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アイドルバスター2 覇道戦線  作者: おでん信用金庫
12/20

#12 ゆとりに裁きを①-HOT MOTTO-

前回までのあらすじ


脅される大人



同日 15:30

都内某所



ゆとり「私の住所を教えた・・・なんでよ!?」


淡島(あわしま)『すみません、西覇王(にしはおう)ルナって女に脅されて・・・』


ゆとり「は、西覇王!?」


淡島『はい。ですので、今日は家にお帰りにならないほうがいいかと』


ゆとり「・・・バカね、たかが小娘1人に怯えて逃げ回るなんて冗談じゃないわ。ま、忠告だけは大人しく聞き入れておいてあげるけど」


淡島『ですが、()()()()()と油断しない方がいいですよ。あの女、どうやったかは知りませんが中野を病院送りにしたんですから』


ゆとり「ふ~ん」


淡島『ふ~んって、驚かないんですか・・・?』


ゆとり「別に。あの子ならやってもおかしくはないわ。どちらかというとたかが小娘に脅されて人の住所を勝手に教えるほうが、よっぽど驚きなんだけど?」


淡島『す、すみません』


ゆとり「ま、今回だけは許してあげる。でも、次はないわよ?」


淡島『はい!!』


ゆとり[着信終了]


ゆとり「ったく・・・」


ゆとり(西覇王ルナ、またその名を聞くことになるとはね―――)





18:00

『レジデンス・ヴァルキュリア』505号室前



ゆとり「・・・」


ゆとり(誰もいない。尾行されている気配もなし・・・ふん、なにも心配する必要なかったじゃない。淡島の無能が)


ゆとり「まぁいいか。これでゆっくり、昨日録画した『いきなりプラチナ伝説2時間スペシャル』を観られるわ・・・」




18:20

ゆとり宅 バスルーム



ゆとり(脱衣)「よし。さっさとシャワー浴びてプラチナ伝説を・・・」


???「動くな(背後からナイフを構える)」


ゆとり「っっっ!!!?」


???「無駄な抵抗はせず、ゆっくりとしゃがんでください」


ゆとり(こ、この声は・・・!)


ゆとり「久しぶりね、ルナちゃん・・・」


ルナ「えぇ、お久しぶりですね。ゆとりさん」


ゆとり「おかしいわね。帰ってきた時、たしかに鍵は閉めたはずなんだけど?」


ルナ「そうですか。まぁ()()()()()()で閉めたところで、意味はないですよ」


ゆとり「侵入された後・・・まさか、あなた?」


ルナ「えぇ。2時間前からずっと待機してましたよ。あなたの()()()()で」


ゆとり「驚いた・・・家主からマスターキーでも脅し奪ったのかしら?」


ルナ「いいえ、そんな()()なことしませんよ。あなたの帰りを待ってるのが暇だったんで遊び半分でピッキングしてみたら、意外にもラクに開いたってだけです。ラッキーでした」


ゆとり「・・・そっちの方が何倍も野蛮よ、ルナちゃん」


ルナ「かもしれませんね。でも、あなたに野蛮だと言われるのは癪ですね」


ゆとり「ふん。で、何の用かしら。あなたも録画したバラエティ番組を観に来たの?」


ルナ「ご冗談を。馴れ合いに来るわけがないでしょう、この外道(げどう)が」


ゆとり「じゃあ何、私を殺しにきたの?」


ルナ「短絡的な発想ですね。私はただ、あなたを拘束しにきただけです」


ゆとり「拘束、ねぇ・・・その前に服くらい着させてくれない?夏とはいえ寒いのよ」


ルナ「ダメです」


ゆとり「え~なんで~?あっもしかして、私を全裸で拘束してエロ同人みたいなこと・・・」


ルナ「ただ無防備でいてほしいだけです。その方が都合が良いので」


ゆとり(・・・あっそ)


ルナ「とりあえず、あなたを当分拘束します(縄を構える)」


ゆとり「拘束って、どれくらい?」


ルナ「さぁ。あなたの上司次第ですよ」


ゆとり「何か食べさせてくれない?お昼から何も食べてないのよ」


ルナ「ダメです」


ルナの腹『ぐぅ~~~~~』


ルナ「っ!///」


ゆとり「な~んだ、ルナちゃんもお腹すいてるんじゃん。ずっと待ち構えてたもんね。カップ麺でよければごちそうするけど?」


ルナ「・・・わかりました。ただし、あなたを縄で拘束してからです」





ゆとり宅 キッチン



ルナ「なにがいいですか」


ゆとり(全裸拘束)「えっ、選んでいいの?じゃあシーフードでお願い」


ルナ「シーフードは私のです。他のにしてください」


ゆとり「私のって・・・私が買ったシーフードなんだけど!?」


ルナ「作るのは私です。シェフの意向に従ってください」


ゆとり「カップ麺ごときでシェフを気取らないでもらえる?」


ルナ「うるさいですね。沸騰したお湯ぶっかけますよ?」


ゆとり「それだけはやめてください」


ルナ「ほら(お湯をかける)」


ゆとり「ぎゃああああ熱っっっあっっつぁぁぁぁぁぁ!!!!?(悶絶)」


ルナ「な~んて、冗談ですよ」


ゆとり「じ、実行した時点でそれは冗談とは呼べないのよ」


ルナ「じゃあ『SPAM(スパム)』でいいですね」


ゆとり「・・・え。全裸で拘束されたまま熱湯をかけられた挙句、カップ麺を食べることすら許されないの?」


ルナ「はい(満面の笑み)」


ゆとり「くっ、なんて淀みのない笑顔・・・!」


ソエル<・・・楽しそうだな、ルナ>


ルナ「っ!」


ソエル<まさか、ゆとりの野郎に気を許したわけじゃねぇだろうなァ?>


ルナ「そ、そんなことないよ・・・」


ゆとり「ん、何か言った?」


ルナ「いえっ、なんでもないです!なんでも!」


ゆとり「・・・そう」


タイマー『あピピピあピピピのピィィィィッッ!!!』


ルナ「できました。熱いので気をつけてください」


ゆとり「・・・」


ルナ「っ、どうしました?」


ゆとり「ん~ん。なんか、さっきと比べてちょっと話しやすくなったなぁって思って」


ルナ「・・・そうですか?」


ゆとり「うん。さっきはもっと怖くて冷たい口調だったし」


ルナ「・・・」


ゆとり「ねぇルナちゃん。怒ってるよね、私に」


ルナ「さぁ。少なくとも許したつもりはありません。ただ、それだけです」


ゆとり「そうよね。ごめんなさい、ルナちゃん」


ルナ「今更謝られたって・・・」


ゆとり「いいの、許してもらうつもりはないから。でも、前から一言謝りたいと思ってたの」


ルナ「・・・ゆとりさんは、上司に命令されて私を嵌めたんですか?」


ソエル<・・・ルナ>


ゆとり「そう。456プロの勢いは343プロの脅威になる・・・そう考えた上層部は、456にスパイとして私を送り込んだ。そしてあなたたち『New(ニュー) Desires(デザイアーズ)』を消すように命令された」


ルナ「じゃああなたは、私と出会った時からずっと敵だったってことですか?」


ゆとり「そういうことになるわ。343プロの地位を落とすための、『材料』ってことね」


ルナ「どんな気持ちでしたか?」


ソエル<おい、ルナ>


ゆとり「・・・そうね、決して良い気分ではなかった。むしろ逆、未来ある少女を傷つけるんだから、その分罪悪感は強かったわ。正直な話、なんて卑劣なプロダクションにいるんだろうとまで思ったわ」


ルナ「・・・」


ゆとり「変な話しちゃってゴメンね。伸びないうちに、早く食べましょう」


ルナ「倒しましょう」


ゆとり「・・・え?」


ルナ「一緒に343を倒しましょうよ、ゆとりさん」


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