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「あ……」


 イフは、小さく声を上げただけだった。


 姿が露わになった眼前の人物を見て、言葉を失っている。


(……)


 さもありなん案件だ。


 その喉から漏れた声は、驚愕というよりも、本能的な反応だろう。


 言葉として形になるより先に、身体が目の前の存在を危険だと悟ってしまっている。。


 空気が、変わる。


 肌を撫でる風は先ほどまでと変わらないはずだ。


 はずなのに、熱を帯びたような錯覚を覚える。


 誰も、口を開かない。


 いや、開けなかった。


 目の前に立つその少女は、剣を抜いているわけでもなければ、魔法を放とうとしているわけでもない。


 ただ静かに立っているだけだ。


 だが、それだけで十分だった。


 説明のつかない威圧感が、この場を支配していた。


 息を吸うことすら躊躇するような重苦しい静寂である。


 その静寂の中心に立つ少女だけが、まるで周囲とは別の時間を生きているように見えた。


「……」


 少女は、視線を動かさない。

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