制服
「うわぁ~、全然臭いがとれないよ~!」
「しょうがないだろ、あんだけのことをやったんだから…。」
俺と絵空は職員室で行った行為により酷く汚れてしまった。絵空はそれにより身体中が赤く染まり、俺も彼女ほどではないが汚れ、二人とも生魚や魚市場とは違う生臭さをはなっている。
この学校は生徒人数も多く部活も盛んにおこなわれていた。とくに運動部は各部活がいずれも輝かしい成績を挙げておりそれなりにいい待遇を受けている。なので部活ででた汗を流すために数年前からシャワー室を設置している。
幸いにも本物の高校を細かいところまで模したここにもシャワー室はあり俺達はそこで汚れや臭いを洗い流しているのだ。
「でもさ、なんでこのシャワー室は男女兼用なの?プライバシーなかったの、Y君の学校は?」
「…部活によって終わる時間がまちまちだから必然的に被らないんだよ。」
「ふ~ん」
俺はアレから彼女と少しだけ無意識ながら距離をとるようになっていた。
彼女の戦闘能力を高さはすでに知っていたが職員室で彼女が行った行為はそれをはるかに上回るものだ。獲物を狩るような鋭い眼差し、そして狙った獲物を仕留める能力、俺はそんな彼女を見てあらためて絵空という人間が分からなくなってしまった。
「けどどうしよう…?」
「どうしたの?」
「ほら服だよ、私達の服汚れちゃったじゃん?Y君のはともかく私の全部真っ赤かでとても着れないよ~。」
「それなら大丈夫だよ、ちょっと待ってて」
俺は一足先にシャワーを切り上げ赤い染みのついた服を一時的着てある場所に向かった。
そこに行くには職員室を通らなければ行けない。職員室が近くになるに連れてあの生臭い臭いが強くなっていく、さらにこの気温と時間がたったことによりそれとは違う強烈な臭いが襲ってくる。
俺は鼻を手に覆いなるべく見ないようにそこを駆け抜けた。
そしてある場所に向かい一足先に着替えをしいくつかの使えそうなものを頂戴して絵空のもとに向かった。
「戻ったよ。」
「遅い、私のぼせるとこだったよ、ってあれY君着替えてる。」
「俺だって着替えるさ、もうあんな服着たくないし」
「けどこれって?」
「ここの制服だよ。」
絵空は俺の持ってきた制服をなぜか不満そうな表情をしながら着替えをしていた。(当然俺はその行為をみていないのだが)
「けどよくこれ見つけたね、どこ行ってたの?」
「保健室だよ、ほらそこから何個か薬も貰ってきた。」
大抵の保健室には着替えのスペアが残っているものだ。なんでだか分からないがおそらく病気により制服が汚れたり、体育の授業でのケガが原因だろう。
「けど保健室なら別に制服じゃなくても体操着で良かったじゃん、それにこんなに暑いのになんでブレザー?」
「そのほうが高校生っぽいじゃん?」
「え~、やだよ~、暑いし、せっかくシャワー浴びたのにまた汗かくじゃん!」
「だ~め、ちゃんとブレザーも着る。」
「ちぇっ、わかったよ…」
彼女は嫌々ながらブレザーを袖に通す、もちろん俺が彼女にブレザーを着せたのは理由がある。それはブレザーをきたほうが可愛いとかとか個人的な趣味ではない。
この学校の制服は白いYシャツやブラウス、そして黒っぽい紺色のブレザーだ。その色で少しの汚れは目立たない。それは美術の授業で絵具をこぼして制服を汚してしまってもあまり目立たないそれと同じだ。
だから俺は彼女にブレザーを着せた。またあの時と同じ状況になった時、白いブラウスのままだと今まで以上に赤く染まり目立ってしまう。それは白い体操着も同じだ、たがブレザーなら少しなら目立たない。
俺は自分も彼女にもあんな格好にはなりたくない。だから彼女にブレザーを着せるのは趣味ではない、願望なのだ。
「暑いよ~!」
「いいから我慢する。」
彼女はさんざん文句を言っているがそこは上手く受け流すことにした。
けどこれでやっと4階まで行く準備が整った。絵空のことが少し気になるが、今はいつもの絵空だ。
だが次に彼女がああなった時俺には止められる自信はなかった…。




