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34話

誤字脱字等ありましたらよろしくお願いします。

 ネコネコさんと入れ替わるように広場にやってきたアガサはいつもとは違った装備をしていた。

 いつも着ていたレイさんの作ったセーラー服ではなく、今日は紺色のブレザーを着ていた。こちらもレイさん製作の品なんだろうけど……似合ってんな~。元が可愛いから大抵は似合うんだろうけど、レイさんネコミミといい、良い仕事しますね。


「おまたせ、待った?」

「朝からずっと待ってた」

「そこは『今来たところ』っていう場面でしょ……」

「嘘は吐いてないからな」


 挨拶を交わすと、アガサがその場でそわそわし始めた。これはあれか? 新しい服の感想を待っているんだろうか。白衣の時のマリオといい、女子は服が好きだよな、俺には理解できん。


「あー、その服似合ってるな。新しい服だろ?」

「え? そうかな、ありがとう」


 来た時よりもあからさまに機嫌が良くなったように見えるアガサ。今日はアガサをもてなす日だからな、こういう所でちゃんと気を配ってやらねば。


 広場でずっと話しているのも何なのでさっそく移動する。アガサが前から行ってみたいと思っていた店があるそうなのでそこに行くことにする。

 広場を出て南門の方向へ歩く。だいたい十分ほどで到着した目的の店は大通りから少し外れた場所に位置しており、始めての人なら迷いそうな所あった。ちょっとした隠れ家のような店のようだ。

 隠れ家のような店らしいんだが……


「うわぁ、並んでるね~」

「全然隠れてないし……」


 相当人気の店らしく、大通りにまで順番待ちの列がはみ出している。これじゃ丸分かりだよ。

 並んで待つか、別の店にするか悩んだ挙句、列に並ぶことになり、最後尾に加わる。おそらく二時間は待たされるだろう。そりゃ、お昼時だもんな、混んでて当たり前か。


 結局、予想通り二時間ほど待たされ、ようやく店内に入ることができた。並んでいる間、ずっと雑談していたのだが、女の子って凄いな。一聞くと十返ってきてどんどん会話が進んでいく。アガサが話すのが上手なのかもな、俺はずっと聞いてる側だったし。

 店内も満席状態で、大勢の客が食事をとっている。奥の二人掛けのテーブル席に案内され、やっと落ち着くことができた。メニューの表示されたウィンドウを見る。メニュー的にイタリアンとフレンチが混ざったような店だろうと予測する。

 どんな店か教えてくれなかったから分からなかったんだよな。店の外見では洋風ってことくらいしか分からなかったし。

 静かなBGMと客の会話音が店内を流れる。頼んだ料理が届くまでの間はお互い無言だ。マリオと飯を食ったと時にも思ったけど、こういう待たされるところはリアルなんだよな。

 しばらくして、料理が運ばれてくる。俺はこのパエリアのような料理、アガサはピザっぽい料理を頼んだ。ここでアガサが口を開く。


「おぉー、来た来た! これを食べたかったんだよね!」

「そんなに美味いのか?」

「おいしいだけじゃなくて、一定時間のMP上昇の効果も付いてくるんだよ」


 やっぱり、そういう部分も意識してるんだな。ちなみに俺の頼んだパエリアもどきの効果は一定時間ステータスのうちの一つがランダムで上昇するとかいうものだった。うーん、微妙?


 料理も食べ終わり、店を出て大通りに戻る。休日の昼過ぎということもあって通りは大変賑わっていた。さて、これからどうしようか。


「飯も食べたし、ここで解散か?」

「え? そんな訳無いじゃん。まだディナーが残ってるよ?」

「まじで……?」

「じゃないと許さないからねっ!」


 笑顔でそう宣言するアガサ。まあ、今日はアガサの為の日だし、仕方ないかな。


△ ▲ △ ▲


 アガサの提案でとりあえず大通りを散策することになった。俺、午前中に散々ぶらついたんだけどな……


「でね、ボク思うんだけど、関所内の戦闘は、白に任せるよりキントウが確実にゴブリンの眼とか急所を狙った方が効率がいいと思うんだよね」

「そうか? 俺は楽なんだけどな」

「それじゃ、キントウが活躍しないじゃん! ギルドの宣伝の為にも、もっとゴブリンを倒して知名度を上げないと」

「今でも十分有名だと思うぞ……」


 明るい太陽の光が降り注ぐ休日の昼下がりを女の子と二人きりで会話しながら歩く。それだけなら聞こえはいいが、会話の内容が内容なだけにいまいちテンションが上がらない。

 会話のネタがモンスターの弱点についてとか女の子と話す内容か? そういうゲームだからなんだろうけど、俺の女子との会話のイメージと一致しない……


 しばらく歩いていると、道の脇に露店を開いているプレイヤーが増えてきた。ここら辺はマーケットみたいになってるんだな。この通りだけ人口密度が他の通りに比べて三割増しくらいになっている。


「ねぇ、ちょっと行ってみようよ!」


 マーケットの方に駆けていくアガサを追いかけて俺もマーケット通りに入る。

 そこでは薬草から武器・防具などさまざまな物を扱っている露店がいくつも軒を連ねていた。ダルクさんもこういう所で商売すればそれなりに儲かると思うんだけどな、あの人もだいぶ変わっている人だし、あの人なりの理念があるのだろう。

 アガサはいくつか露店を見ているうちに気になる商品を見つけたのか、ある店の前に立ち止まっていた。


「何かあったのか?」

「うん。あったんだけど、ちょっと高いかなぁって……」


 彼女が欲しそうにしていた商品を見せてもらう。どれどれ、アクセサリーか、値段は……十万エン!? ちょっとまて、桁が一つか二つ違うんじゃないの? 十万あったらこの世界ならワンルームのアパートサイズのギルドホームが三カ月くらい借りられるんじゃないか?

 思わず店主の顔を見てしまう。どうやらこの店はNPCの店だったようで、おっさんのNPCがニコニコ顔で商品の説明をしてくれる。


「これは大昔の貴族が持っていた由緒正しいアクセサリーだよ。掘り出し物でこの値段さ。お買い得だよ?」


 と言ってアクセサリーを実体化させて見せてくれる。大小二つのハート形のリングのついたネックレスのようだ。これが由緒正しいアクセサリーねぇ、どう考えても偽物臭いんだけど……


△ ▲ △ ▲


「えへへ……プレゼントだぁ~」

「いつまで見てるんだよ……」


 結局、俺はその場でネックレスを買ってアガサにプレゼントした。おかげで俺の懐は以前のように氷河期に入りつつある。店には悪いが、またカジノ荒そうか……

 かなりぼられた気もしなくは無いがアガサが喜んでくれたということでよしとしよう。

 プレゼントしてすぐに装備してくれたのだが、それからずっとネックレスを見てはニヤニヤするのを続けている。そんなにあのネックレスが欲しかったんだろうな。

 

 時刻は十八時をまわったころ。太陽も沈みはじめ、俺たちがいる広場の影も長くなっている。そろそろディナーを奢る時間だろう。

 今度はどの店に行きたいのか聞こうとアガサに話しかけようとした途端、突然クエスト発生を知らせる音が鳴る。しかも俺だけではなく、アガサも、広場にいた他のプレイヤーたちも立ち止まって首を傾げている。


「あれ、なんだろ?」

「何もしてないのに、いきなりクエスト発生ってどういうことだ?」


 不思議に思いながらもクエストの詳細を見てみる。


△ ▲ △ ▲


ワールドクエスト:魔王の挨拶

依頼者:魔王

クエスト成功条件:指定時間まで北、南門の防衛

クエスト失敗条件:北、南門のどちらかが突破されること

 突然、魔王軍がメイカーに攻撃を仕掛けてきた。これを勇者たちは全力をもって阻止せよ!

 クエスト失敗した場合、その時点でメイカー内の全ての施設が利用不可となり、【メイカー】が【廃墟メイカー】となる。

 

△ ▲ △ ▲


 ……なんだこれ、ワールドクエスト? 魔王の挨拶? 門の防衛? どういうことだよ。

 突然の事態にパニックに陥る広場のプレイヤー達。アガサも例外では無く、クエスト内容を確認して呆然としている。俺だってどうすればいいのか分からない。今にも魔王軍とやらが攻めてくるのに何をすればいいんだ?


 そんな時にメールが届いた。もしやと思い、急いでメールを開く。


△ ▲ △ ▲


From:ヘムジン

件名:

 メール見たよね?こっちはユリアさんがギルドにいます。幸いダイモンとクーデルが二人共ログインしていたので二つのギルドに別れて防衛の指揮を執ってもらうことになりました。キントウ君はユリアさんと合流して南門に向かってください。

 

 追伸:ギルド使えなくなったらマジ困るから頼んだ!


△ ▲ △ ▲


 はい来た! 待ってましたよヘムジンさん。流石ヘムジンさん、早速連絡を寄越してくれた。これで俺が何をすればいいのか分かったな。

 未だボーッとしてるアガサの手を引いて南門に向かって走り出す。突然手を引かれ走り出した俺にアガサが驚いているが構わず走る。


「え、ちょ、つまり、どういうこと!?」

「今日のディナーはお預けってことだよ。今から南門で防衛するのが戦闘班(おれたち)の仕事だ!」


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