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不要な子供達  作者: 空き缶文学
第1章
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第3話

よろしくお願いします。

「さて、そろそろ禁煙でも始めないと」

 薬品独特の香りがする保健室。

 それを吹き飛ばす煙草の臭いが充満しています。

 ベッドで寝転がる男性は手に持っている煙草を数秒見つめ、ゆっくり灰皿に捨てると、呟きました。

「そう、頑張れ」

 イスに座っている女性は月刊の芸能雑誌を見て煙草を咥えながら呟きました。

 女性の隣にある灰皿には10本以上の吸い殻。

「恵、お前も禁煙しようと思わないか?」

「思わない」

 神山雄一はベッドから上半身を起き上がらせました。

 足を外側に出すと床に着地させそのまま立ち上がります。

「あっそ羨ましい限りだ。不健康には縁のないお前はいいよ、俺はダメだ」

 教材を脇に抱えた雄一は眠ってしまいそうな気持を抑えながら呟きました。

 恵はその呟きを聞き流し、思い出したことを脳内に浮かべて顔を上げます。

「そうだ、二ノ瀬には気を付けた方がいい」

「なんでさ?」

 そのまま疑問を顔に出した雄一に少し間を置いて恵は答えました。

「まぁ……すぐにわかる」

「ふーん、だが二ノ瀬はただの失敗作だって話だ。そう問題にはならないって」

 雄一は軽く余裕の笑みをこぼして、保健室から出て行ってしまいます。

 保健室で1人になった恵は咥えていた煙草を手に持ち替えました。

 口から二酸化炭素を吐き出せば副流煙も一緒に放出。

「怪物の子供は、失敗作でも根本は怪物ってことだ」

 恵の独り言を聞く人は誰もいません。 

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