全力疾走
「やだ~!飽きた~!もう行きたくない~」
「そんなこと言ったって引き返すこともできないしここの出口を探すしかないんだよ!」
少し休憩をしたがどうにかなるかと思ったらが逆に不味かったのかもしれないな。絵空の不満はすでにMAXだ。それに俺も流石にこの平坦な景色に飽きてきたところだ。早くここの出口にたどり着かないと体よりも精神的にヤバいかもしれない。とりあえずまずは絵空には落ち着いて貰わなければ…
「ねぇ、絵空はなにを持ってきたの?ちょっとカバンの中身みせて」
「なんでよ…」
絵空はすごい目付きで俺を睨み付けている。
「俺絵空が制汗剤持ってるなんて知らなかったし、なに持ってるかお互い把握したほうが今後の為にいいと思うんだ?だから俺のも見せるから!」
「年頃の女の子のカバンの中身見せろなんてデリカシーないな~、それに私Y君がなに持ってるかなんて興味ないもん。」
なんか拒絶されたみたいに寂しいな。
「けど今後のために…」
「い!や!だ!」
それからしばらく交渉してみたが絵空は頑なに拒否をした。そんなに長くやってるとお互い体力が減るので俺はついに諦めた。しかし今思うとここで無理矢理にでもカバンの中身を見ていれば良かったのかもしれなかった。
「ねぇ、あれなにかな…?」
平坦な景色の中で歩いていた時絵空が何かを見つけた。俺は絵空の指指した方をみるとそれが何だかわかった。
「逃げよう。」
「ちょっと待って!」
俺は絵空の手を取りそれから背をむけるように全力で走った。ここはさすがにヤバい。俺達はそれが見えなくなるくらいまで逃げった。
「ハァハァ…いったいなによY君、あれなにか知ってるの?」
「知ってるよ、あれは政府の送りこんだ実行部隊で委員長をも誘拐したのもあいつら。ここに来る前に俺も1回出くわしたんだ。」
「でもなんでその実行部隊がここに?」
「わからない、特異体質の俺達を捕まえにきたのかそれとも別の目的があるかも。」
「でもどうするの?あいつらがいたら先に進めなないよ?」
そこが問題だ。電車の時は隠れることができたからどうにか隙をついてあの銃を撃てた。しかしここは
なにもないから隠れることもできないどころか銃弾を当てることもできない。直接当てればあいつら事態が特異体質になってしまい完全にアウトだ。それに絵空がいる。絵空を危険に合わせるわけにはいかない。さてどうする。
「もう、いきなり走ったからまた汗かいちゃったじゃん。」
そういいながら絵空が自分の体に制汗剤をつける。こんな時になんて呑気な…うん?そうだその手があったのか!
「絵空、今制汗剤…いやスプレー類って今何個持ってる?」
「え~と制汗剤が私のとY君にあげたやつ、あと予備一つとヘアスプレーが一個。でもなんで?」
スプレーだけでこんなに持っていたのか…でも今は好都合だ。
「じゃあ制汗剤一個俺にちょうだい!」
「別にいいけど何に使うの?もしかして私があげたやつもう全部使っちゃった?Y君臭いもんね~」
「ハハハ…そんなわけないじゃん」
「じゃあ何で?」
「ちょこっとあいつらを倒してくる!」
絵空には危険にあわすわけには行かないので絵空にはここにもらった。本人には居場所が分からなくなるといけないから俺が持ってきた懐中電灯をつけて目印になってくれと言っておいた。もちろんそれは建前で本当はあの銃を使うからだ。彼女は嫌がるかと思ったが意外にもすんなり聞き入れてくれた。
「頑張ってね~」
絵空はそういって俺を送り出した。俺もそんなに明かりが見えなくなるから遠くにはいけない。少しでも遠くまで見えるように絵空のまわりにはビニールシートをたてて暗くしてもらった。暗いとこが苦手な絵空には申し訳ないことをしたな。
では作戦をやろうか。俺は制汗剤に小さな穴を開けそこにおいた。そして少し離れた位置から火をつけたマッチを制汗剤に向かって投げた。それによってガスに引火した火がおもっきり爆発した。案の定それに気づいたのか黒い影がどんどんこっちに向かってきたのがわかる。せっかく見えないところまで逃げたのにこっちから呼び寄せるなんてなんの冗談だろうか。しかし今は俺でいい。その黒い影はどんどん大きくなっていく。
それでいい…。
俺はそいつらが完全に見えるようになったところで火に向かってあの銃弾を撃った。そしてそいつらは砂となり、その砂も一瞬で消えていった…。
やはりこの感覚は慣れない。いや慣れてはいけない。それにこんな光景はやっぱり絵空に見せられないな。
とにかく危機は脱した。俺は絵空を元に戻った。彼女はちゃんと明かりを照らしてくれていた。
「大丈夫だった?なんかすごい爆発してけど…」
「いろいろあったけどね、大丈夫だよ。」
「ならよかった~もうあの人たちいなんだよね!」
「そうだよ。」
「それでね…Y君…」
「なになにどうしたの?」
「ここどこなんだろうね…?」




