哀しみの炎
それはこの世のものでは思えない光景だ、きっと後に先にもこれを越えるものはきっと見ないだろう。まさしくこれが地獄絵図ってやつなんだと実感した。
俺はこの光景を絵空に見せるわけにはいけないと急いで体育館の扉を閉めた。が、既に遅かった。最初に体育館に行こうと行ったのも最初に扉を開けたのも彼女だ、だから最初から見せないようにする方法はなかった。
そして彼女は見てしまった、その地獄絵図を…。
「あは…あはははは…。」
彼女はこの時何を思ったんだろう?こんな光景をみたら普通なら泣いたりこの場から逃げ出すのが普通だ。それになりよりもここに希望を一番持っていたのは彼女自信だ。
だが彼女は笑っていた、様々な思いを押し殺して必死に笑った。
そんな彼女に俺は何も声を出すことが出来なかった…。
「ねぇ、この人達を天国に送ってあげよう。」
それはしばらくして落ち着いた絵空が始めて俺に言った言葉だった。
「そうだね、最後までこんなところに置いていくのは可哀想だもんね。」
「じぁあ教室いる子も一緒ゆ連れていかなくちゃね。」
そう言って絵空は教室に向かった。
その間に俺は近くにあった木や燃えやすいものを体育館の周りや中に敷き詰めた。
その時の俺は何を考えたのだろうか?今は全く覚えてない。
しばらくして絵空は彼女の亡骸を連れてきて戻ってきた。瞳孔が開ききった目は彼女によって閉じられている。
俺は彼女のために簡単ながらベッドを作っていた。そして絵空は彼女をそのベッドにのせる。
「せっかくかわいいんだから最後くらいいい匂いで天国に行かないね。」
そういって絵空は彼女に制汗剤とヘアスプレーをつけ身だしなみを整えた。
絵空は彼女にはいろんな思いがあったのだろう、その作業中でも彼女に向かってなにかを話しかけていた。
そして
「じゃあいくよ。」
「うん」
俺は体育館に火をつける。そうするとすぐに火は瞬く間に体育館にまわり全てのものを燃やし尽くす。
そして小さかった火は次第に炎となりを赤く、だがどこか優しく体育館を包んだ。
その炎を見て俺と絵空は生徒達の冥福を祈った。隣で絵空は今までにないくらい泣いていていた。
炎のから出る煙はきっと彼ら達を天国へと導いてくれるだろう。
少なくとも俺はそう信じてる。




