17話
誤字脱字、感想等ありましたらよろしくお願いします。
皆に続きボスの待ち構えるエリアに入ると、エリアの真ん中に一体のゴーレムが片膝をつき、顔を下に向けた状態でそこにいた。よくゲームで見かける物と同じフォルムをしており、表面に泥を纏ってマッドドールと同じく顔の中心にはコアが埋め込まれてあった。
ゴーレムのいる場所の奥にはエリアの向こう側に続く道があり、そこを通れば新しい街に行けるということらしい。
沼地ということもあって足元はぬかるんでいて歩くだけでピチャピチャ泥水が撥ねてリアルだったら気持ち悪いだろうな、なんてことを考えながら後に続く。
「GOOOOOOO!」
全員がエリアに侵入し終わるとゴーレムは立ち上がりこちらに向かってどこから発しているのか、雄たけびのような声をあげ、突進してきた。とうとう始まったのか、二回目とはいえ集団戦なんて始めての俺は心臓がバクバクいって今にも破裂しそうだ。
皆に迷惑は掛けないだろうか、ちゃんと攻撃を与えることができるだろうか。緊張で足が震える。エリア入るまでは余裕だったのに目の前に迫り来る巨体を前にして足が竦んでしまう。
「来たぞ! 前衛班は俺について来い!」
「後衛班は後ろに下がって!」
「治癒、補助班は脇に避けるぞっ」
それぞれの班のリーダーが指示を飛ばし、自分たちに与えられた役割を全うするための行動に移る。先陣を切って突進するゴーレムに向かって駆け出したのはダイモンさん率いる前衛班だ。彼らが最初にゴーレムの注意を惹きつけるのが作戦の第一段階だ。
震える足を動かしリーダーに続いて脇に避ける。しっかりしろ!こんなじゃ足手まといだろ!
「いくぞっ! 【パワースタンプ】!」
「ダイモンさんに続けー!」
「物理効かないからってなめんなよ!」
ダイモンさんが両手で持った戦槌を振り下ろし、アビリティを発動させる。それを皮切りに他の前衛班のメンバーもゴーレムの巨体に攻撃を当てていく。ダメージはほとんど入ってないが、ゴーレムのターゲットは彼らに向いたようだ。
ゴーレムも自身の二本の腕を振り回しダイモンさん達を振り払おうとしているが楯を持つプレイヤーに防がれ、思うようにいかない。
戦闘が始まってから五分、今まで前衛班が必死に攻撃と防御を繰り返しているがゴーレムのHPは全体の5%ほどしか減っていない。
やはり物理攻撃には相当強いようだ。しかし後ろでは後衛班が魔法の準備をしている。隙ができるまで治癒、補助班が前衛班の回復と補助を行い戦線を維持している。
ちなみに俺は前衛と後衛の間ででちまちま点棒を飛ばして地味にダメージを与えている。もちろんちゃんと高い方を使ってだ。これが俺のやること、目立たなくてもいい、補助が今回の俺の役割だ。
次の瞬間、ダイモンさんの一撃で一瞬ゴーレムが怯む、その一瞬をクーデルさんは逃さない。これまでは防戦気味だったけど今から反撃だ!
「今です、後衛班攻撃開始!」
「前衛は退避してくださいっ」
後衛班のリーダーであるクーデルさんの号令に従い、後衛班が一斉に魔法を発動する。燃え盛る火炎や凍てつく氷、地面から飛び出す土塊など様々な魔法がゴーレムを襲う。
物理攻撃には耐性のあるゴーレムだが、弱点である魔法の集中攻撃に遭い、二、三歩後退する。今ので全体の20%くらいダメージを与えることができた。
「次からは足を狙え! 奴が倒れたら俺たちがコアに一気に畳み掛ける!」
「了解しました」
ダイモンさんが前から声をあげ、クーデルさんが応える。再び攻撃を開始したゴーレムの両腕を避けながら前衛班が隙を作り後衛班が魔法を足に向かって撃つ。ゴーレムのターゲットが後衛に向きそうになると、前衛が攻撃し、ターゲットを奪う。
これを数回繰り返すこと十数分、ゴーレムの足にひびが入り、後ろにしりもちを付くように倒れこんだ。
「前衛班、ここで決めるぞ! 全員コアを狙え!」
ダイモンさん達が一斉にコアに攻撃を開始する。ミチルも二本のレイピアを使い、コアに突き刺していた。残り50%ほど残っていたHPはガリガリと削れていき、とうとうHPバーを空にした。
その次の瞬間ゴーレムは一瞬止まったかと思うとポリゴンとなって消えていった。
「GOOO……」
「やったか?」
「ええ、お疲れ様でした」
ダイモンさんが漏らした呟きにクーデルさんが応える。
周りでもお互いに「お疲れ」などねぎらいの言葉を掛け合ったりしている。
山オオカミリーダーを倒した時と同じファンファーレと共に目の前にウィンドウが現れる。
【グラム沼地のボス。《マッドゴーレム》を倒しました。次の街への道が開放されます】
【ボス討伐報酬】
マッドゴーレムブロック×3
マッドゴーレムのコアの欠片×1
このコアの欠片はどうやら魂と同じようなもののようだ。ゴーレムに魂は無いはずだからな。でもこういう場合ってアイテムの分配方法とかどうするんだろう?
とアイテムの表示されている画面を睨んでいると、ダイモンさん前に出てきた喋り始めた。
「みんなありがとう! みんなのおかげでボスを倒すことができた。それでアイテムの分配方法だが、それぞれ何個かアイテムを手に入れていると思う。だから手に入れた者勝ちで構わないだろうか? お金は均等に配分するつもりだ」
みんな「それでいい」と納得しているようだ。こういうことはしっかり決めておかないとトラブルの元になるらしいからな。
そしてダイモンさん、クーデルさんが簡単に挨拶をしてその場で解散となった。このまま新しい街へ向かう者、一旦グラムに戻る者に別れ三々五々散っていく。ダイモンさんらはまだこの場に残って雑談していた。
「ダイモンさん、今日はありがとうございました」
「おう、キントウも来てくれてありがとな。よかったらフレンド登録しないか?」
「いいんですか!」
「また今度一緒に行こうなっ」
「わかりました、では今日はこれで……」
ダイモンさん良い人すぎる、初対面で地味な攻撃しかしてなかったのにフレンド登録までしてくれるなんて。
さて、このまま進むか帰るかどうしようかな、体力的には余裕はあるけど精神的にはボロボロなんだよな。ボスを前に足が止まってしまった。かなり情けない。こんなんじゃトッププレイヤーなんかにはなれないだろう。
「キントウ君お疲れ~」
「ミチルもお疲れ様」
「僕はこのまま新しい街に行くけどキントウ君はどうする」
「んー、今日の所は一回帰るよ」
「そう、じゃあまたね」
ミチルとも別れ一人でグラムに戻る。ゴーレムの素材をω姐さんに買い取ってもらって、その後は街の中でも散歩でもしようかな。
改稿しました




