新たな町へ
爽やかな風が、大きな川の対岸から届き、わたしの頬を掠め金色の髪をさらう。
わたしはルイーゼ。旅芸人一座【クリスタルクラウン】の踊り子をしていろんな国々をまわってる。
今から話すのは、2年前にエーデリアという城下町に行った時の話。
あの時、わたしはたくさんの出来事に出合った。
――――2年前・・・
「着いたぞ、ここがエーデリアじゃ。」
わたしたちの一座は、
団長のゴルザス
歌姫ミレア
その弟の大男デロイ
ヴァイオリン弾きのレオンハルト
道化師のピートとウェンディ
そして踊り子のわたしで構成されている。
「わたし、マグノリアって初めてなの!」
「私もです~!」
ウェンディとわたしはまだ入団して1年の新入り。
「久しぶりだな。」
「私たちもここに来るのは3年ぶりでな」
「そうなんですか!」
「開演は明日だ。日ごろの練習の休養にこの街を回ってみるといい。いい所だ。」
「ええ、そうするわ。」
お言葉に甘えて町でも見てこようかな。
ずいぶん栄えてるし、きっと素敵だろうから。
「ルイーゼ、どこかへ行くのかい?なら僕も一緒に・・・」
レオンハルトは町行く町で沢山の女の子を口説く色男。この一座の中でも一番のかっこよさ。
栗色の髪に綺麗な翡翠の瞳。この一座に入ったときはかっこいいなと思ったこともあったけど、性格はちょっと…
「別に来なくていいわよ。」
「何かおごるよ?」
「大丈夫、ありがとう。」
わたしも彼の誘いをかわすのが上手くなったと思うわ。
「ルイーゼーーーー!!オレも行くーーー!」
「結構よ。」
「なんでだよ!」
「だってあなた騒ぐんだもの、まわりに迷惑がかかるでしょ?」
「ルイーゼ冷てぇな」
「じゃあね、ピート、レオンハルト。」
「「いってらっしゃい、ルイーゼ・・・。」」
「座長、ちょっと出かけてきます。」
そこには、座長とミレアさんがいた。
座長は白髪のちっちゃいおじいちゃん。
人情のある人で、一人だったわたしを拾ってくれたわたしの恩人。
ミレアさんは銀髪の綺麗な人!とっても優しくしてくれる、若いけどこの座のお母さんのような存在。
「気を付けるんじゃよ。」
「ええ!」
「あ、ルイーゼ。出かけるならお使い行ってきてくれない?リンゴを買ってきて欲しいんだけど・・・。アップルパイでも作ろうと思って。」
「分かりました、行ってきます。」
「行ってらっしゃい!」
この町での新たな暮らしが始まった。




