最後に待ち構えた者
敵を倒して、ドウコウ達は最深部に到着する。
「……ここに、助けるべき人がいるのか」
何処からかボスと思われしき敵が現れた。
「……よくここまで来た」
その敵は、どう見ても人間だった。
「だ、誰だ!?」
「私の名は、国のために国に抗う騎士、パヒフヘフォルス。 この国を王族の独裁から変えるために動いている」
「騎士……? タラタラの取り巻きではありませんよね?」
パヒフヘフォルスを名乗る騎士に、テキトーネが話を聞く。
すると、パヒフヘフォルスはドウコウを指してこう答えた。
「タラタラの取り巻き……? 少し前まで旅にお供させて貰っていたが、あの男はお前よりも性格が悪かった」
「どういう事ですか?」
その後も、彼女はタラタラについて説明する。
「あいつは、騎士というものを根本から履き違えていた」
「そもそも、あいつもなるべくして騎士になったのではなく、たまたま騎士になっただけだった」
「どういう感じで履き違えていたんだ?」
「どうやら魔法騎士とやらになりたかったらしいが、魔力を得るためと言って小さな村を焼け野原にしていたな」
「そのくせ性欲が強く、住民の性別で殺す方法が違っていた。 また、窃盗に協力させられた事もあったか」
「それなら、ドウコウさんも……」
<金が無いんだ、これぐらい普通だろ?>
<泥棒は勇者の特権!だろ?>
<盗んだ金はちゃんと棚に戻しただろ、何がいけないんだ?>
「泥棒をやろうとして、村から追放されてましたね。 あの時はまだ、勇者の指命を与えられたばかりだったらしいのですが……」
「やめてくれ! 俺はその事を忘れたいし、それと今の話は別だろ!」
「あの虐殺の後、仲間達が離れて孤独になって泣いているあいつを見たが、あれからもう1年ほどになるのか……」
「ところで、この洞窟に女の子がさらわれているって本当なのかな?」
「本当だ。 だが、誘拐したのは私ではない」
「本当かよ……最低だな、タラタラという奴は」
「私がこの洞窟を探検していると、何故か最深部に少女が立たされていた」
パヒフヘフォルスは、縄縛りの少女をドウコウ達の目の前に。
「最初に見た時は魔物に食われていないか心配していたが、食われるどころか魔物とは異様な関係が築かれていたらしい」
「おそらく、襲ってこないと分かって食わなかったのだろうな。 お前も、一度は剣を隠してみると良いだろう」
「次の冒険でやってみる。 ところで、ここで戦わずに……良いのか?」
「問題ない、戦いに巻き込まれる可能性もあるからな」
そう言われたドウコウは、すぐに剣で少女の手足を縛り付けていた縄を切る。
「……?」




