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【第2話】天使の妹の入学式

そんなこんなで、貴族院入学当日の朝

「ふぅ……リア、行きましょうか」

息を整えて馬車に乗り、貴族院を目指す。貴族院に行く道中で従者のリアと談笑をしながら、馬車が揺れて景色が変わっていくうちに、入学する「セラリラス学院」が見えてくる。白を基調とした壮大な学園は、外から見てる分にはとても美しく見えた。この学園は、国内でトップ3を争う所だ。残りの2つは、「リセファラ」、「アメリザス学園」。セラリラス学院は戦闘狂の集まりで、実技でとんでもない点数を叩きだす生徒がよくいるのだとか。その次はリセファラで、知性を重んじた戦略的な戦いをする人が多い。セラリラス学院でももちろん経済や、礼儀に対しての学習もするがメインではない。アメリザス学園は、色んな人材が集まっていて、幅広い学問を学べる。浅く広く、というわけだ。

「リーネアース様、あちらがセラリラス学院でございます。」

「わぁ…すごい。ふふっ、とっても綺麗」

すると、リアが眉を寄せる

「あの学院……私もあちらに通っていたのですが、……いえ、やめておきましょう。それよりリーネアース様、そのような口調では舐められてしまいますよ」

現に、この従者には舐められているので否定できない悔しいところ

「はいはい。着いたらちゃんとしますよ」

とそっぽを向いて、学院を眺める。初めて見たら、感動で打ち震えるぐらい綺麗だ。

そんな感じで到着を待っていると、学院に着いたようで馬車が停車した

「リーネアース様、向かいましょうか」

さりげなくエスコートされるのも、嫌いではない。だが私みたいな普通の女の子より、綺麗な令嬢をエスコートしてあげた方がこの従者的には「美男美女」という言葉が似合うだろう。悲しきかな、自分の容姿を自覚していないというのは……という、自分に対する特大ブーメランを心に留めながら歩いていく。だが、親から貰った「目立たないため」のぶかぶかパーカーとサングラスをつけているせいで存在感は0。お姉ちゃんみたいな綺麗な容姿をしてるならまだしも、私にはいらないだろうと思っていたリーネアースにはとても効果的な贈り物だろう

「お姉様、ごきげんよう」

自身の姉であるリリークライネをみつけ、上機嫌で近づきながら挨拶を交わす

「ええ、リーネアース。入学おめでとう、新入生はあの体育館へ集合よ」

顔で行き先を示され、リーネアースはその方向へ進む。まあ、なんとも地味な格好で進むリーネアースに声をかける者はいなかった。そうして体育館で座り、開幕を待っていると、時間が来た

「新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます」

優しく微笑む生徒会長。既に何人かは心を撃ち抜かれた様子だ。早すぎる、と横目でちらっと見てすぐに戻す。そこからはつまらない話しかなかったので、サングラスという万能道具を利用して半分寝ながら話を聞いていた

「今年も我が校が実技トップを貫きましょう!素晴らしき世界に祝福を!」

皆が一斉に杖を上げる。持ち物に書いていたのはそういうことか、と思いながら他に合わせて杖を上げる。果たして世界に祝福をなんて大層な言葉はいるのだろうか。この言葉で会場が沸き上がり、眠らせないぞとばかりに大歓声をあげる皆についていけず、「おー」と棒読みで言った言葉は掻き消された。生徒会長は優しい笑みを浮かべているだけで、特にテンション爆アゲの様子もない。この生徒会長は常識人で助かった……

そして、リーネアースが待ち望んでいた成績最優秀者の先輩からのお言葉。「今年はぜっっったい最優秀を取りますから、ぜひ見ておいてください」と言った姉の言葉を、私は信用している。そして望み通りに姉が出てくる。最優秀者の女性には、「天使」。男性には「勇者」という大層すごい名前がつけられ、大体その後はいじられるのだ

「新入生の皆様、天使のわたくしからもお祈りいたします。皆様、ご卒業おめでとうございます、神に感謝を!」

あぁ、いらない。こういう文化本当にいらない

「今年はわたくしの妹も入学したことですし、とても楽しみにしておりますよ」

こちらに向かって微笑む姉。あぁ、やめて!「とても楽しみにしております」その言葉が天使としてではなく、私の姉としてこちらに向かってきている。そのせいで期待値爆上がりだから!みんなこっち向かないでぇ!私は目立たないって決めたのに……

だが、まだこれ以上に目立つ事態になるとは、知る由もなかった

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