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食事の後で、俺は、部屋に、通された。
酒場の喧騒が嘘のように、部屋のほうは、とても静かだった。
「さて……」
アカリは、物置として使っていると言ったが、確かに、色々なものが所狭しと置かれている。
ただ、その置かれ方は、雑然とというよりも整然とと言ったほうが適当で、よく片付いていた。
古めかしい家具や食器、掃除道具、埃をかぶった本の山と、色々ある。
適当にスペースを作って、寝てかまわないし、本なども読んで構わないと、言われていた。
「何故、麻雀が……」
隅っこのほうに、雀卓らしきものと牌らしきものが、視界に入った。
よく見てみると、牌に刻まれている文字は、俺が見慣れているそれではないので、麻雀めいた何かというところだろうか。
眺めてみると、萬子らしきもの、筒子らしきもの、索子らしきもの、字牌らしきものと、一通りありそうだ。
(麻雀は、万国共通……いや、異世界共通だったのか)
こんなことばかり考えていると、麻雀推しなのかと揶揄されそうだが、実は、将棋推しである。
「だが、将棋は……ないな」
と、俺は、独り言ちながら、手近の本を、数ページめくってみた。
「さっぱりわからん」
理解はできないが、草花や乳鉢や乳棒が図解されているところを見ると、薬草の調合に関する記述だろうか。
(……寝るか)
本の山を、少し移動させてもらって、スペースを作った。
俺は、あてがわれた毛布に、くるまった。





