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その戦乱の教訓はわざわざ歴史の書に記さなくってもみんなが知っていると言う。


71日目 昼過ぎ ムリムリ城



 今迄辺境を守り抜いた偽迷宮はもう埋め立てられ罠を潰されて朽ち果て潰されてしまい魔物の氾濫スタンピードを止める力は残っていなかった、辺境を守護し続けた辺境の城門は崩壊した。


 辺境の守護神であったストーン・ゴーレムたちはその強固な守りを魔物と言う物量に潰され砕け散りながら戦い抜き再生する間もなく守護神たちは破片へと砕かれた。


 最期の仕掛け、偽迷宮崩落と大爆発に炎上付き序でに毒と異常状態の粉をぶっかけて粘着汁付も突破され、2体の岩山マスター・ストーンゴ-レムの両側からの押し潰しも圧倒的な数の魔物を全滅はさせられなかった。大ダメージは与えその数は激減させたが壊滅はさせられなかった、偽迷宮の最期の仕掛けでも止められなかった。


 残されたのは新ムリムリ城と名付けられたばかりの城塞のみ、だがその城壁から怒号が飛ぶ。


 「辺境には行かせん、殲滅せよ!」


 「「「「うをおおおおおおっ」」」」


 辺境を目指し氾濫した魔物の群れが暴走を始める、だが無人の城塞の門は開け放たれて籠城する事も無く魔物の大群に一気呵成に鬼神の群れが逆檄を加える。


 「辺境の幸せを魔物どもにくれてやるな。殺戮デストロイ!」


 「「「「うわあああああっ!」」」


 それは地獄絵図だった、正に蹂躙劇の幕開けだった。


 最早守るべきもののいない辺境へ向かった魔物の大群と言う名の滅びが叩き潰され引き千切られて行く、守る者など誰もいなくともそこは最果ての地、大陸最悪の魔の領域。其処で暮らす者、そこで生きる者全てが最果てで生き延びたものの子孫たち。魔物が跋扈し暴走を繰り返す辺境で永い永い時を生き続けて来た者達の末裔が暮らす場所。


 その地に生きる住民がか弱き守られるべきものだと誰が決めた? その地で死ぬ事無く家族を為し子を産み育て守り抜いて来た勇者たち末裔が守られるべきものたちなのか?


 弱き者は淘汰され強き者だけが生き残る辺境で生き続けてきた人達が何故弱者だと思った? 


 その地で生き延びて来た者達は皆英雄の子孫、先祖の誰一人子を為す前に死なず子を守り抜いたもの達の末裔なのだ。それが何故辺境の外の魔物などに怯えてやらねばならないのか?


 「我らが受け取った全ての物は我等の父母たちが代々守り抜き勝ち取って来た物だ! 奪わせるな!」


 「「「「うをおおおおおおっ!」」」」 


 何も持たぬ者ですら助け合ってきた、何もかもを失っても立ち上がって来た、だから辺境の人々は未だ滅びていないのだ。それこそが強さだ、それこそが強者だ。


 その辺境に奇跡は起きた。


 ずっと皆が夢に見た。


 それは儚い夢だ。


 ただ皆が笑って暮らす。


 ただそれだけの幸せだ。


 ただそれだけの為に辺境はどれだけの血を流して来たのだろう?


 たったその夢を守る為にどれほどの人達が我が身を犠牲にして来たのだろう?


 そうやって生きて来た。


 そして生き延びて来た。


 災厄の地に負けず、最悪の魔物と戦い、最恐の恐怖の中で生き暮らして来た。


 そしてやっと掴んだ幸せだ。


 やっと皆が笑えたのだ。


 何故それを諦めなければいけないのか。


 どうしてそれを手放せると思うのか。


 どうして奪われるだけの弱者でいなければならないのか?


 諦めればすべては終わる。其れでも辺境が幸せになるまであきらめなかったもの達がいた、それでも辺境に夢を齎そうとしたものがいた。


 どうしてその託された思いを諦める事が出来るのか。


 どうやったらそんな想いを無に出来ると言うのだろうか。


 そうして辺境に諦めない少年が現れて夢見ながらも奪われて行ったすべての夢を奪い返してくれたのだ。


 それを諦めるようならもう夢見る資格すら失われる。


 「魔境と呼ばれようとも最悪の地と蔑まれようとも祖先が守り抜いた我等が故郷、やらせはせん!」


 それは数え切れない程の命が守ってくれた辺境の夢だ、その命を託された者こそが辺境の民だ。


 「あの少年にたった一人で戦わせるな、軍がいないなら我らが戦えばいい、勇者がいなければ我らが勇者になれば良い、ここは我がムリムール・シム・オムイの名が冠されたムリムリ城、決して落とさせぬ、決して通さぬ、辺境は守り魔物どもは血祭だ!」


 「「「「うをおおおおおおおおおおおおっ!」」」」 


 辺境の冒険者たち、村や町を守る男衆、軍を退役した老人も狩人も男も女も老人も子供も戦える者は皆集まった。


 最果ての魔境たる辺境の最強最悪の魔物達を殲滅して幸せにして貰ったのだ、それ程までの対価を血と肉と痛みと苦しみで購われ受け取った。


 その辺境の夢をたかが辺境外の魔物の群れ如きにくれてやるものか。


 そんな事が許されるはずが無い。


 「冒険者は階層主と迷宮王を狩れ! あとの有象無象は踏み殺し殴り殺せ!」


 守られるだけの辺境なら救われた意味はない、それを守り抜けぬならその想いを全て無碍にする。


 「我らに手渡された棍棒ぶきは敵を叩き潰す為の物、それは奪おうとする全ての物を叩き潰せと渡されたのだ!」


 「「「「をおおおおおおおおおおおおっ!」」」」


 もう魔物達はは突進力を削がれ足が止まり密集して動けない、ならばあとは殺し尽くすだけ。


 「遊撃部隊予備兵力、奥様蹂躙部隊突撃せよ! 皆殺しにして魔石に変えて晩御飯のおかず代に変えてやれー!」


 「「「「「わあありゃあああああああっ!」」」」」


 進撃を止められ動かない群衆と化した魔物達の暴走スタンピードは今まさに奥様おばちゃん達の暴走スタンピードに飲み込まれる、先陣をきるは先代の姫騎士「暴虐のムリムール」がドレスの上に甲冑を纏い大剣を薙ぎ払いながら血道を切り開き棍棒を振りかざした奥様おばちゃん達が濁流の如く魔物達を飲み込んで行く、蹂躙の群舞で魔物達を踏み躙り踏み潰された魔物達は棍棒で叩き潰されて晩御飯のおかず代に変えられていった。


 へそくりになったものも多かったと後世に伝えられている。


 且つて少年がその名を名付け恐れたと言う修羅の街の修羅たちが解き放たれたのだ、棍棒を持った奥様おばちゃん達に挑む愚かな害獣たちは駆除さながらに駆逐され踏みにじられて消滅した。何故ならば彼女らは皆辺境最恐の決戦場である乙女戦争バーゲンの覇者たちだ、魔物如きが挑んで良い相手では無かったのだ。


 

 そうして王国の戦争は終わりを告げた、数々の歴史の書に記されたこの戦乱の教訓は皆「奥様おばちゃん怖い!」だったのは言うまでも無いだろう。いやマジで?


 みたいな?



4つ目のレビューをお書き頂いて大喜びしていたら5つ目のレビューをお書き頂いていました、本当にありがとうございます。

また数日間で沢山のブックマークとご評価を頂き併せてお礼させて頂きます。

ど素人の大迷走なお話を読んで頂いた上にレビューを書いて頂き、沢山の方々からブックマークや御評価を頂いて感想欄では誤字脱字からステータスまで皆さんに修正していただいて本当にありがとうございます。

もう只々恵まれ過ぎて皆様への感謝で一杯です、重ね重ね本当にありがとうございます。

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