テディの懸案事項
朝食を食べるとテディと連絡を取る。
テディによるとまだ組織の人間を泳がせているらしい。
詳しい話がしたいという事なので、何故かホルストのカフェで合流する事になった。
ルーカスは今日は予定がないのでついて来てくれる。
着替えは昨日買った服だ。替えの下着と着替えはテディに渡さなかったのだ。
リップとイヤリングをしてクルンと髪をお団子にする。
「先生準備出来ましたー!」
「また今日は違った雰囲気だな!」
今日のオシャレはミニ丈の白のキュロットに薄い水色の背中が少し空いた服だ。
「今日はテディの趣味じゃないからです。完璧私の趣味ー! スカートは元から苦手でパンツスタイルが好きなんです!」
ふと、顎に手を当てたルーカスがジロジロと見てくる。
「お前昨日から思ってたけど、着痩せするタイプだよな」
「先生ひどい私おデブじゃないもん。確かに体重増えてるけど……」
「そういう意味じゃないんだけどな。ユーリア女の子は柔らかい方がいいんだぞって行くぞー!」
膨れ面になったユーリアの肩を押し、ルーカスは部屋を出た。
「なんで、ホルストさんの所なんでしょうねー? まだ開店もしていないでしょうし……」
「ホルストがそういう仕事しているからだよ。アイツの情報網は怖いぞ」
ルーカスに手を引かれホルストの店まで連れていかれた。お店に入るとホルストが迎えてくれる。
*
「これはこれは、昨日から話題の尽きないルーカス様じゃないですか。一人の女に決める事はないと言われ続けいろいろな女性と浮名を残した男が絶世の魔性の女の取り合いをしてるとかしていないとか。
色々なところで噂が広まってますよ。
部屋に女性を上げたそうですね。
一緒に夕飯の買い出しまでして……。魔性の女に騙されているらしいですよ。
昨夜の夜の街ではこの話が回っていましたよ」
ホルストはニコニコと説明してくれているが、ルーカスの表情は引きつっている。
「そんな事になっているのか……まあいい。ユーリア怖いだろこの男」
ホルストは「お褒め頂きありがとうございます」というと、続けてユーリアの話も続ける。
「ユーリアさんも情報が錯乱してますよ。
あまり見かけない美男美女が二人手を繋いで食事をしている。
その絶世の美女が学園で人気のイーヴァルの肩にもたれて恋人繋ぎしたり、頰に口づけをした。
後は同日今度は手を繋いで夕飯の献立を話し合いながら仲睦まじく教師のルーカスの部屋に消えたという事で、魔性の女と言われております」
しばらくはこの格好で街に出れない事が分かった。
美女以外全て事実なのでなんとも言えない。魔性ではないけれど……。
「あまり見かけないってテディの事だよね。確かに顔が整ってて自慢の従者だよ。
うん。美女はあり得ないけどイーヴァル先輩もあのチューはしょうがないし、先生のところに行ったのも理由があるし、全て事実だから魔性って部分しか訂正できない」
ユーリアには聞こえない程度の声量でルーカスは何かつぶやくが、分からない。
「おやおや……目が腫れていらっしゃいますね。どこかにぶつけたような後もございます」
ホルストは困ったような表情になるとユーリアに治癒魔法をかけた。
ホルストにお礼を言う。
「ありがとうございます。昨日酔っぱらっちゃって記憶がないんです」
ホルストがルーカスを睨むが、ルーカスは慌てて首を振る。
「待て、ホルスト。流石に生徒に手を出していない。コイツが勝手に人の酒を料理に入れた挙句、勝手に酔ったんだ」
「先生って不潔だったんですね。危ない危ない。お酒は本当に軽い興味で料理に入れましたよ。ちゃんと、過熱もしたんですけど、ちょっとお酒に弱いみたいです」
ホルストを軽く睨みルーカスがホルストの肩に手を置く。
「今生徒に妙な疑いの目で見られただろう、浮名なんて皆ただの噂じゃねえか。
俺は一人の女もこの街じゃ落とせてない……。分かっているんだろ?」
「おやおや、お熱なのは間違いないようですね……ではあちらにテディが待っておりますので、参りましょう」
ホルストは軽く流すとカウンターの奥の従業員のスペースへ案内する。「お熱なんかじゃねえ」と顔を真っ赤にさせている人がいるが、こちらはクスッと笑って終わりである。
「お待ちしておりました。ユーリア様、あの2人の情報は集めてございます」
簡単にテディの説明を聞くとゲスである事は間違いないが、末端の末端で今捕まえても有益な情報は得られないという事だ。
何か次の動きがあるか、もう少し情報を持っていそうな組織の人間が街に入るまでは、泳がせておくのがいいらしい。
「今すぐにでも消してしまいたかったのですが、ホルスト様にも止められましたから、今回は我慢致します。
彼等がこの都市を出るか、有益な情報が得ればすぐにでも抹消致しましょう。
それまではユーリア様もお気をつけください」
テディが心配と憎悪の感情を織り交ぜながら話してくれる。ホルストがルーカスに加えて説明する。
「ルーカス様そういう事ですのでもう暫くは、ユーリア様の身に危険があるかもしれません。テディをお借りする時がまたしばしばありますので、その際はお手をお貸しください」
「なんだって! 昨日だけじゃないのか?」
ルーカスがひどく驚き、声を荒げる。ホルストはクスクスと笑いながら答える。
「ヴィオラ様にお力を貸して頂けるようお願いしていただければ、問題ないかと思います」
テディがルーカスを笑顔で睨む。ルーカスはゾクっと身を震わせた。
「まさか、何かあったという事はございませんよね?」
「断じてない。なあユーリア」
急に話を振られたユーリアは正直に答える。
「昨日はいっぱいルーカスに美味しい物食べさせてもらえたし、泊まれるならまた泊まりに行きたいくらいだよ」
「ルーカス様……。今日はお暇しますから、また今度じっくりお話をお聞かせ下さい」
*
テディは機嫌の悪いままユーリアを連れてカフェを出た。
テディはうちに帰ると隅々まで私のことを見た。口頭でもいろいろ質問される。何かのチェックが全て終わったのか。一人で納得して頷く。
「ではお昼にいたしましょうか。ルーカス様よりも美味しいものを作りましょう」
手の込んだ料理を作ってくれた。ルーカスの料理を褒めたことに少し嫉妬していたらしい。
そうこうしているうちに、何も起こらない平穏な日が続き、郊外演習の日が翌日に迫っていった。
ティナやシェルト、イーヴァルたちに心配されたが何にも問題ないと答えた。
そして、ティナには自分の勤めているところにバイトに来ないか誘われ、どうしてもというので、ウィッグを茶髪のロングに変えて、勤める事にした。面接は夏の郊外演習が終わってから行われる事となった。
今日も猫型のテディと一緒にベットへ入り心地よく眠るのであった。




