ユキの本心
フェイが寝ている。
「………」
何故かフェイの部屋に忍び込んでいたユキ。静かに、周りに何か無いことを確認してからフェイに手を伸ばす。
…頭を撫でる。撫でて、安心したようにベッドの横に腰掛ける。
「……ルア?」
そうだよ、そう言いたげに口を開くがやめた。そのまま目を瞑り、ルアの事を思い出す。
夢に囚われたルア。救われたユキ。救いたい「お姉さん」のフェイ。
3人の思惑は、深い夜に溶けていく。
我慢できずにユキは布団に潜った。寝たままのフェイに蹴られ、ユキは退散した。
「仮面…『ナイト』?」
「せや ウチが作ったのはワンダーで正体不明の仮面がナイト」
「夜?騎士?」
「どっちもだとカッコええよな!」
真面目な話をしている様でそうじゃない。シエラの疑問を払拭するためにミラを捕まえたが、容量の得ない会話にシエラはイラついていた。
「アンタがカエルの姿でやった事忘れてないから」
「でも楽しかったやろ?」
手を出そうとするシエラ。イヌタロウが何とか抑えた。
「はぁ……ユキを取り返すにはどうしたらいいの」
「取り返すも何も ユキは何もされてないで」
「はぁ…!?」
また手を出そうとする。イヌタロウが何とかした。
「ユキは白雪姫 眠りを覚ましたって事は……」
「キスされた!?キャー!?」
厨房の奥でイヌタロウ母が叫んだ。一度みんな厨房を見たが、一拍置いてミラに視線を戻した。
「こっからは推測になるけど 夢の中で誰かがユキを助けた」
「その誰かって?」
「あっち側の誰かやろな フェイって奴が一番有力候補やね」
「フェイ……」
名前も顔も、ここにいる誰も知らなかった。
「そもそもミラ その名前どこで知ったの?」
みんなが下を向く中、グレーテルが素直に聞いた。
「関係者大体把握してるからやな!」
「アンタどっちの味方なのよ!?」
シエラが手を出す。イヌタロウは止めなかった。
「物語は面白い方がええ!痛いし帰るわ!ほな!」
指をパチンと鳴らし、消えるミラ。シエラは殴ったことを後悔したが、後にみんなに『俺でも殴る』と慰められた。
一人顔を上げないハンス。みんなから見えていないアリスが話しかける。
「何か気になるのですか?」
「俺さ…ここにいる必要居るのかなって」
呟いたハンスに蚊帳の外に居たシュクが抱きしめる。
「ここにみんなが集まったのは ハンスのおかげ」
珍しく優しい口調のシュクに、少し驚くハンス。
正確には、アリスが居たおかげ。俺は何もしていない。
「なんか辛そうだね 濃いの食べて元気出して」
イヌタロウ母にゆで卵を渡される。無言で殻を剥いて食べると、塩もかけてないのにとんでもなくしょっぱく感じた。
アリスは泣いていた。




