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風葬のシルヴァ  作者:
ifストーリー
81/88

if第20話 第三魔王の影

 第三魔王ネメシス。


 ネメシスは何も言わず、核へ手を伸ばす。


「させるか!」


 シルヴァが踏み込む。


 だが。


 影が絡む。


「っ!」


 一瞬。


 その一瞬で。


 核は奪われた。


 影の中へ沈む。


 空気が変わる。


 重くなる。


「……取り込んだ」

 ミルスが言う。


「二つ目……!」


 ネメシスがシルヴァを見る。


「風葬のシルヴァ」


「返せ」


「遅い」


 影が動く。


 地面から刃。


 同時多発。


「――っ!!」


 シルヴァの腹を貫く。

 肩。脚。


 同時に刺さる。


「がっ……!」


 ティナも避けきれない。


 脇腹を深く刺される。


「っ……!」


 クジャが移動する。


 だが。


「遅い」


 影が先に来る。


 肩、背中、脚。


 貫かれる。


「……やば……」


 ミルスが前に出る。


「止まれ!」


 魔力で影を押す。


 だが。


 ネメシスが指を動かす。


 影が“上書き”される。


 ミルスの胸を貫く。


「……っ!」


 それでも倒れない。


 ネメシスが手を上げる。


 影が収束する。


「終わりだ」


 無数の刃。


 全方位。


 逃げ場なし。


 シルヴァは立てない。

 ティナも動けない。

 クジャも。

 ミルスも。


 全員、瀕死。


 刃が落ちる。


 完全な殺意。


「――まだよ!!」


 ミルスが叫ぶ。


 血を吐きながら魔導陣を展開。


「転移……!」


「無理だ!!」


「無理でもやる!!」


 魔力が暴走する。


 空間が歪む。


 だが、ネメシスは止まらない。


 刃が迫る。


 あと一瞬。


 ティナが光を絞る。


「光……!」


 影を一瞬止める。


「今……!」


 クジャが笑う。


「頼む……!」


 ミルスが叫ぶ。


「飛べ!!」


 光が弾ける。


 同時に――


 影の刃が突き刺さる。


 空間が裂ける。


 ギリギリ。


 全員の姿が消えた。


 ほんの一瞬遅ければ終わっていた。


 静寂。


 ネメシスが立つ。


 影が揺れる。


 内部で核が暴れている。


 追おうとする。


 だが。


 影が乱れる。


 制御が崩れる。


「……」


 無理に動けば自壊する。


「調整が先か」


 静かに呟く。


 影が沈む。


 砂漠に残ったのは――


 血だけだった。

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