竹刀の剣士、異世界で無双する その51 エピローグ
初投稿から、ほぼ1年。お付き合いいただきまして、ありがとうございました。
51 エピローグ
ベナラン領都大会の後、ベナラン剣道教室を行いながら、選手の強化をしてきた。そして、ダヒトチーム、ベナランチーム、リクスチームからイーファンド地区大会への選手の選考を行った。俺が見ていてもかなり強いメンバーが選ばれたと思う。
選手とサポートチームがイーファンド地区大会に出陣した。イーファンド州はダイデロッチ王国の東部を統括する。州内にはベナン領のほかにも、10余りの男爵領、子爵領があり、それを取りまとめる形で、イーファンド公爵領がある。様々な男爵領・子爵領を含めてイーファンド州と名のっている。そのイーファンド公爵領の州都はイーファンドと言う。
馬車5台でベナン領都のベナランからイーファンド州都のイーファンドまで、10日ほどの旅だ。旅の間は、特に何事もなく経過した。
イーファンド地区大会には、それぞれの男爵領・子爵領から合計で100名あまりの選手が集まって来る。ここからは個人戦だ。ベナン領の10人はそれぞれ別のリーグに割り振られたため、予選リーグで対戦することはない。選手たちは多少気が楽かもしれないが、監督・コーチ陣は大変だ。10以上ある予選リーグ会場を、俺と村長、ランケスさん、ガリスさんで受け持つ。絶対的に指導者の数が足りないので、マーローさんやバルガスさんにも指導者枠で入ってもらうことにした。
しかし、案ずるよりも生むがやすしのことわざ通り、ベナラン領都の10名は予選リーグを1位で突破した。決勝トーナメントでも活躍し、ベナラン領都の10名は、イーファンド地区大会の上位に入賞した。さすがに稽古時間が足りなかったのか、ベナランチームとリクスチームから1名ずつの敗退者が出た。ベナランのクリスとリクスのマーシュだ。2人はとても悔しがっていた。優勝はグリッツさん。準優勝がシラックさん。3位にカンツェさんとミネルバさん。ベスト8にリーファ、メセルナさん、ジョードさん、ラケスさんが入賞、王都大会出場10名中ベナランチームが8名と言う結果になった。
俺たちは、ガリスさんの提言通りイーファンド州でも剣道教室を開いた。今年のベナン領の躍進を見て、多くの武闘家が申し込んできたからだ。
そして、一か月後。ダイデロッチ王国の王都ダインで王都大会が開かれた。季節は12月を迎えている。俺たちは、ベナランチームの8名とともに王都大会に出場した。東西南北の各州から10名ずつ出場するので、40名の大会になる。8名ずつ5つのリーグ戦で戦い上位3位までの選手が決勝トーナメントに進む。
ここでも、ベナランチームは大活躍した。ダヒトの村の5名は全員リーグ戦1位。ベナランチームとリクスチームの3名はリーグ戦2位と健闘し、全員が決勝トーナメントに進んだ。
「王都大会で、決勝トーナメントに出場できるなんて・・・・。」
村長さん、ランケスさん、ガリスさんが感動で言葉を失っている。しかし、俺には当然の結果のように思えた。元の世界でも、競技の世界では、速さと強さが求められる。これはどんな競技でも共通の真実だ。それが競技である限り。しかし、武道の世界は違う。速さと強さだけでは勝てないのが武道なのだ。現代剣道も武道であるので、体重や体格の違いは無視する。逆に体重でクラス分けをすること自体が武道ではないと言っているようなものだ。そういう考え方のもとに「常在戦場」を実践しているのが剣道だ。なので、筋肉に頼り、速さと強さだけを追い求めているこの世界の闘技術では、剣道には勝てない。俺はそう思って、指導してきた。
結果は、優勝グリッツさん、準優勝シラックさん、3位にメセルナさんとラケスさんが入賞した。上位3位までに入ったダヒトの村チームはもう大興奮だった。グリッツさんが吠え、シラックさんが泣き、メセルナさんは呆然としていた。村長は白目をむき、ヨナスさんは泡を吹き、メリサさんは静かに涙を流していた。表彰式の後で、ベナランチーム全員から感謝の言葉と胴上げをされたのはとても恥ずかしかった。
こうして、俺の異世界剣道物語はひとまず終了になった。
この、お話は、今回でいったん終了します。
現在、第2部の準備を進めています。第2部は、ヨウスケの娘が主人公になります。準備の都合上、1か月以上、お時間をいただくことになります。
今まで、ご愛読ありがとうございました。




