表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/131

90話

誤字脱字等ありましたら、よろしくお願いします。

 

「はい! 他にいませんか……いませんねぇ……それでは、こちらの商品は45番の方が落札されました! これを持ちましてオークションは終了させて頂きます、落札された方は後ほど受付にて代金と引き換えでお渡しします」


 司会の宣言と同時にオークション会場にいる客がぞろぞろと会場から引き上げていく。俺たちもその流れに乗って会場を後にした。


「良かったですね、無事に落札できて」

「おめでとうございますキントウ様。最後はどちらが先に諦めるかの勝負でしたね」

「おかげであれだけあった手持ちがスッカラカンだけどね……」


 ここはバックスの街の地下に存在する裏カジノ場だ。たった今まで、カジノ場の隣に併設されていたオークション会場でオークションが開かれていた。

 カジノ場を仕切っているバックスのリーダーであるパッドさんから金を受け取り、リリック王子に100億エンを渡しクエストを1つ終わらせた翌日、再びカジノで落札の為の小金を稼いでおいた。あんまり派手にやるとパッドさんに怒られてしまうので、今回は控えめだ。

 100億なんて大金を1回手にしてしまって以来、どこか金銭感覚が狂ってしまったのか、どうも手持ちが少なく感じてしまう。俺もだんだん変になってきたかもな。


 強面のお兄さんやら、いかにもな格好の大人達が大勢集う中、俺たちもそのオークションに参加し、無事にお目当ての装飾品と剣を回収することができた。


 カジノ場にある受付でオークションで振り分けられた45番の番号のついた札を渡す。この札が本人証明になる。


「45番ですね、少々お待ち下さい」


 受付の人が一旦奥に下がり、暫くしてからケースのような物を数個抱えて戻ってきた。あの中に商品が入れられているのだろう。


「ご確認下さい」

「……大丈夫です」

「それでは代金を頂きます。落札価格は1000万エンですので、手数料込みで合計1100万エンとなります」


 表示されたウィンドウに金額を打ち込んでOKのボタンを押す。これで支払いは完了だ。俺の財布から一気に1100万が消えたことになる。はぁ、たまにはここで小遣い稼ぐか。


△ ▲ △ ▲


地下から地上のバックスに戻り、そこからさらに遺跡の入り口である巨大岩のある場所まで移動する。徒歩でも時間をかければ行くことは出来るが、馬車を利用することにした。


「それにしてもまたあの岩に行きたいだなんて、本当に物好きだね」

「まぁ、俺たち変人の集まりなんでね」


 偶然の成せる業なのか、今回の馬車の主は前回に乗せてくれたのと同じ

おっさんNPCだ。座り心地はあまり良くないが、基本的にどこへでも行ってくれるからタクシーみたいで結構使い勝手がいい、他のプレイヤーも使ってるのかな。

 

 荒れ果てた荒野を馬車に乗って駆け抜け、この前に来たのと同じくらいの時間で目的地に到着した。目の前に佇んでいるのは巨大な岩。


「また使う時にはよろしくな〜」


 前回と同じ台詞を残して帰っていく馬車を見送った後、前回同様謎の入り口の開け方を行って頭を地面に打ち付ける。

 地響きと共に開いた入り口を確認し、少しふらつきながら立ち上がる。


「絶対これダメージ入るよな」

「でも、HPバーは減ってませんよ?」

「精神的にだよ!」


 よし、今度は必ずサツキさんにやらせよう。





 暗く細長い部屋を抜け、棺桶の並ぶ円形の部屋に入る。

 部屋に入った瞬間、今回は勝手に火が灯り地下の部屋を照らす。そして不気味な風が吹いたかと思うとどこからか声が響いてくる。


【どうやら盗まれた物を持ってきたようだな】

「ほら、ここにありますよ。返すから呪いを解いて下さい」

【それにはそれぞれ持ち主がいる。全て正しい持ち主の元へ返すのだ】


 イベントリからケースごと取り出して、地面に並べるもそれでは駄目らしくなんか変なことを言い出す声。

 なに、正しい持ち主? なんのことデスカ?


 目の前にはウィンドウが1枚。そこにはこう書かれている。


△ ▲ △ ▲


クエスト:声をたよりに

依頼者:地下墓地の声


 みんながそれぞれもっている、それはなかまをしめすもの

 ひとりだけがもっている、それはとくべつなあかし

 おひるをすぎたおひさまは、ちへいせんへおりていく

 はじめのきしはおうとともに

 つぎのきしはおうのかべになり

 さいごのきしはおうのせなかをまもる

 おうはおひさまにせをむける


△ ▲ △ ▲


 また謎かけみたいな文章が出てきたぞ。

 まずは、手持ちの装飾品を確認しよう。

 あまり装飾のされていない地味な腕輪が21個、腕輪とは逆に相当手の込んだ装飾の施された首輪が1個、赤い宝石の付いた指輪が5個、そして錆び付いた剣が3本、俺の手元にある。これで全部だ。


 部屋の中をぐるっと見回すと、部屋の中央に棺桶が1個、それを囲むように20個の棺桶が円形に配置されている。


「まず一行目が腕輪の説明でしょうね」

「みんなが持っているって書いてありますしね」


 今回もユリアさんがホームズ役として解読にあたっている。俺とサツキさんはワトソン役だ。

 ユリアさんの指示で腕輪を1個ずつ、棺桶の中へ入れる。残り三種類。


「そして二行目が首輪のことだと思います。特別なのは中央の棺桶でしょう」

「中央の棺桶ですね」


 サツキさんがおっかなびっくりといった様子で首輪を棺桶の中へ戻す。

 ここまではわりかし簡単な謎だ。次の文から意味が分からなくなっている。サツキさんに至っては少し物音がするだけでビクッとしている。ちょっと待て、何で物音がするんだよ!? 

 俺の疑問は置き去りにしてユリアさんの推理は進む。メイド探偵ユリア、なんちゃって。


「おひさまですか……お日様、太陽、たいよう……お昼を過ぎた? 午後ということでしょうか?」


 今まで何でも知っているイメージだったユリアさんが珍しく悩んでいる。いくらユリアさんとはいえ、そんなすぐには解けないんだな。

 しばらく1人でブツブツ呟いていたが、イベントリから何かアイテムを取り出して蓋のような物を開けて中を確認している。


「すみませんがサツキさん、あそこに立ってもらっていいでしょうか」

「あ、はい……ここでいいですか?」

「ありがとうございます」


 ユリアさんの指示で部屋の一角(円形なのに)に立たされるサツキさん。何をしているのかさっぱり分からん。実に面白くない。

 その後、棺桶の数を数えたり同じ場所を行ったり来たりして何かを確認している様子のユリアさんを眺めること数分、ようやく何かが分かったのか俺に新しい指示が飛んできた。


「キントウ様、指輪をここからここまでそれぞれ1ずつ入れてもらっていいでしょうか?」

「了解です」


 ユリアさんが指差した場所に指輪を放り込んでいく、サツキさんが立っている場所から見て左手に並ぶ5個の棺桶だ。何かしらの法則があるのだろうが、俺にはまだ分からない。


「あとは剣だけですか」

「最後の4行の文章が、それを表しているのでしょう」

「もう解けましたかー?」

「すみませんがサツキさんは暫く動かないで下さい」

「わかりましたー」


 二番目の謎かけがヒントになったのか、それほど悩まずにユリアさんは謎を解いたみたいだ。ものの数分で剣を納める棺桶がわかった。

 それにしても、どうやって解いたのかが気になる、あとで聞いてみよ。


「まず、サツキさんの足元にある棺桶、それとその真正面にある棺桶、最後は中央の棺桶です」

「わかりました」


 ホームズ(ユリアさん)の言うとおりに剣を1本ずつ納める。これで終わりだな。

 最後の剣を入れ終えると、再び不気味な風が肌を撫で、「何か」が現れたことのを感じた。


【たしかに受け取った。すべて正しい場所に戻っている。これでゆっくり眠れる】

「だったら早く呪いを解いて下さいよ」

【……いいだろう……呪いは解けた。あの女も暫くすれば元に戻るだろう。しかし、次は無いと思え】


 それだけ一方的に喋って声の気配が消える。これでビビちゃんのお母さんも快復するな。

 グリスの樹海での薬草探しから始まって、まさかこんな所まで来るとは夢にも思ってなかったぞ。


「さすがユリアさんですね」

「ありがとうございます。これもキントウ様がお金を集めて下さったお陰です」

「それよりも、どうやってあの謎かけを解いたんですか?」

「それは地上に出てからに致しましょう」

「それもそうですね」

「あのぉー」


 部屋から出ようとすると、後ろから声をかけられた。振り返るとユリアさんに指示された場所から動いていない涙目のサツキさんの姿が。


「もう動いていいですかぁ……?」

「別に構わないよっ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ