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「地鳴り……行軍の音、ということですか」
「ああ。あれだけの数だ。一斉に動けば、それなりの音がするだろう」
スウェンは、頷いて、
「していたのかもしれません」
と、言った。
「え?」
スウェンのあっさりとした応えに、逆に少しとまどった。
音はしていたのに直前まで行軍に気づかなかった、ということだろうか。
ちぐはぐだ。
音がすれば気づく。
それが自然である。
それなのに、だ。
音はしたが気づかない。
これでは、流れとして自然ではない。
なんだったら、矛盾ともとれる内容である。
なんともな内容である。
一体どういうことなのだろうか。
スウェンは、空に目をやって、
「昨夜は風向きが悪かった」
と、言った。





