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26話 エピローグ

「ガウナはエレンの面倒をみてあげてよ。リアン様はロッテ様とオスカーのお世話で忙しいんだから」

『わかったよ、エレン乗っけてそこら辺走ってくるかな。だけどさぁ、一時言い続けて収まったと思ったら、また似たようなことばっかり言ってるんだけど』


 ん? そうだったか? 前にも言ったかな、このセリフ。


 最初の魔力開放から二年目、去年に引き続き、またあの桜に会いに行く時期が近づいてきた。

 今回はエレンにも桜を観せてあげたいと思い、部隊へ同行する予定にしてる。

 リアン様とロッテ様は、ようやく歩き初めた赤ん坊にバタバタ振り回されているようだ。全く余裕のない顔のリアン様を拝めるなんて、生きててよかったって思っちゃったわよ。オスカー、ロッテ様に続き、あんたもリスペクトしてあげる。


 国の魔力開放、つまり花護衛隊の任務は、だいたいその季節の内、半分以上を使って移動した後に行う、と決まっているのに対し、私が行う魔力開放はパターンがちょっと違う。


 薄紅の花護衛が戻った直後くらいに出掛けるのが一番いいと言われたのだ。北の冬の厳しさでは大半の魔物は動かないようなので、その冬ごもり前に魔力摂取させてあげたい、というのが地の龍の希望だった。

 ここの魔物も冬眠するんだね、って関心して話しを聞いたのを覚えてる。


 そんな依頼もあって、私の魔力開放の準備が着々と進められている。


 王都に戻ってくると、ちょうど王家の舞踏会が開かれる時期の直近になることから、任務完了の報告を受けた次の日から社交の季節を始めよう、と宣言された。

 あまりに簡単に変更されちゃったので、王様に尋ねたら「王様だから別にいいんじゃない?」と返されてしまった。

 おーい、フランク過ぎるぜ、ゼフュール国。


 私を親花とする護衛隊は、桜の花で魔力開放することから、桜の花護衛と呼ばれ始め、まだ護衛隊に参加したことのない人たちには、とても人気が高い任務なんだそうだ。

 たまたま王宮に遊びに行った時に、今回の護衛隊に選ばれた、というモブ騎士さんからしっかりお話しを聞いた。


「ねえねえ、アル。私ってすっごい人気なんだよ。やっぱり私から溢れでる魅力に皆さん吸い寄せられるのかしらね?」

「勘違いするな、お前が人気なんじゃない、お前が主体の護衛隊が人気なだけだ。浮かれてると叔父上からガッツリお説教くらうぞ? で、体調はどうだ?」

「うん、全然平気。つわりも無いし、むしろ絶好調」


 アルにも気遣われてるように、私現在妊娠中でございます。

 どうも先月くらいから体調良くないなあ、と思ってたらあっさり告知されてしまいました。加えて何でしょうか、このタイミング。

 今回の護衛隊の任務が終了したら、結婚披露宴を開くとか言われちゃってて……


 いや、最初断ったのよ、派手なイベントは王子だけでいいでしょうって。なのに、ユーリ様ってばものすごくガッカリしたような顔するもんで、王様が気を遣っちゃってね。大々的なパーティーにしようってことになったらしい。

 何も私でイベント組まなくてもいいじゃない、結婚式なんて、こっちの世界じゃあんまりやらないものだって聞いてたのに……


 しかし私も女性だ。花嫁衣装に袖を通すのはやっぱり嬉しいのです、はい。

 アニー様は薄紅のドレスだったが、今回の私のドレスは薄っすらピンクの桜色。お屋敷に戻ると部屋には綺麗な衣装が飾られている。

 アニー様の結婚式はとても素敵だった。私もあんな風に素敵に見えるかしら? まあ、静かにしてれば大丈夫よね。



 明日から出発なので、今日はもうやることが無くなってしまった。ぶらぶらと散歩でもするか。


「おや、君の支度も終わったのか? 体調はどうだ?」


 やってきたのは、街が一望できる高台の丘。

 何となくセレス様もいるような気がしたのよね、正解だったわ。


「先月に比べると全然平気です。しかし、妊婦がこんなにアクティブに活動して大丈夫ですかね。魔力開放して全身ダルダルになったり、結婚式やパーティーやったり」

「ふむ、君の場合、存在が特殊だから多少は他の妊婦と違っても耐性はあるのではないか?」


 何それーっ。私はそこまで鉄人じゃないんですけどっ。

 プンッと膨れて口先を尖らせてると、セレス様が呆れ顔をしながら側に来てくれる。


「全くこの口は摘まれるために付いているのか? こんな顔、今はエレンくらいしかやらんだろう」

「ぅいらい、ぃらいれふっれぇっ」


 私の口をムニッと掴みクスクスと笑ってる。

 摘まんでいた手を押しのけて口をさすってると、不意にその手を外され、代わりにキスが降ってきた。


「ここはいつ来ても変わらない気がする。季節や年月に関係なく、街、景色、人を映しだす。普段の何気ないこの場所と雰囲気が、私にとっては癒しだ」


 そう言って、セレス様は満足そうに街を眺める。私は踏み台に上がって少しだけ高くなった目線で同じように街を眺めた。


「変わらないことに安心する気持ち、解りますよ。この先もずっと変わらないって想像できますもの。でも変わりゆくものも面白いですよ? 次はどうなるか、自分はどう考えるか、ワクワクするじゃない」


 セレス様は目を見張り、私に向かってため息とともに呟いた。


「君は安定より変化を求めるのだな。見ていると本当に飽きない。まあ、目が離せない、というのが本音か。それを眺めるのを楽しみにしている私もやはり変化を楽しんでいるのか……」

「運命や幸運は自分で掴みに行かなくちゃ。足掻いて掴み取ることが私のモットーですからね」


 ふふふ、と笑いながらセレス様の方を見る。

 くすり、と笑い返してくれることに安心した。その穏やかな瞳は、私をいつでも守ってくれていることを物語ってる。


「君ひとりだと何処へ飛んで行くか想像もつかないからな、私も付き合うことにしようか」

「私とセレス様、二人分でも楽しいですけど、これからはこの子も一緒に三人分楽しみましょう!」


 そう言いながらセレス様に向かって、大きくジャンプした。



 ……次の瞬間怒られた。











 花護衛の国のアリス〜二度目の人生、傍観者は卒業します〜 完


完結です!

最後までお付き合いいただきましてありがとうございます。


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