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単純に、数だけ見れば、相手はこちらの十倍である。
大差だ。
あまり良い塩梅ではないこと明白である。
そんな俺の心の焦燥を煽るように、
「おいおいおいおい!」
と、怒号が飛んだ。
その中の勢いのある若い黒服が、
「ふざけたことしてくれるじゃねえか……!」
と、いらだちを少しも隠さない調子ですごんできて、
「てめえら、無事に帰れるなんて思ってねえよなあ……っ!」
と、続けた。
ネラーは、肩をすくめて、
「べつにふざけてなんかいないわ」
と、返して、
「それに、無事じゃないのは、たぶんあなたたちのほうよ?」
と、すました調子で言った。
ネラーの返しに、若い黒服の眉間にぴききっと筋がはしった。
「なんだと……っ!」
そう叫んだ若い黒服は、人影にすっと手で制された。
すっと前に出てきた一人の黒服である。





