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真理の探究者  作者: しま
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モーガンの長

「ようは頭の固い老害がのさばってるって訳ですか… 僕はこの屋敷が安全だと思ったので母様を連れてきました。魔王に関しては僕たちがなんとかしましょう。長とやらの説得は任せてもいいですか?最終手段は長を殺して貴方に新しい長になってもらいます」


「…は?」


「僕は母様が安心して不自由無く暮らせる環境を作りたいので邪魔者は全て排除します」


「ちょっと待て!いきなり来てまだ会ってもいない長に危害を加えるつもりなのか?!」


「だから最終手段ですよ。僕も一度お会いさせて頂きたいと思っています。あまりに会話にならなず母様を虐げるようなら殺す事も厭わないって事ですよ」


「そ、そんな奴を屋敷に入れるわけには…」


「長は母様を受け入れる気はないんですか?」


「分からん!まだ長に報告していないのだから!」


「それもそうですね。突然脅すような事を言って申し訳ありません。僕はルリさんとランさんに色々とお話しを聞かせて頂きたのでここで待ってますよ」


「客人だから屋敷には入ってもらう。部屋をあてがうのでそこで暫く待っていてくれるか?」


「わかりました。ありがとうございます」


ジョージに連れられて屋敷に入る。屋敷の中は探偵物の小説に出てきそうな古めかしい洋館だ。殺人事件が起きそうだな。まぁ多分起こすのは俺だろうけど。


薄暗く光源が主にロウソクの所々クモの巣が張った部屋に通される。

蜘蛛の巣は長の趣味だそうで決して掃除をしていないわけじゃないと俺が蜘蛛の巣を見た瞬間に言って来た。


「母様。長とやらについて教えてくれます?」


「長はね… 二人の姉妹なの。見た目の年齢は私くらいなんだけど何時から生きていらっしゃるのか分からないくらいに古い方。一人はわりとおしゃべりでいらっしゃるけどもう一人は無口ね。何を考えていらっしゃるのか分からないわ」


「その無口な方がお姉さんなんでしょ?」


「よく分かったわね!」


「まぁ… テンプレですから。妹さんが理解ある人である事を願いましょう」


「ご主人様ー。本当に敵対したら殺すんですか?」


「まぁ、さっきのは脅しの意味合いが強いけど、もし母様に危害を加えようとしたなら問答無用で殺す。ヤマの力で殺せば証拠も残らないしな」


「そう言えばヤマさんの能力って謎ですね」


「だろ?もうすぐ分かりそうな気がするが。分かった時は死んでる時かもしれないけど」


「怖っ!」


「ヤマは平和主義者だよ?」


「うんうん」


平和の意味をはき違えているチャンドラが首を傾げてそんな事をのたまい、ヤマも適当に同意している。ラバナは… 苦笑いだ。

ルリとランに真祖について聞く。真祖は今の俺と似たような背格好の少年でどれほど昔から生きていたのかも分からない程だったそうだ。

しかし、彼はある大吸血鬼と戦い命を落としたらしい。そういう設定か…


30分程でジョージが戻ってきた。


「待たせて済まない。ニーナとゼロは長に会ってもらう。他の方々は引き続きここで待っていてくれるだろうか?」


「えぇ〜?!ヤダヤダ!飽きたもん!屋敷の中探検したい!ね!良いでしょ?暴れないから!」


「チャンドラ… ここはゼロ様について行くと言うのが正しい従者だよ?」


「疲れたからベッドがある部屋に案内して欲しい…」


「この意識低い系従者め!魔王との戦いの時雑魚処理はヤマにやらせよう」


「ヤマの広範囲攻撃ってヤバくないですか?そもそもボヘミア城の中をそれぞれの戦闘領域に分けたのってヤマの能力が我々に影響しないようにするためですよね?」


「ラバナの魔法でどうにかならんか?」


「僕はヤマの攻撃を防ぐ手段は無いんですよね… アレは魔法でどうこうって力じゃないですから」


「そう言えばそうだな… じゃあ、広範囲を禁止して雑魚処理してくれ」


「うぼぇあ!!」


ジョージが早くしろオーラを出し始めたのでソファから崩れ落ちたヤマをスルーしてニーナの手を取り部屋をでる。

何か羨ましそうな視線をジョージから受けながら長とやらがいる部屋に案内された。


「カトレア様、フローラ様。ニーナおよびその息子、ゼロを連れて参りました」


「入れな」


扉が開くとそこは真っ暗な部屋だった。

暗い場所でも目は見えるので向こうに座っている女を二人見る。

一人は太った女だ。そしてもう一人は長い髪を流した小柄な女性。

大きな一人掛けのソファに太った女性が座りその肘掛けに小柄な女性が座っている。


「おぉ!そのガキ、本当に真祖様のような見た目だね! それと、ニーナ!よくもノコノコとか戻って来れたもんだ!」


口うるさい妹は小さな子だった。

姉のカトレアは深い色の目で俺をじっと見ていた。


「カトレア様、フローラ様。お久しゅうございます。恥を忍んでニーナ モーガン戻って参りました」


膝をついて頭を垂れるニーナ。


「ふん!こんな辛気くさい所は嫌だって外に出たんだろ?自分の行動には責任を持ちなよ」


「母様をここに連れて来たのは僕です」


「ん?ニーナの息子、何か言いたい事があるのかい?」


「僕がここに母を連れて来たんです。ここが彼女にとって一番安全な所だから」


「アンタの方が私たちより強いだろ?なんでアンタが守ってやらないんだい?」


「それは、これから僕は神国に行くからですよ」


「はぁ?神国?ニーナ、アンタ自分の子どもにどういう教育してんだい?」


「僕の事について細かく話す時間はないんです。要は、母様が再びここで暮らす事を認めて頂きたい。それだけです」


「ふん!殺気なんて放ってどうするんだ?私たちを殺す気か?」


「それしか母様がここで暮らす方法が無いならそうします」


「ははは!凄いね!そんな事を堂々と言うなんて! 第一、最近ここら辺には魔王がうろちょろしてるんだ。昔みたいに安全に静かに暮らすってわけにはいかないんだよ」


「邪魔者は僕が排除しましょう。では、魔王を倒してここに平和を取り戻したら母様がここで再び暮らす事を認めて下さい」


「アンタがアイツを倒してくれるのかい?そりゃいいねぇ。姉様、あのガキあんな事言ってるけど、どうする?」


「ん〜…」


「好きにしろってさ。じゃあ、アンタの提案を飲んでやろうか。でも平和を取り戻すってのは難しいんじゃないかねぇ?」


「そこは考えていますよ。貴方達はこのホコリっぽい部屋で寝ていれば良い」


「クソ生意気なガキだねぇ…」


「良かったですね、母様。ここに戻してくれるそうですよ?」


「え!ま、また私を無視してそんな事決めて!」


「いいから行きましょう。ジョージさん、これから敵の情報を話してくれますか?」


「あ、あぁ…」


一応一礼してから部屋を出る。

部屋を出て暫く歩くと二人が深くため息をついた。


「お、お前はなんて恐れを知らない行動を取るんだ… 本来なら殺されていたぞ…」


「彼女達が何もしてこなかった理由はどんな方法を取ったって僕に勝てないと分かったからです。相手との戦力差も分からない程馬鹿じゃなくて助かりました」


「あのお二人があんな暴言を吐かれても何も言わないなんて… 貴方って本当に凄い力を持っているのね…」


「じゃあさっさと戻りましょう。仕事は早く終わらせるに限ります」



ゼロが部屋を出た時、ジョージやニーナと同様に長の二人も深く行きをついていた。


「ふぅ〜… 何なんだ、あのガキは… 強いなんていう言葉で収まる器じゃないよ… 私が怒らせないように気をつけたのなんて初めてだ」


「彼に任せる…」


「そうだね。ニーナを戻すだけであの悪魔をどうにかしてくれるんならこんな簡単な話は無い…」


実はこのままではその魔王とやらにモーガンは滅ぼされてしまうかも、という所まで来ていたのだ。

二人はゼロの思いがけない来訪に感謝していたりしていたのだがそれはゼロは知らない。


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