嘘
委員長の言動は明らかにおかしかった。それにその言動をフォローをしているGの様子なんか変だ。
そもそもそれ以前にフォローをすること事態がおかしい、だから俺はさっきの会話の中で罠を仕掛けた。
その結果見事に委員長とGが引っ掛かり俺はその結論に達した。
委員長はなんも覚えてないだと…。
「な…なに言ってるのY、私は全部覚えてるわよ、自分のことも、 もちろんYのことも!」
「そうだよ、お前頭おかしいのか?」
確かに俺は頭がおかしいかも知れない、けどそれ以上におかしい出来事がたくさん起きてきた。そのなかじゃ委員長が記憶喪失だなんてあり得る話だ、実際優歌だって記憶喪失にされたんだし。
だから俺は
全てを疑うことにした。
「いいや、委員長はなんも覚えていない、記憶喪失だ!」
「お前はどうしてそんなことを言い切れるんだ?」
「私は自分のことを忘れてたらあんなにすらすら言えるわけがないじゃない」
「そう、けど委員長が言ったことは全部俺やGが知っていることだ、学校のこと、施設のことも」
「でもそれがなんで委員長が記憶喪失だって繋がるんだ?別に俺達が知っていることだけで決めつけるのはよくないぜ。」
「それはGの言ってる通りだ、でも俺が委員長が記憶喪失だって気づいたのはそこじゃない。」
「じゃあいったいなんなんだよ!」
「委員長、質問ひとついいかい?」
「べ…別にいいけど…。」
なぜか委員長は動揺していた、ただ質問を頼んだだけなのに、身体中がバイブをしている携帯電話みたいにぶるぶると
「委員長、俺と約束したこと覚えてる?」
「え…ええ、もちろんよ。」
「じゃあ、全てが終わったら俺とどこに行こうって約束したっけ?」
その質問を聞いた委員長のひきつった表情は次第に緩みはじめ、笑顔に変わっていく。
そして彼女はこう答えた。
「そんなの秋葉原と新宿に決まってるんじゃない!」
その質問を聞いた俺は、笑顔の委員長とは逆の表情が顔にでた。
「やっぱりね…。」
「なにがやっぱりなんだよ、ちゃんと委員長は答えたぞ!」
「違うんだよ。」
「違うっなにが!」
「だから違うだ…。」
「なにが違うっていうの?私はちゃんと答えたわ!秋葉原と新宿だって!!」
「俺が委員長と行こうって約束場所はね…本当は秋葉原と新宿じゃない。
秋葉原と渋谷なんだ…。」
その瞬間部屋の中の空気が重くなった気がした。そして3人ともなぜか息苦しくなり呼吸するだけでも疲れる。
「そ…そんなはずはないわ、約束したのは秋葉原と新宿!私はしっかり覚えてる、それにあんただってそう言ってたじゃない!」
「そうだよ、いった本人が忘れてたなんて洒落にならないぜ!」
「ごめん、それは嘘なんだ。」
「えっ…」
「あっ…」
人は嘘をつく
それは
他人をおとしめるため
自分を守るため
自分を優位にするため
他人を計るため
この世には嘘をつかない人間なんて存在しない。
もし生まれてから一度も嘘をついていないなんて言う奴がいればそいつは大嘘つきだ。
だって嘘をついたことがないってことが自体が嘘なんだから。
「お前なに言ってるんだよ?ふざけてるのか!」
「別にふざけてなんかないよ。俺はいたって真面目だ。」
「ならなんで?」
「さっきも言った通り委員長が言ったことは俺と
Gか知ってることだ。でもその質問は俺と委員長しか知らない、もちろんお前にも。」
「だからなんなんだよ…。」
「だからあえて俺は委員長に間違った質問をした、もしちゃんと覚えてるならその場で訂正するはずだ、けど委員長は訂正しなかった…。」
「その質問の答えが嘘かも知れないじゃないか…なあ委員長?」
「そ…そうよ、さっきの回答は嘘よ。本当は秋葉原と渋谷だって覚えてるわ…!」
「ならなんでさっきGは焦った?」
「それは…」
「それに…」
「それにってまだなんかあるの?」
「あの約束は本当は嘘をついてはいけない、それぐらい大切なものだ…。嘘をつかれたらすぐに怒ってもいいくらいだ、けど委員長はそれをしなかった。それどころかその嘘にyesと答えた。それが一番の証拠だよ…。」
だから俺が嘘をつくこと自体がいけないことだ、本当だったら今頃委員長に殴られていただろう。
そうであって欲しかった。
「あ~あ、ここがしおどきか~。いけると思ったんだけどな~!」
一瞬の出来事だった。
Gの隣で赤い水しぶきが勢いよくあがったことが…。




