイプなんだそうだ。
とにかく腕っ節強そうな屈強な男!って感じの人。
「こんなとこまで旅してきて疲れたろー。はいお水」
カウンターの端っこに2人して座ると、店主さんがお冷をくれた。
おぉ、この世界でもお冷あるんだ、なんて感動していると店主さんが笑う。
「お冷なんて水不足な国じゃなけりゃどこでも出るよ!おまかせでいい?この時間はおっさんどもが面倒だからメニューないんだ」
「あ、はいそれで」
ニッと笑って去っていく店主さんはそのまま旦那さんと幾つかやり取りをして、また忙しそうに店内を動き回っている。
時たま店主さんのお尻を触って頭をはたかれるおっさんや、胸を触ろうとして包丁持った旦那さんに店外に投げ飛ばされたりと大分賑やかだ。
まあまた戻って来てたけど。
「リンドウ、見すぎ、ダメ」
全くそんなつもりは無かったが、ユリナに突かれて我に返る。
おっとこれは。
このムスッとした顔。実によいではないですか!
「あ、いやそうじゃないよ。あの2人から生まれてくる子はどんな子なんだろうなーって」
真剣に考えていたわけではないけど、少しは気になる。
俺のゲーム知識では、両親の両方の能力とか見た目とかを貰って生まれてきてハーフとかになるとか、そもそも異種間では生まれないとか。
でもハーフエルフとか半魔とかそういうのはよく聞くけど、こういう獣人同士で見た目が違う場合はどうなるんだろう。
「2人の見た目が混ざって生まれてくるの?」
ホルスタインの毛皮を持ったドラゴニックとか…?
「ん、違う。両親、獣人、は、片方、丸々、受け継ぐ」
「へー、ハーフにならないんだ」
「そう。エルフ、ハーフ、生まれる。獣人、生まれない。遺伝子、強い」
ユリナ曰く。大まかに分けて、この世界の種族は人間族、獣人族、エルフ族、妖精族、魔族、オリジン族が住んでいる。
で、獣人族は遺伝子継承力が強いので1種を除いて異種間はハーフが生まれないんだそうだ。
人間は獣人とオリジン以外はハーフが生まれ、エルフは人間と魔族間でしか子供が生まれない。
魔族はオリジン以外どの種とも子供が生まれるが、ハーフは獣人か人間間のみであとは魔族が生まれてくるというややこしいルールみたいのがある。
「私と、リンドウの、子、ハーフエル、フ…」
「ほう。僕らの子どもが」
凄い発言に気付いたユリナが顔を真っ赤にして言葉がフェードアウトしていくのを大変に素晴らしいものだと思いつつ、僕は暖かな目で見つめます。
でも僕はなんだか血走った目をしていそうです。
「僕らの子はさぞ、可愛い可愛い子が生まれてくるのでしょうねえ」
「う…リンドウ、目が」
「おっと、ごめんごめん。つい」
何がつい、なのかよくわからないが、ユリナを怖がらせてしまった。反省。
まあそういうわけであの店主さんの子はどちらかに似て生まれてくるってことだな。
「ん。でも…いつか、欲しいな。ね」
「もちろん」
何が、とは聞かない。
お互い頬を染めて端から見れば爆発案件なのだが、それでもいい。
今はこの素晴らしく甘い空気を堪能していたい。
そこでニヤニヤしている店主さんを視界に入れないようにして。
いつから見ていたのか、店主さんが両手に大きなお皿を持って大変によい笑顔で立っていた。
ここからではどんな料理が乗っているのか分からないが、湯気が立ち上っている。
「もういい?こんなおっさんだらけの中とんでもなくいい雰囲気だったねえ」
ごちそうさまー、とニヤつきながら俺達の前においてくれたのはそれぞれワンプレートの料理だ。
パン代わりのクッキー2つと、肉と野菜とシチュー。
ユリナの作ってくれてたクッキーとはちょっと違うのか、何か混ぜて焼いてあるみたいだ。
「おいしそう」
「おかわり欲しかったら呼んでねー」
頂きますをして、ひと口。
クッキーは一瞬青臭い味がするけど癖になる味だ。
ほんのり甘いユリナのとは違って全然甘くない。
「リンドウ、おいしい?」
「うん、ユリナの作るやつとは全然違うけどこれはこれでうまい!」
「ブロッコリー、入ってる。おいしい」
あぁこれブロッコリーだったのか。
さすが産地だな。この何にでも入れる風潮、嫌いじゃないぜ。
ほんと何にでも入れたがるよな、特産品って。
暫らく2人してたわいない会話を交えつつ料理を食う。
「あ、そういえばユリナの里って聞けば分かるのか?」
「…ううん、聞いても、多分、分からない。だから、別の、エルフの、里、聞く」
別のエルフの里か。
そういえばエルフにも種類があるって前言ってたっけ。
同族なら知ってるかもしれないな。
おっさんの中に混じってエルフのおっさんが1人くらいいないか見回してみたけど、ここにいるのは人間のおっさんか獣人のおっさんくらいだ。
ワンダーエルフは希少種って学んだけど、エルフ自体数が少ないんだろうか。
「店主さんなら何か知ってるかな」
「呼んだ?」
「うぉっ、早い!」
「びっくり、した」
たまたま近くにいただろう店主さんが背後に立つ。
話は聞いてなかったみたいで、何かな?と首を傾げていた。
なのでエルフの里を知らないか、と尋ねてみた。
「うーん、エルフの里かー。私じゃわからないかな。ちょっと待ってて、旦那呼んでくる」
そう言って店主さんが呼んできてくれた料理長の旦那さんは、そのごっつい見た目に反して穏やかな物腰で話し始めた。
どうやら店主さんにちょっかいかけるおっさんたちには厳しい人のようだ。
「エルフの里はここから一番近くだと、砂漠の入り口にあるアールヴエルフの里だな」
聞いたこと無い名前のエルフ族だ。
俺が首を傾げていると、店主さんがユリナの頭をぽんぽんしながら笑う。
ユリナがちょっとビクッとしたが、店主さんは気にせず続けていた。
「あんたエルフのお嫁さんもらったくせに知らないの?」
「アールヴエルフって言うのは、接近戦が得意で傭兵を生業としているエルフ連中だ。他種族には割と好戦的な種族だから気をつけろよ」
エルフって弓とか持って森を守ってるイメージしか無かったけど、そんな種族もいるんだな。
どんなのか想像もつかない。
傭兵部隊とか言うくらいだしガチムチだったらどうしよう。
「褐色肌の、エルフ。強い」
「あぁ、なるほどな、わかった気がする」
元来ダークエルフと呼ばれる褐色エルフは中々気が強いのが多い。
くっころ属性を持っていたりして。
姫騎士も多いな。
…まあゲーム内の知識だけだけど。
「まあエルフの嫁さんがいるなら大丈夫だとは思うが、アールヴエルフの里は湖を越えた先の砂漠の入り口だから、ここからとりあえず湖の街ターレイオを目指すといい」
そこから船に乗って湖の反対側に行き、砂漠を目指すのが近道だと旦那さんが教えてくれた。
次に目指す街も決まったし、中々長旅になりそうだ!
◆◆◆
で、腹いっぱい食って部屋に戻って気づいた。
「そういえばひと部屋しか取ってなかったね…!」
わなわな震える。
何も考えていなかったとは言え、なんという嬉しい大誤算!
どこかで某グルメ番組アナウンサーが「だーいごさーん!」って言った気がする…しないか。
ユリナは只今宿にある大浴場に行っているのでこの場にはいない。当たり前だが。
ちなみに浴場は男女別れていて、室内だし女の泊り客はユリナ1人なので色々安全だ。
湯船で髪飾りを外したとしても問題ないぞ!
「うーん、しかしだ」
見つめる。ベッドを。
「ダブルベッドだなんて!」
2人余裕で寝っ転がれちゃうね!素敵!
ちょっと暴れたぐらいじゃ転げ落ちませんしね!
というか、正直さっきの私とリンドウの子発言で悶々しちゃうよね。そう、健全な男の子ならね。
いつか欲しいだなんて、愛らしい。今からでも俺は全然だいじょうぶですよ。
そんなん望むなら一晩中でも─
「あー…いかん、落ち着け。サルか俺は」
待て待て一旦落ち着こう。
深呼吸。大きく吸って、吐いて。繰り返して。
うんよし、落ち着いた。
まあ…1人盛り上がってもしょうがないもんな。
俺だってお年頃の男の子。そういうことをしたい欲求は常にある。そりゃもう大いに。
小屋で暮らしていた時、何度トイレに駆け込んだことか…とそれは置いておいて。
いやしかし、私とリンドウの子…私とリンドウの子…ふふふ。
「リンドウ」
「!?」
突然声をかけられて飛び上がるほどびっくりした。
振り向いた俺に、ぶつかって来るようにユリナが抱きついてくる。
風呂上がりの石鹸の香りと、火照った身体と、柔らかおっぱいがむにゅっと。
嗚呼…すごくいい。
邪なことばかり考えていたせいで防御の下がっていた俺は、とんでもなくダメージを食らってしまった。
理性が吹っ飛んでいくくらい気持ちのいい…じゃなくて。
「ど、どうしたんだユリナ」
遅れてパタリと閉まる扉。
ユリナは顔をあげようとせず、俺の服に顔を埋めているが、その耳は赤い。
「あの…あの、ね」
珍しく言い淀んでいる。
けれど俺は先を急かさず、そうっと背中に手を回した。
こうやってユリナを抱きしめるのは初めてかもしれない。
と思うとさっきまでガッツリあっち方向ばっか考えていたくせに緊張してくる。
女の子っていうのはどうしてこう柔らかいんだろうな。
余計なお肉のなさそうな腕も背中も柔らかいとか、不思議でしょうがない。
「お風呂、で…、考えて、えっと」
「うん」
「部屋、お布団、1つ」
「うん」
「一緒に、寝る」
「うん。…うん!?」
これは!ついに大人の階段登っちゃう系イベント来たの?
一皮剥けちゃう系イベント始まっちゃうの?
いや、待て。
これはただ一緒に寝たいというあれ、生殺しイベントかもしれない。
落ち着け。冷静に冷静に。
「あ、あぁ!一緒にね!うんうん!」
そりゃあまあ行き着くとこまでいきたいとは思うけど、生殺しイベントも体験してみたい気もする。 必須でしょうよ、ギャルゲイベントでは!
寝ぼけて入ってくる妹。寝ぼけて入ってくる義妹。駄妹だとなおよし!
妹推しではないけれど。
「夫婦、だから」
一緒に寝たい、と顔を上げたユリナが言った。
そういえば今までずっと別室で寝てたからな、一緒に寝ること自体2人にとっては一大イベントだ。
あっちの方ばっかり考えてたらダメだよな。
俺達は夫婦だけどまだまだなんだから。
「うん、一緒に寝よう」
「うん」
2人で一緒の布団に潜り込み、向き合ってお互い照れつつ笑う。
乾いたばかりでしっとりしたユリナの髪が一房滑って顔に掛かり、それを俺が直してやると、その手を握られた。
ちょっとづつ、距離が縮まる。
そのうちピッタリ密着するぐらいになって、ユリナの唇が間近にあって。
「ねえ、まだ怖い?」
吸い込まれるように重ねる。
唇をくっつけたまま尋ねて、ユリナの濡れた瞳を見つめた。
一大イベントだなんだと言っておきながら、我ながら意思は弱かったらしい。
ぶっ飛びそうな理性を総動員して、ユリナをもっと引き寄せた。
くっつくとこなんかもう無いってくらい。
「…ううん」
「そっか」
まあそうすればエレクチオン的なのがユリナにバレちゃうわけで。
「怖く、ない、よ」
それでもユリナはそう言って俺の首に腕を回してくれた。
気づきましたか…今回のお話、ストーリー的には一歩も進んでません!爆発!
いちゃらぶが書きたかっただけなのに朝チュンコースですね、やったー!
15禁なので事細かには書けませんが、想像力を動員してニコニコしたいです!私!
異種間のあれはややこしいですが、設定厨としては考えたかったとこなので出せてちょっと嬉しいです。
でも別にお話的にはさほど重要でもないので適当に割愛!
ちなみにこの世界のエルフは4種です。
ワンダー、アールヴとあと2種おりますね。全部出せればいいなあ。
というところで、拙い文章でしたがここまで読んでくださってありがとうございました!