表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄されたので敗戦国へ追放されましたが、街を立て直していたら元婚約者が評価してきます  作者: 雫石アイナ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/38

第34話「最後の試験」

 崩れるなら。


 ――早い方がいい。


 私はそう判断した。


 朝。


 市場に立つ。


 空気は、昨日と同じ。


 静かで。


 距離がある。


 だが。


 それでいい。


 問題は、感情ではない。


 ――構造。


 私はカイルを見る。


 少し離れた位置。


 腕を組み、こちらを見ている。


 動かない。


 だが。


 ――待っている。


 私は理解する。


 来る。


 そして。


 それは、今日だ。


「開始する」


 いつも通り、告げる。


 列が動く。


 配分が始まる。


 順調。


 問題はない。


 だが。


 その途中。


 ――止まる。


 物資が。


 運ばれてこない。


 沈黙。


 一瞬。


 そして。


「……止まってるぞ」


 声が上がる。


 ざわめき。


 だが。


 私は動かない。


 確認する。


 護衛に視線。


 頷き。


 ――意図的。


 私は理解する。


 カイルだ。


 供給を止めた。


 試験。


 私は一歩前へ出る。


「停止」


 短く言う。


 全体が止まる。


 混乱は、まだない。


 だが。


 時間はない。


 私は即座に思考する。


 供給が止まった。


 なら。


 現状のルールは機能しない。


 つまり。


 ――変更。


「配分を変更する」


 声を出す。


 全員がこちらを見る。


「第一列と第二列を統合」


「優先順位を再設定する」


 ざわめき。


 だが。


 説明は後。


「現時点の在庫を確認」


「即時再配分」


 指示を飛ばす。


 ダルクが動く。


 他の三人も。


 迷いはない。


 それだけで十分。


 私は続ける。


「本日分を三分割する」


「即時・予備・保留」


 空気が変わる。


 理解が追いつく。


 私はさらに。


「即時分を優先配布」


「予備は状況次第」


「保留は最終判断」


 短く。


 明確に。


 ルールを再構築する。


 数秒の沈黙。


 そして。


「……やるぞ!」


 ダルクの声。


 強い。


 昨日とは違う。


 自分の判断で動いている。


 それが分かる。


 配分が再開される。


 速度は落ちる。


 だが。


 止まらない。


 流れる。


 新しいルールで。


 私は全体を見る。


 問題はない。


 崩れていない。


 むしろ。


 ――対応している。


 やがて。


 配分が終わる。


 完全ではない。


 だが。


 維持されている。


 私は息を吐く。


 そして。


 振り返る。


 カイルがいる。


 同じ場所に。


 変わらず。


 だが。


 その目は。


 ――明確に変わっている。


「……対応したな」


 低い声。


 私は答える。


「はい」


 カイルは数秒、私を見て。


 そして。


「想定していたか」


 問い。


 私は答える。


「可能性として」


 それだけ。


 カイルは小さく笑う。


 初めて。


 はっきりと。


「いい」


 その一言。


 重い。


 だが。


 短い。


「崩れない」


 続ける。


「供給が止まっても」


「人が減っても」


「それでも回る」


 私は頷く。


「はい」


「なら」


 一歩、近づく。


「これは、構造だ」


 断言。


 私はそれを受ける。


 そして。


 理解する。


 ――証明された。


 これは。


 個人の力ではない。


 残る仕組み。


 それが。


 成立した。


 カイルは踵を返す。


 去ろうとする。


 だが。


 一瞬、止まる。


「……これで終わりだな」


 小さく言う。


 それだけ。


 だが。


 意味は重い。


 私は答える。


「はい」


 それ以上はない。


 カイルは去る。


 私はその背中を見る。


 そして。


 空を見上げる。


 光は、完全に広がっている。


 曇りはない。


 私は視線を戻す。


 前を向く。


 そして。


 静かに呟く。


「……終わりました」


 役割は、終わる。


 あとは。


 ――残るかどうか。


 それだけ。

読んでいただきありがとうございます。


ついに「構造の証明」が終わりました。


ここがこの作品の最大の山場です。


次回、最終評価。

そして物語は終わりへ向かいます。


続きが気になる方は、ぜひブックマークして追っていただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ