「彼女」
彼女はずっと隣にいた。
あの作りものの街で出会った時からずっと一緒に行動してたんだ。
時には落ち込んでた俺に本気で怒ったり
時には悩んでいた俺にアドバイスをくれたり
時には一緒に笑ったりした。
彼女と一緒にいるうちに俺は次第に心を許していたんだ。
ここまでくるまでにいろんな辛い目にあってきた。
はっきり言って俺は人を信用できなくなってしまった。
けど彼女と接していくうちにそんな人間不振なんかすっかり忘れてしまった。
気づけば俺は彼女に全てをさらけ出していた。
俺は彼女に本音を言える数少ないものになっていた。
そう、彼女は俺にとってはなくてはならない存在になっていたんだ。
でもそれが作られたものだとしたら?
彼女はとても感情豊かだっだ、というより喜怒哀楽が激しかったと言ったほうがいいのか?
笑う時は思いっきり笑い、あの学校での出来事では落ち込み、そして心のままに泣いていた。
彼女は自分の心に正直だ、と俺は今までそう思っていた。
でもそれは違った。
この部屋に来てから、Gに出会ってから彼女は一言も喋っていなかった。
普段の彼女なら自分の記憶や存在を全部奪った張本人が目の前にいるのにアクション1つ起こさないなんておかしい。
でも俺はそれに気づかなかった。なぜならそのアクションを俺がやっていたから…。
しかもあまりに熱中しすぎて周り、いや彼女のことに気をかけることを忘れていた。
前に言った通りこの時
周りに気をかけていたら?
彼女のことに気づいていたら?
この状況は変えられたのだろうか?
いいや、それは無理だ。
だって「それ」は最初から仕込まれていたんだから …。
今、俺の隣にいる彼女…絵空は最初から俺の敵だった。




