#14 ゆとりに裁きを③-海底撈月-
前回までのあらすじ
誰だよこいつ
インターホン音声『橘 嘉雅梨なんですけど、西覇王ルナさんいませんか~?』
ゆとり(誰だよお前!!!??)
ルナ(どうしてここに嘉雅梨さんが・・・!?)
ゆとり「・・・彼女、ルナちゃんのお友達?」
ルナ「えぇ、そうですが」
ゆとり「呼んだの、ここに?」
ルナ「いえ、呼んでなんかいません。呼ぶ必要がないですから」
ゆとり「そう、よね・・・」
ゆとり(・・・嘘を言っているようには見えない。むしろ、私と同じく謎の来客に驚いている様子・・・とりあえず、この謎の小娘から直接話を聞くしかない!)
ゆとり「まぁいいわ。とりあえず私が出る」
ルナ「・・・」
ルナ「ソエル、私が知らない間にカガリさんを呼んだりしてないよね?」
ソエル<なんだ、俺はてっきりお前が呼んだのかと思ってたんだが?>
ルナ「・・・そう。じゃあどうしてカガリさんは私がここにいることを知っているんだろう?」
ソエル<さぁな。ま、仲間が一人増えたし、これでひと安心だ。どっかのアマちゃんがゆとりの野郎に騙されて、また逃げられるところだったからよぉ>
ルナ「っ、まだ言ってるのソエル。どうしてそんなに人を疑うの?」
ソエル<どうしてそんなに人を信じられるのか、そっちの方が疑問なんだが?>
ルナ「・・・もういい!」
玄関
ゆとり「は~い(玄関を開ける)」
嘉雅梨「おばさん誰?」
ゆとり「第一声がそれか小娘」
嘉雅梨「えぇ17歳なので小娘です。おばさんじゃないですよ」
ゆとり「はぁもう帰ってくれない。ていうか誰よあなた?」
嘉雅梨「橘 嘉雅梨ですって」
ゆとり「いや誰だよ。みなさんご存じでしょう、みたいな感じで言われても知らねぇよ」
嘉雅梨「えっ知らないんすか。この前まで少年院入ってたって近所では有名ですけど?」
ゆとり「・・・へえ、あなたも前科者なのね。で、何の用?」
嘉雅梨「ルナいますよね、会わせてくれませんか?」
ゆとり「なんでここにいると思うの?」
嘉雅梨「・・・とぼけんな。聞いたんだよ、アンタの仲間から」
ゆとり「っ!!」
嘉雅梨「黒い服きた『いかにも』って集団とすれ違ってよ、そいつらが『西覇王』ってワードを口にしてたのを聞いたんだよ。それで問いただしてみたら、ルナを捕らえにいくって言うじゃねぇか・・・で、目的地を教えてもらってここに来たんだよ、ババア」
ゆとり(こ、こいつ・・・!!!)
嘉雅梨「どうやらルナは、お前に騙されてるみたいだな。自分を仲間だと信じ込ませている間に、刺客を送って捕らえる・・・アタシはそういう人の良さを逆手に取るような奴が大嫌いなんだ・・・」
嘉雅梨「お前の仲間はここには来れない。分かったらさっさとルナを出しな」
ゆとり(・・・)
ルナ「なにやってるんですか?」
ゆとり「!!!」
嘉雅梨「ルナっ、このババアに気をつけろ!こいつはお前を捕まえようと・・・」
ゆとり「ちぃっっ!!!(嘉雅梨をおさえる)」
嘉雅梨「っ!」
ルナ「ゆ、ゆとりさん・・・なにを!?」
ゆとり「動くな、動いたらこいつの首をかき切る!!」
ルナ「そんな・・・まさか、また私を騙してたんですか・・・!?」
ゆとり「そうよ。やっと気付くなんて、相変わらずおめでたい頭してるわね」
ソエル(俺もそう思う)
ルナ「っ・・・」
ゆとり「私はあなたの仲間じゃない。そうと分かったら、服を脱ぎなさい。この大事なお友達が傷つくのを見たくないのなら、さっさと無防備な様を私に見せるのよ・・・!」
ルナ「・・・はい」
嘉雅梨「・・・その必要はねぇぜ、ルナ」
ルナ「えっ」
嘉雅梨「死ね!!!(ゆとりの首に噛みつく)」
ゆとり「いっだぁぁあぁぁぁぁっっっっっ!!!!???」
ルナ「・・・!」
嘉雅梨「ついて来い、ルナ!!!(逃走)」
ルナ「う、うん・・・!(逃走)」
ゆとり「ぐぅっ・・・」
ゆとり(ち、血が出てる・・・血が出るほど噛むなんて肉食動物か、あの小娘・・・!)
ゆとり(まぁいいわ。せいぜい逃げなさい、西覇王ルナ。でも、あなたは私から逃れることはできない。なぜなら・・・)
???「随分とやられましたね~先輩」
ゆとり「!?」
???「大丈夫ですか~?」
ゆとり「っ、いつからいたの・・・城ヶ崎?」
城ヶ崎「いつって、今来たんですよ~!マンションの前を歩いてたんですけど、叫び声が聞こえたから、急いで駆けつけてきたんじゃないですか~」
ゆとり「・・・そう。まさかとは思うけど、私がやられている様を遠くから眺めてたりなんてしてないわよね?」
城ヶ崎「そんなことするわけないじゃないですか~!僕がこの世でもっとも尊敬する先輩を見殺しにしようなんて・・・」
ゆとり「そう。私は大丈夫だから、さっさと去りなさい」
城ヶ崎「いいえ、去りません~」
ゆとり「なに・・・?」
城ヶ崎「知ってますよ~先輩が家に侵入されたことも、先輩の部下が倒されたことも」
ゆとり「っ、やはりあなた・・・ずっと私のことを?」
城ヶ崎「そうですよ~!実はね僕、先輩を捕らえにきたんですよ~」
ゆとり「捕らえる、ですって・・・まさか、上の連中が!?」
城ヶ崎「いいえ。僕の独断です~」
ゆとり「・・・どういうつもり?」
城ヶ崎「だって~僕、先輩のこと嫌いなんですもん~。嫌いな上司には、さっさと消えてほしいと思いませんか?」
ゆとり「!」
城ヶ崎「今日の先輩の2つのミス・・・上に報告したらどう思うでしょうね~?やっぱり無能を会社に置いておきたくはないですもんね~?」
ゆとり「・・・本気で言ってるの?」
城ヶ崎「本気だから、わざわざ言ってるんじゃないですか~」
ゆとり「そう・・・あなたは昔から生意気だったけど、そんな野心があったなんてね。いいわ、西覇王ルナの前にあなたを消してあげる・・・!」
城ヶ崎「おっと、あんまり抵抗しないでくださいよ~。できるだけ手荒なことはしたくないんで~。嫌いとはいえ、本当に尊敬してるんですから」
ゆとり「抵抗するのはあなたのほうよ(スタンガンを撃つ)」
城ヶ崎「いだだあぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!???」
ゆとり「ふふ。相手が女だからって、油断しないことね」
城ヶ崎「そうですね~(スタンガンを蹴り飛ばす)」
ゆとり「くっ!!?」
城ヶ崎「スタンガンが直撃して油断しましたね~。僕ビリビリには結構慣れてるから効かないんですよ~」
ゆとり「ちぃっ・・・!」
城ヶ崎「あれ、もう終わりですか~。スタンガン以外に抵抗手段はないんですか~?」
ゆとり「・・・!(スタンガンを拾う)」
城ヶ崎「あちゃ~、やっぱりそれしかないんですね~。先輩ワンパターンだ~」
ゆとり「うるさいわね。今度は電力MAXで行くわ。謝るなら今のうち・・・」
城ヶ崎「遅いですね~(ゆとりの首を蹴る)」
ゆとり「がっっ!!!!???」
城ヶ崎「すみません先輩~、なるだけ穏便に済ませたかったんで急所狙っちゃいました~。悪く思わないでくださいね~?」
ゆとり「うぅ・・・」
城ヶ崎「お~まだ意識がありますね~。じゃあ意識があるうちに言っておきますね~」
城ヶ崎「今までありがとうございました~。先輩♪」
ゆとり「・・・」
おかしいな・・・どうしてこんなことになったんだろう
私だってただ、アイドルになりたかっただけなのに―――




