絵空
後ろ姿を遠くを見たら分からなかったがその人影は女性だった。ショートカットの髪に帽子を被りタンクトップにショートパンツの彼女は恐らく俺と同じくらいの高校生だ。
「君はこんなところでなにをやって…」
「良かった!私の他に消えてない人がいたんだ!」
彼女は俺に向かって全速力に駆け寄り抱きついた。
「良かった…本当に良かったよ…」
彼女は抱きついた体勢のまま泣き出した。俺は何がなんだかわからなかったがひとつ1つ言えることはこの体勢はいろんな意味でヤバい、本当に…
「ちょっと言いにくいんだけど…ちょっと降りてくれない…?」
「あっ…ごめんなさい、あまりにも嬉しくて。」
「いや別にいいよ、けどどうして君はここにいるの?」
「えっ、君もここに連れてこられたんじゃないの?」
「いいや、俺は自分の意思でここに来たんだ?」
「ここって自分の意思で来れるんだ。」
俺は彼女になんでここに来たかを簡単に説明した。流石に詳しくは言えなかったがどうやら彼女は納得してくれたようだ。
「へ~、じゃあ君は委員長、つまりUさんを助けにここに来たわけね。」
「まあそう言うことになるね、次は君の番だよ。」
「私はここに来る前のこと自分の名前もなんにも覚えてないの。気づいたらここに居て…でもそれは私だけじゃなかった。」
「ちょっと待って私だけじゃないってことは他にも人がいたの?」
「そう、最初は沢山人がいた、大人の男が多かったかな~?でも女の人も少しいたから私はその人たちと行動したわ。ここ街みたいだし食料や寝る場所もあったから生活には困らなかった。」
やっぱりこの街は生活ができるほとの備蓄があるのか。
「でもある時サイレンが鳴りはじめたの。あなたもさっき効いたでしょ?そしたらね建物が突然砂の砂のように消えはじめた、そしてそこにいた人達も一緒に消えた…。そんなことがたびたび起こって…ついにここにいるのが私1人になったの。」
そうか、今の話を聞いてよくわかった。奴らはこの街を使い建物の他にも人間が消える実験をしてたんだ。なんでここに集められた人達が名前以外覚えていないかは分からないが彼女がなんで生き残れたかは分かった。
「多分君がここまで消えなかったのは偶然じゃない。」
「偶然じゃないってじゃあなに?」
「君は俺と同じ特異体質だ。」
「特異体質?」
俺は特異体質について彼女に話した。さっき簡単に説明した意味がなかったな。もう少し早く気づいていたらまとめて全部話していたのに。
「だから私は消えずに今もここにいるってわけね、
なんかすごーい!」
まあ人とは違う力を持っているとかアニメや漫画の世界だ。俺も違った形で特異体質のことを知ったらこんな反応をしていたかも知れない。
で問題はここからだ。
「けどこれからどうしようか?俺は委員長を助けるためにここから先にいかなきゃいけない。でも君もここに居させるわけにはいかないし…」
「私もついてくよ!」
「でも…ここから先は危険が沢山だし…」
「いいじゃない、私も特異体質だし~、1人じゃ心細いでしょ~?2人のほうが救出成功確率が上がるかもよ~?」
「でも…」
「いいの私も行く!」
これはなにを言っても無駄なようだ。
「分かったよ…。」
「やった!」
「ふぅ~、じゃあ呼び方はどうしようか?いつまでも君じゃなんか変だし。」
「う~ん、じゃあ絵空!」
「絵空ってなんで?」
「理由はとくにないけど絵に書かれた空の街にいたからかな~?」
俺は彼女の名前は何故か最後まで覚えていた。委員長や自分の名前だけは最後まで思い出せなかったのに。
「まっいいか、これからよろしく絵空!」
「うん、よろしくね、Y君!」




