出会いは頂上で
もうすぐ頂上の開けた場所だというのに、やはり魔物の姿は疎か、気配すら感じられない。
まあ、いないものは仕方がない。
頂上の開けた場所のさらに中心にある小さな石像に、お祈りとなにか供え物を置いて帰ろう。
「ようやく登頂っと......へ?」
坂道が終わり、顔を上げた僕の目の前にいたのは......。
まるで神話に登場する、太陽の光を反射させて輝いている紅の鱗を纏った龍だった。
はっはっは。
いやしかしだって、おかしいとは思ったんだよ?魔物ほとんどいないし気配ないし。
なんか途中で地震のような音するし。
あ、あの石像は!?
......木っ端微塵になってるじゃないかーー!!
よく考えたら───いやよく考えなくても!!
これ死ぬ。
この方起きたら僕の命終わる。
よし、逃げてギルドに報告だ。
そして僕はその場を後にし......たかったのだが。
んん?何故だろう動かない。というよりは捕まった。
誰が?───僕が。
誰に?───龍に。
命は?───ない。
誰の?───僕の。
『なんじゃ?今日は拝んでは行かぬのか?』
「えっ?この声どこから....」
『そなたの後ろからに決まっておろう。他に誰がおると言うのだ?』
いえ?他には誰もいませんよ?
僕一人以外はね。
...ん?後ろって───。
「まさかっ!?」
『ようやく気づ───』
「ってそんな訳ないかー」
そうそう。そんな訳ないよね。
そうだこれは悪い夢だ。
そうでもない限り、考えていることの最初の文字が全て『そ』で始まる訳がない!
『笑ってないで、現実を見んか』
「痛っ!」
乱暴は止め───あれ?痛い。
ってことは。
「夢じゃな───」
『───ないと言うておるだろうが!!』
そこで僕の意識は途絶えた。
「...か...ぬ....ぬか」
この透き通るような声、結構好きだな。
でも、なんて言っているのだろう?
よく聞こえないな...。
「起きぬか!」
「...ぅん?米...ぬか?」
「阿呆か。ようやく起きたと思ったら突然お主はなにを言っておるのだ....。それより目は覚めたか?」
そりゃ顔の近くで言われたら誰だって起きるよ。
でもどうしよう。正直寝たふりでもいいから目を開けたくない。
このまま、もう少しだけ膝枕をしてもらいたいとか思っている、そんな僕の気持ちはおかしいのだろうか。
それにしても、この女の子は誰だろう?
白くて綺麗な肌に華奢な体つき。
そして、なによりも印象的な透き通った紅い瞳。
「...君は?」
いてて...。起き上がったら頭が痛い。
僕は確か龍に襲われた(?)はずなんだけど....。
「どうだ、私の膝は心地よかったか?」
「そりゃあもちろん。最高でした」
初対面の女の子になに言ってんだ僕は!!
その前に、とにかくお礼を言わないとっ。
「ありがとう」
これじゃただの変態じゃないか!!
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