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25話

誤字脱字、感想等ありましたらよろしくお願いします。

坑道を抜けると左右には森が広がっていた。足元の道は砂利で舗装されていて、遠くに遺跡のような建築物が見える一本道はまるで参道のような印象を受ける。確か坑道を抜けた先には新しい街があるはずなんだけど、別の出口もあったのか?


「ここは何なんでしょうね?」

「わたくしにも見当が付きません」

「とにかく行ってみない?あの建物が気になるしさっ」


はしゃぐアガサを先頭に遺跡らしきものを目指して俺達は歩きだした。


△ ▲ △ ▲


道を歩くこと十分、モンスターに出会うことも無く、遺跡の入り口が見えてきた。入り口の脇には街の広場にある転移門があって、門に触れるとシステム音が鳴り、新しく各街からここまで転移できるようになったことが告げられた。

ということは、この遺跡っぽい物は何か重要な物なのか?

遺跡の入り口から中を覗いていたアガサに呼ばれ、入り口に駆けつける。


「何かあったのか?」

「うん、何かこの遺跡、ダンジョンっぽいよ?」

「ダンジョン!?」


その瞬間メールが届いた。俺だけではなくアガサやユリアさんにもメールが届いたようで二人とも不思議そうな顔をしている。ともかく読んでみないと。


△ ▲ △ ▲


From:『俺と勇者とときどき魔王』運営より

件名:新エリア、【ダンジョン】開放のお知らせ

『俺と勇者とときどき魔王』をご利用頂き誠にありがとうございます。


本日、プレイヤー様がダンジョンに辿り着きましたので現時刻より【ダンジョン】を開放いたします。ダンジョンでは特別な武器やアイテムが手に入る場合もありますので奮ってご参加ください。

尚、ダンジョンを解放したプレイヤー様方には運営から特別なアイテムが配布されます。

これから『俺と勇者とときどき魔王』をお楽しみください。


△ ▲ △ ▲


しばらく沈黙が場を支配する。もしかして、俺たち何か開放しちゃった?運営から通知まで来ちゃうレベルだよ?よくわかんないけど、俺スゲー!自慢出来ちゃうじゃん!


「じゃあ、試しに入ってみる?」

「少しだけですよ?」

「分かってるって!ほら、キントウも行くよ!」


一人で感動する俺を置いて何故か冷静な二人。あれ、感動してるの俺だけ?お二人とも少し冷めてないですかね?って、あっ、そんな置いて行かないでよ〜


二人を追ってアーチ状の入り口をくぐるとひんやりとした空気が流れる通路に出た。マップを見てみると俺達がいる場所だけが明るくなっており、他は黒くなっていて道が分からない。自分達で探索しろってことだよな。また、マップの左上に【デイノ遺跡】と表示されている。外観からして地下に広がっていると思うんだけど、いったい何があるんだ?


一定の間隔を空けて壁に掛かっている松明が照らす通路を進むと、前からガシャガシャと音を響かせながら近づいてくる人影が一つ。段々距離を詰めるごとに明瞭なってくるその人影。

ボロボロの鎧に錆びた剣を持ち、本来眼があるべき穴には不気味な青色の炎が揺らめいている。


「あ、あれって…」

「もしかしなくても…」

「骸骨でしょうか」


カタカタと体を鳴らし歩いてくるその正体とはガイコツの戦士だった。俺達を認めるや、顎をカクカク動かしながら襲ってきた。


「カタカタカタカタカタカタ!」

「ギャー!」

「ちょ、アガサ!一人で行くなって!」

「お二人とも、一時撤退致しましょう」

「カタカタカタカタカタカタ…」


突如、襲い掛かるガイコツ戦士を目の前にしてパニックに陥るアガサを追いかけるように入り口から飛び出す。逃げる時に後ろからカタカタ聞こえるのがかなり怖かった。そこらのお化け屋敷よりよっぽどリアルだったしな。


「ムリムリムリ!あんなの絶対ムリだってぇ…」

「大丈夫ですよアガサ様。キントウ様がどうにかしてくれますから」


遺跡を脱出した後も怯え続けるアガサをユリアさんが慰めている間、運営から届いたメールに添付してあった『特別なアイテム』とやらを確認することにした。こういうレアっぽいアイテムは持ってるだけで嬉しいからな、期待しちゃいますよ?


【簡易式転移門試験型】

フィールド内に転移門を展開し最後に立ち寄った街まで転移することが出来る。ただし展開までに時間がかかり、アイテムを使うとモンスターを引き寄せてしまうので使い所に注意。


持ち歩き出来る転移門か。フィールド内で転移が出来るのは有難いな。今まではいちいち歩いて街まで戻ってたし、今のところ街に転移する方法は死に戻りしか無かったしな。でもモンスターが寄ってくるっていうのが難しいよな。まだ試験型らしいし、今後に期待ってとこか。それにこれをもっているのは俺とアガサとユリアさんだけだし、これで一儲け出来るかも、なんて考えてしまうあたり、ヘムジンさんに毒されている証拠だろうか。


△ ▲ △ ▲


今日のところはここまでということで転移門を使い、ギルドホームに戻ってきた俺達。クランキーズに入ると、見知らぬ女性たちがウェイトレスをしていた。


「ヘムジンに言ってNPCの店員を雇ったんだ。どうしても人手が足りなくなるからな」


マスターがコーヒーを淹れながら教えてくれた。ユリアさんたちが居なくても常時三人ほどはNPCが店に居てくれるらしい。これなら気兼ねなくフィールドに出られるな、彼女達目当てで来る客には悪いけど。


三階に行くとヘムジンさんがいたので今日の活動内容を報告しておく。


「へぇー、君達がダンジョンを開放したんだ?それはお疲れ様でした」

「それで、手に入れたアイテムとかって自分で持ってていいんですか?」

「ん、いいよいいよ。好きに使っちゃって〜」

「あ、はい。分かりました」


とりあえず素材は保留かな。今度からはダンジョンの攻略の対策を練らないといけないな。そういえば前から何か忘れていることがあったような…何だっけな、思い出せそうなんだけどあとちょっとの所で出てこない…

ソファに寝転がって一人悶々としていると下からアガサが上がってきた。


「ねーキントウ。ボク、レベルが30過ぎてるから新しくスキルとろうと思うんだけど、何がいいかな?」

「スキル?すきる……?あああああーーっ!」

「え、え、何?何か変なこと言った!?」

「いや、アガサありがとう。お陰で問題が解決したよ!」

「う、うん。どういたしまして?」


訳がわからないという顔のアガサを放置し、起き上がって自分のステータス画面を開く。そういえば、後で考えるとかいったっきり完全に忘れてたな。


キントウ Lv.35

装備 ジャンゴのトランプ、小鬼のジャンパー、小鬼のジーンズ、小鬼のグローブ、小鬼のランニングシューズ

残りポイント0

Str:35

Vit:35

Agi:76(+27)

Int:35

Min:35

Dex:62(+13)

Luc:252(+50)


所持スキル

【投擲】【両手利き】【ハイステップ】【ジャンプ】【獲得エン上昇】【  】【  】【  】


あーやっぱり、スキル取るの忘れてるし。はてさて、どうしたもんかねぇ…

今取得することが出来るスキルの一覧をスクロールしながら見ていく。どれもなんかパッとしないな。今の自分に必要とは言い切れないものばかりだ。おそらく、後で取り直したりすることは出来るんだろうが多くないスキル枠だ、大切に使わないと。


「ボクにもみーせて」


一覧を上から下に行ったり来たりを繰り返していると放置されるのに我慢できなくなったのかアガサが隣にまわって俺のウィンドウを覗き込んできた。ウィンドウの設定がデフォルトの可視モードのままだったのでそのまま見られてしまう。っていうか、近いんですけどっ!普通に肩とか当たってるし、VRゲームだから妙に感触がリアルな所為でドキッとしてしまう。

そんな状態の俺に気付かないアガサはウィンドウを見ながらフムフムとか呟いてるし。

恥ずかしかったのでアガサから離れるようにソファから立ち上がり、考え込む素振りをする。なんかブーブー言ってるけど無視だ無視、今は何のスキルを取るか考えねば。


往復を繰り返すがなかなかいいのが見つからない。前に見た時よりも選べるスキルの数が増えてるからこのままレベルやらストーリーやら進めれば増えていくんだろうけどな。一人で悩んでいても一向に進展する気がしなかったので、さっきからかまって欲しそうにソファから睨んでいるアガサに話を振ることにした。


「それで、アガサはどんなスキル構成なんだ?」

「やっと反応してくれたよ…。ボクの取ってるスキルは【魔法効果上昇(中)】【MP効率上昇(中)】【範囲拡大】【MP自動回復】【MP量増加】【救神の加護】【全力全開】だよっ!それであといっこ枠が余ってるんだけど、どうしよーかなぁって思って相談に来たんだけど、キントウも同じだったんだね」

「ああ、忘れてて三個も枠が余ってたんだ。それで、【救神の加護】と【全力全開】ってどんな効果?」

「【救神の加護】は補助系の魔法の効果上昇で、【全力全開】はMP全てを消費する換わりに魔法の効果を大幅に上昇させるスキルだよ。じゃあ、一緒に考えよー!」

「って言ってもなぁ…」


実のところ、スキルは補助的な意味合いが大きく、ぶっちゃけ無くてもなんとかなるんだよね。実際に今まで忘れてたわけだし。ジョブで覚えられるアビリティの方が重要だったりする。このまま取らなくても良いんじゃないか?


結局、二人で考えても、どのスキルを取るべきか決まらずその日は解散となった。

これ、また忘れるパターンだな。

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