#13 ゆとりに裁きを②-イリュージョニスタ-
前回までのあらすじ
お湯アツゥイ!
ルナ「一緒に343を倒しましょうよ、ゆとりさん」
ゆとり「・・・えっ?」
ソエル<ルナ、てめぇ・・・!!>
ゆとり「なにを言っているの・・・まさか、そのために私の家に?」
ルナ「いいえ。元々はあなたを人質に343を脅すつもりでした」
ゆとり「っ!」
ルナ「・・・ですが、気が変わりました。本当のゆとりさんは悪い人じゃないと感じた。だから、あなたと一緒に戦いたいと思った」
ソエル<おいてめぇ、自分がなにやってんのか分かってんだろうなァ・・・!?>
ルナ「だからお願いです。私と一緒に、343を倒しましょう」
ゆとり「本気で言ってるの・・・本気で私を仲間にしようっていうの?」
ルナ「本気です」
ゆとり「私は一度、あなたをハメた。それでもあなたは、私を信用してくれるの?」
ルナ「信用します」
ゆとり(・・・)
ゆとり「じゃあ協力するとして、私は何をすればいいの。もう人質にするつもりはないんでしょう?」
ルナ「私に343の情報を流してください」
ゆとり「なるほど、『逆スパイ』か」
ルナ「協力してくれますか?」
ゆとり「・・・」
ゆとり「私ね、アイドルになりたかったの」
ルナ「っ!」
ゆとり「アイドルになるために昔から勉強してた。周りからはアイドルオタクだって笑われてたわ。でも気にしなかった。だって憧れてたんだもん」
ゆとり「それでようやく343プロに所属した。やっとアイドルになれたって思ったわ。嬉しくて嬉しくて、気がつけば子供みたいに街を走り回ってた」
ゆとり「・・・でも、私はアイドルにはなれなかった。343プロから課せられた仕事は、他者のアイドルを蹴落とすことばかり。気がつけば30目前。いつのまにか敏腕スパイとして、一部の界隈から恐れられるようになった。おかしいわよね、私はただアイドルになりたかっただけなのに」
ルナ「・・・」
ゆとり「私は同じくアイドルを目指すあなたを騙し、社会的に抹殺した。そんな子と協力する資格なんて私にはないと思うの」
ルナ「それは・・・」
ゆとり「でも、あなたが信じてくれるなら・・・私を必要としてくれるのならば、私は協力する。いや、させてほしい・・・!」
ルナ「・・・じゃあ!」
ゆとり「えぇ。一緒に戦いましょう、ルナちゃん」
ルナ「はい!!」
ソエル<・・・おい、どういうつもりだ。形無ゆとりを仲間にするなんて>
ルナ「仲間は多いほうがいいでしょ。それに、人を傷つけるのはやっぱり嫌だ。必要のない暴力は、なるべく避けたい」
ソエル<俺は警告する、あいつは危険だ。このまま、人質として利用するんだ>
ルナ「聞いたでしょ。ゆとりさん、アイドルになりたかったって」
ソエル<・・・だから?>
ルナ「同じ道を夢見た人が、私と同じように343プロに苦しめられている。これ以上あの人を苦しめたくない・・・」
ソエル<バカが、どうしてその話を信じられる。相手は俺たちを絶望にたたき落とした張本人だぞ。あれくらいの話、いとも簡単にでっち上げられるだろうが>
ルナ「でも・・・!」
ゆとり「・・・あの~、ルナちゃん?」
ルナ「はっ!」
ゆとり「そろそろ拘束を解いてもらってもいい?」
ルナ「あぁそうでした、すみません!(拘束を解く)」
ゆとり「ありがとう。それと、脱衣所にある服も持ってきてもらえる?」
ルナ「はい、今取ってきます!」
ゆとり「・・・」
ソエル<・・・心底見損なったぜ。お前がここまでアマちゃんだとは思ってなかった・・・!>
ルナ(黙って)
ソエル<っ!?>
ルナ(・・・。)
ソエル<ちっ、どうなっても知らねぇからな・・・!!>
ルナ(・・・。)
10分後
ゆとり「・・・さぁ。服も着たところで、今後の動きについて教えてもらってもいい?」
ルナ「私が動くのは、あくまであなたが『何かしらの情報』を手に入れてからです。343プロを貶めることができそうな情報を」
ゆとり「具体的には、どんな情報?」
ルナ「・・・そうですね。上層部のスキャンダルとか、面白そうですけど」
ゆとり「いいわ。上層部とのコネクションは十分あるし、何かしらのボロは出てくると思うわ。で、それを録音でもすればいい?」
ルナ「そうですね、お願いします」
ゆとり「で、それを武器に343を脅す、と?」
ルナ「343に属するあなたにとって、この作戦はどうですか?」
ゆとり「・・・悪くはないわ。あなたが何をするかにもよるかと思うけど、343の名を地に落とすことはできるとは思う」
ルナ「そうですか、よかった・・・ちなみに、現時点でそういうボロを出しそうな人っていますか?」
ゆとり(・・・。)
ゆとり「そうね。経営戦略部にいる『森久保』っていう男かしら。343の人間は基本的に反社会とのコネクションはある。とはいえ直接的な関わりはほとんどない。なぜならリスクが大きいから」
ゆとり「前に私があなたをハメた時も、裏で中野に指示をしていたけど、メールでのやり取りだけで直接対面することはなかった。でも森久保は違う。彼はしょっちゅう反社会の人間と食事をしている」
ルナ「なるほど、自らリスキーな行動をしている人間なら、証拠も掴みやすいと」
ゆとり「そういうこと。まぁ今後は、森久保を注意深く観察しておくわ」
ルナ「お願いします」
ゆとり「・・・」
ゆとり(19時半か、そろそろ来るわね・・・『救援部隊』が!!!)
インターホン「ピンポッッッッン!!!」
ゆとり(来た!!)
ルナ「・・・誰でしょうね、こんな時間に」
ゆとり「さぁ、宅急便かしら?」
ゆとり(お前を捕らえにきた私の仲間よ、バーーーカ!!!本当に騙しやすいわねぇ、西覇王ルナ・・・同じ奴に二回も騙されるなんて才能あるわよ、あなた・・・!!)
ゆとり(しかも今回は、『協力しましょう』などと自分から騙されにきた・・・そういう人情くさいところも、あなたのいいところよ・・・!!!)
ゆとり「・・・私が出るわ、ちょっと待ってて」
ゆとり(しかし、私をここまで陥れたのは敬意を表してあげる。たかだか小娘ひとりに全てを奪われるところだった・・・だがあなたの勝機もここで尽きる。いまインターホン越しにいる刺客によってね・・・!!!)
ゆとり「は~い?」
インターホン音声『西覇王ルナさんっていますか~?』
ルナ・ゆとり「・・・え?」
インターホン音声『橘 嘉雅梨なんですけど、西覇王ルナさんいませんか~?』
ゆとり(誰だよお前!!!??)
ルナ(どうしてここにカガリさんが・・・!?)




