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5-311

 単純に、数だけ見れば、相手はこちらの十倍である。


 大差だ。


 あまり良い塩梅(あんばい)ではないこと明白である。


 そんな俺の心の焦燥(しょうそう)を煽るように、


「おいおいおいおい!」


 と、怒号が飛んだ。


 その中の勢いのある若い黒服が、


「ふざけたことしてくれるじゃねえか……!」


 と、いらだちを少しも隠さない調子ですごんできて、


「てめえら、無事に帰れるなんて思ってねえよなあ……っ!」


 と、続けた。


 ネラーは、肩をすくめて、


「べつにふざけてなんかいないわ」


 と、返して、


「それに、無事じゃないのは、たぶんあなたたちのほうよ?」


 と、すました調子で言った。


 ネラーの返しに、若い黒服の眉間(みけん)にぴききっと筋がはしった。


「なんだと……っ!」


 そう叫んだ若い黒服は、人影にすっと手で制された。


 すっと前に出てきた一人の黒服である。

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