謝罪より感謝
ユキは裏切り、仲間がボロボロになる。シエラは下唇から血を流していた。
今朝のイヌタロウを思い出した。『辛い時ほど笑え』。こんな状況で笑うのはどうかしている。でも、何かを救えるのなら。
「こんな時に何笑ってるケロ?」
「黙りなさいカエル!」
脳内に居たカエルをぶん殴り、仮面を付けた。
漆黒のドレスが生成されながら前に駆け出した。パレードは笑いながらステッキを構える。
「いよいよ始まります…!」
「いや 終わったわ」
パレードは疑問符を浮かべると共に脂汗を浮かべる。汗と同時に、背中から温かい液体が流れた。
「パレード!?」
ユキは慌てて背中に刺さった『ガラス』を引き抜く。
「そういえばそんな能力あったわね…」
(俺たちの踏ん張り意味あったかな…)
メイジとアリスが膝から崩れ落ちる。満身創痍の二人にイヌタロウが駆け寄った。
「ダメじゃない……スグに抜いちゃ……」
くぐもった声が辺りに響く。視線を上げると大きなマントをたなびかせた大男がユキとパレードの前に居た。
「帰ったらスグに手当てよ」
「あの体格は…!」
イヌタロウにはピンと来ていた。仮面を被ったオカマ口調の大男に。
正体を叫ぼうとする前に、ウィンクを決めて闇に消えていった大男と二人。叫ぼうとした名前を、吐気に塗り替えられた。
「みんな……大丈夫…?」
目を擦りながらグレーテルが震えた声で問いかける。シエラは怒りと興奮が納まらない様子だったが、地面を強くひと蹴りして仮面を外した。
「……台無し」
震える手で、グレーテルの頭を撫でた。
「台無しだよぉ……」
パレードは子供の様に泣いていた。楽しい時間中に急に仕事が入った様だと語る。
「シエラ…」
ユキも顔を伏せ、空気が一層重くなっていく。
「『フェイ』 なんか嬉しそうね」
「…ごめんなさい」
先ほどまで眠っていたフェイ。寝ぼけているのか、表情がとても明るいものに見えたらしい。
「『ルア』と話せた」
「そう……ルアはなんて言ってたの?」
オカマ口調の大男、『クロ』は問う。
「『ありがとう』…って」




