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そして、定番のBGMがかかりはじめる。
そうして、殺陣のシーンが始まるのだ。
しかし、あいにく、ここは時代劇の世界ではない。
ばしゃばしゃと水音が鳴り響き続けている。
黒服たちの走る音だ。
黒服たちは、
「いたぞっ!」
「こっちだ!」
「いけ! いけっ!」
などと、声をあげていた。
(……まぎれもない)
と、俺は、思っていた。
そう、ここは、時代劇の世界でもない。
ここは、現実の世界である。
定番のBGMがかかりはじめるわけでもない。
やがて、俺とネラーは、黒服たちと対峙していた。
あっという間に、ネラーと俺の前に、黒服たちが立ちはだかっていた。
ざあざあという雨の音だ。
いよいよ、本降りになりつつあるようだった。
黒服たちは、黙ったまま、圧を放っていた。





