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52話

誤字脱字等ありましたら、よろしくお願いします。

 蛇からなんとか逃げ切りギルドに帰ると、二人が待っていた。時刻はまだ夕方前、このあとも森以外の別のエリアにでも行こうかな。


「おっ、キントウ無事だったんだ。てっきりベッドルームから出てくるのかと思ったよ」

「お疲れ様で御座います」

「まぁなんとかね……。それで、まだ時間もあるしこの後別のエリアに行ってみようかと思ってるんだけど、いい?」

「構わないけど、何処に行くの? また半島の方に行く?」

「それでしたら西の海岸を迂回して北の海岸に向かってはどうでしょう? あちらもプレイヤーの拠点になっているようですし」


 ユリアさんの提案により、次の俺たちの目標は西の海岸を迂回しての北の海岸に決まった。


△ ▲ △ ▲


 一時間ほど休憩してから出発する。この前は東に向かったが今回は西に向かって進む。

 しばらくは遠くまで伸びる海岸線をひたすら歩き、時々砂の中から攻撃してくるコーストクラブの相手をしながらの探索だったが、かれこれ三時間は歩いただろうか? それでもなお、ずっと伸びる海岸線に流石に疲れてきた。

 遂にはアガサが休憩しようと言いはじめた。


「なんか、海岸長くない?」

「そりゃ一つの島なんだからあたりまえだろ」

「でも東に行った時はすぐ着かなかった?」

「ギルドは南海岸の東寄りでしたからね」

「じゃあ東から回れば良かったんじゃないの?」

「……今度からは東から行くか」


 休憩もそこそこに、今更戻るのも悔しいのでこのまま西に向かうことにした。俺だって海岸長いなとは思ってたんだよ? ていうかユリアさん分かってて西回りを提案したんじゃないんですかね?


 ペースアップの為にやや小走り気味にモンスターを無視しながらさらに二時間ほど進むと、ようやく風景に変化が現れた。今まで右手に広がっていた森が無くなり、新たに右側に海岸が伸びていた。ここが南と西の境目ってことだな。

 しかし、まだ俺たちが進んでいた方向にも陸が続いていて、ここからは西海岸の半島ということだろう。

 今日の目的は北の海岸を目指すことなので半島に行くのはまた今度だ。

 それよりも問題なのは──


「辺りが真っ暗なんですけど……」

「夕方からずっと海岸を進んでたしね」

「今日はここまででしょうか」


 今日はここまでということは、ログアウトをしなければいけないということだ。つまり、ギルドまで戻る必要があるというわけで……


「また何時間もかけて海岸を行けと?」

「もう死に戻りでいいんじゃない」

「それなら問題ありません」


 というユリアさんに従って森に少し入ったところにあったセーフティーエリアまで来た。

 そこで何やらウィンドウを開いたユリアさんがいくつか操作すると、目の前に大人一人くらいが入れそうなテントが現れた。

 もしかして、これでログアウトできるの?


「こちらは各プレイヤーに支給されている簡易テントで、セーフティーエリアならどこでも使用可能です」


 いままでギルド用のテントしか使ってなかったから知らなかったな。確かにギルド用しか無かったらソロのプレイヤーはどうやってログアウトするんだって話だよな。

 今日は三人でテントを広げそこでログアウトした。明日はここからスタートだ。


△ ▲ △ ▲


 翌日、学校が終わり次第ダッシュで帰宅し、ログインする。昨日はあんなに時間がかかったんだし、今日は端から端まで進まなきゃいけないんだから更に時間が必要だろう。


 ログインし、テントから出るとちょうどユリアさんが海岸の方から戻ってくるようだった。相変わらず早いですね。


「アガサはまだですか」

「はい、まだログインされていません」

「ユリアさんは何処に行ってたんですか?」

「先に西海岸を偵察しておこうかと思いまして」


 それで海岸の方から歩いてきたのか。ユリアさん優秀過ぎる。


 それから程なくしてアガサもログインし、探索二日目が始まった。

 西海岸も南海岸と変わらず、海岸線がずっと続いているだけの海岸だった。そうコロコロ変わっても困るけどな。

 少し進むと波打ち際にポツンと佇む影が一つ。


「……何あれ」

「貝か?」


 胸までくらいの高さがある、先の尖がったソフトクリームみたいな巻貝が波にさらされていた。いたるところに棘みたいな突起物が生えていて触ったら怪我しそうだ。


「あれが西海岸に出現するモンスターです。《ニードルシェル》という名前で──」

「なんかカッコいい! もって帰れるかな……って、何か飛んできたっ! 痛っ!」

「あのように一定の距離に近づくか、貝にダメージを与えると四方八方に棘を飛ばします」

「先に言ってよ!?」

「お前が話聞かなかったんだろうが!」


 ユリアさんの説明を聞かず、無防備で近寄ったアガサが小さい破裂音と共に飛んできた棘を喰らって瀕死になっていた。あいつバカだなぁ。


 一定の距離まで近づかなければ攻撃してこないし、一回棘を飛ばしたら暫くは棘を飛ばさないそうなので、ユリアさんが遠くから弓でダメージを与えて棘を出させて回避することができた。マジでユリアさん流石です。


△ ▲ △ ▲


 波打ち際に点々と立っている貝を見つけてはユリアさんが狙撃し、破裂音を聞いてから再び進む、というのを繰り返しながら進むこと二時間。ようやく海岸の半分あたりまで来た。


「それにしても、西の海岸のモンスターは弱いね。もうちょっと戦い甲斐があってもいいと思うんだけど」

「あんまり物騒なこと言うなよ。もしバケモノみたいなのが出てきたらどうするんだ?」

「バケモノ、というのはああいうものでしょうか?」


 ユリアさんの指差す先には戦闘中の数人のプレイヤー。みんな中央の森の探索に向かっているらしいからプレイヤーを見かけるのは久しぶりだ。

 が、戦っている相手を見てみると、どうやら海のモンスターのようだ。海中から長い体の半分を出してプレイヤーと戦っている。

 ……長い?


 プレイヤー達が相手をしていたのは、蛇のように長い体を持ち全身に鱗の生えたモンスターだった。

 また蛇かよ……


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