ある憲兵達の会話
色んな視点で書いていこう、と思っております。
「う~ん······」
此処は城内にある憲兵達の詰所、1人の憲兵が机の前で唸っていた。
「どうかしましたか? 先輩」
「ロベリア嬢の事、上に報告するべきか否か迷っているんだ······」
先輩と言われた憲兵が話すともう1人の憲兵は『あぁ~』と思った。
この2人、ロベリアの家を訪ねた憲兵なのだが、勿論ロベリアが住んでいた事なんて全く知らなかった。
3年前に起こった婚約破棄騒動は勿論知っているしロベリアの行方がわからなくなっている事も知っている。
「報告すれば間違いなく王族の耳にも入るし貴族内でも噂になるからなぁ」
「今、貴族はゴタゴタしていますからね」
「その筆頭が王族だからなぁ、本当は新王夫妻をお祝いしなければならないのに、その夫妻の仲が上手く行ってないんだからなぁ」
「仕方がないですよ、結局は庶民出の男爵令嬢に王妃を勤めるなんて事は出来ないんですから」
「頑張ってはいるんだがなぁ······、どうしてもロベリア嬢と比べられてしまうからなぁ」
実は国民には公にされていない事があった。
その1つがエミリアの王妃教育の進展である。
国民には順調に進んでいる、と伝えられているのだが実際は余りよろしくない状況だ。
何せ、ロベリアが幼い頃からやって来た事をこの3年で物に出来る訳が無かった。
エミリアはストレスでヒステリックになっておりウォールズとの仲もギスギスしている、と言う。
こんな事を国民に知られたら王族の信頼は失墜しかねない。
「ロベリア嬢に戻って来てほしい、と言う声も出てますからね」
「しかし、庶民の生活を満喫してるみたいじゃないか」
「確かにあんな可愛い笑顔をするなんて思ってもいませんでした」
この2人は公爵令嬢時代のロベリアを何度か見かけている。
その時は常に冷静で近寄りがたい感じだった。
しかし、この間会ったロベリアは百八十度違っていた。
名前さえ聞かなければ気づかなかっただろう。
「アレが本来のロベリア嬢なんでしょうね」
「そうだな、強制的に修羅場に連れ込む事なんて出来ないよな」
結局、ロベリアの事は上司には報告しなかった。
ただ、似たような名前の人物がいる、とだけ書く事にした。




