どうやらこの世界は決して何が在ろうとも「ああ」とは言わせ無い気らしい。
71日目 朝 6番迷宮前
ここにも莫迦がいた、もう異世界に来てからどれだけの莫迦を見て来ただろう? 5匹はこっちの自前だが後はみんな異世界産の莫迦さんたちだ、左の手首が捥げて横っ腹も食い破られ左足も膝から下が千切れかかったおっさんが地面に突き立てた槍に縋りつき摑まりながら魔石手榴弾を投げ込み続けている。莫迦だったあ~莫迦だった莫迦さんだ、あれが尾行っ娘一族の当主で尾行っ娘のお父さんその名も……まだ無い? まあ、おっさんだからずっとなくても問題は無いだろう。
「お~~い、おっさ~ん? って言うか尾行っ娘一族のおっさん、まあアレなんだよ? 何て言うか重力に導かれて引力の呪縛って言うか落ちるから衝撃波に気を付けてね~、音速墜落だからもう落ちるんだ……(ドッカーン!)
尾行っ娘は「重力」魔法で重力を減衰して魔力で「掌握」して保護したから無事だと思うが目とお口が開いたまんま硬直している、まあお口には茸突っ込んであるから大丈夫だろう。
氾濫で出て来た魔物さん達は不幸な墜落事故でお亡くなりになった様だがブレーキ代わりに世界樹の杖で地面叩いたのが拙かったんだろうか? 何かクレーターみたいになってるんだよ? 迷宮の前に穴、氾濫してはぼとぼとと穴に落ちる魔物達。取り敢えず毒茸の粉を撒いてみる? お~叫んでもがいて悶えているがおっさんとか魔物の悶えとか要らないんだよ? 五月蠅いんだよ?
踊りっ娘のお姉さんはクレープで買収した、今は7番目の迷宮を任せてある。あれは甲冑委員長さんやスライムさん並みだ心配する方が間違っているだろう、何せ辺境に近いとはいえたかが辺境外の迷宮だ、辺境最強の迷宮皇クラスに傷一つ付けられるとは思えないがあの綺麗で艶めかしいお肌を傷付けたら許さない! でも後で茸塗り薬でサワサワと ヌリヌリな治療も捨てがたい! そして我が手はきっと滑るのだ、あの素晴らしき頂を目指して両手で力一杯に滑ろう。絶対だ!
そうして最初に駆けつけた4番目では王女っ娘が戦っていた、王族の誇りと近衛を従えて迷宮の氾濫する魔物達を殺していた殺し尽くしていた。王国の民を守るとみんなで自分の首を持って駆け回るデュラハンみたいな王族だがだからこそその誇りは揺るがない、だから任せた。
7番目の迷宮ではまた尾行っ娘が莫迦な事して爪も剥がれて内出血で腫れあがった小さな手でフラフラになりながら魔石手榴弾を投げ続けていた、もう投げる力も残ってなくって迷宮の入り口のすぐそばまで擦り切れながら這い寄って行って爆風を全身に浴びながら血だらけになって投げ続けていた。もう莫迦ばっかりでマジ嫌だ、ムカついたから殴っておいた。お口に茸突っ込んでおいたからもうすぐ回復するだろう、全く尾行っ娘が怪我したり何かあったりしたら看板娘が泣くんだよ大泣きだよ! そしたらスライムさんがお怒りで俺が怒られて女子からもお説教で大変なんだよ? みんなもう少し俺の迷惑って言うものも考えて欲しいものだよ?
親子でお口に茸を加えたまま倒れているがまあいいや?
さてもう分からなくなってしまった、分からないから適当に皆殺せば良いだろう?
まだ5番が残ったまま警戒していなかった6番7番が氾濫だ、だとしたら離れてはいるが8番9番だって分からない、あっちは離れすぎてて尾行っ娘一族も無警戒の筈だ。とりま6番だ、後の事は後で考える事にしておけば考えなくて済む場合が多いんだよ? まあ大体手遅れになるんだけどバレない様に証拠隠滅すればいい。全部殺し尽くせば世の中大体解決で、魔石にすれば証拠隠滅でお大尽様で万々歳だ?
出し惜しみ無しに「魔纏」して纏い捲くって全部乗せな豪華トッピング状態で躍り込む、どうせこの状態で考えても無駄だ。切り払われた魔物は突き殺され連続突きで前に出れば魔物を後ろから切り飛ばす、うん諦めよう。
何だか分からないままに斬りまくり何だか分からないままに魔物の死体が積まれて行く、きっと魔物さん達も訳が分からないだろう。
自分が何しているか理解できないまま戦うのって結構大変なんだよ? まったく中2で嗜んだ独学殺陣がまさか異世界で大活躍するとは、やってて良かった?
ただしこの意味不明な乱撃は突破されやすい、穴があったから良かったが無かったら追い掛け回さなきゃいけなかったんだよ。なんでおっさんに追い掛け回されてやっと飛んできたら魔物追い掛け回すとかやってられないよ? って言うかおっさんたちが魔物追い掛け回せばすべて解決だったんだよ、だってその為の軍じゃん! 俺関係無いんじゃん! 異世界美少女氾濫ならじゃんじゃん追いかけられてじゃんじゃん追いかけるんだけど氾濫はしないんだろうか? 不足してるんだよ?
魔力不足で万が一に備えて貯めて置きたいから節約すると結局世界樹の杖で殴る事になる、穴から出て来た魔物をボコボコボコボコと殴る。所詮異世界なんて結局は魔物叩きだ、魔物の達人には程遠い。個人的には魔物魔物レボリューションの開発が待たれるところだが待ってる間に全滅しそうだ。
やっと終わりが見えて来て「勝ったな」って言おうと思ったら赤い狼煙が2本追加された、そして続けざまに黒い狼煙が2本、つまり迷宮に氾濫された。どうしても異世界は「ああ」って返事させ無い気らしい。 でももう無駄だよ? 結局オタ莫迦達は間に合わなかった、きっとやるべき事があったんだろう、そして自分でやると決めたんだろう、だから間に合わない。
そして間に合わないから射出した様だ? たまや~って言うか玉って言うかまあ丸いんだよ?
千里眼には2つの迷宮から溢れ出す魔物達の海、大洪水だ。8番9番の迷宮の氾濫、既に外に溢れ出し辺境を目掛けて暴走を始めている。距離が遠い分広範囲な暴走でもう抑え切る事は不可能だ、だけど食べる事なら可能みたいだ? だって無限に広がるぽよぽよの群れ、無限大数の暴食さんに食べきれない物は無いだろう! でも好き嫌いはあるんだよ? Gの群れとかだったら逃げて来そうだ!
まあオタ達は間に合わないと見て何か考えたのだろう、莫迦たちは考えなかっただろう。そして何かを造ろうとして何かが出来てしまったんだろう? それは恐らく長距離弾道スライムさん大砲、それが空中で「分裂」して降り注げば氾濫暴走の2つくらいごちそうさまで終わるに決まってる。
空一面を覆う玉、玉、玉の絨毯爆撃だ、そして爆食だ。
獣人の森で何を食べて来たかは知らないが見事な「分裂」で大地が一面のスライムさん達の大群だ、もう迷宮の魔物の氾濫とか死語なんだよ? あれは迷宮の魔物の踊り食いだ、きっともうスライムさんだけで世界は滅ぼせるんだろう。だって世界ごと食べそうだ。食費が心配だ!
羅神眼の「千里眼」で遠見って言うかよそ見しながら魔物を叩いているがアッチはもう大丈夫みたいだ、きっとあのピンボールみたいに跳ねまわっては階層主だの迷宮王だのをボコっているのが本体のスライムさんなのだろう。大丈夫を超えて迷宮王苛め問題が発生しそうなほどの圧倒的な力の差だ。
これで1番は甲冑委員長さんがいる、あそこが一番深くて大きいがだから何? って言うお話だ。
2番は委員長達が抑えてる、って言うか力を温存しながら殲滅している。指示が有れば他も狙う気だ。
3番は辺境軍が頑張っているって言うか防衛戦なのに包囲殲滅から突撃戦を繰り返している、見なかった事にしよう。
4番は王女っ娘と近衛師団、メイドっ子もお供しているんだろう。苦戦はしながらも的確な指示で戦列を維持し、大物が出れば王女っ娘とメイドっ娘が飛び込んでは一蹴する剣の女王の率いる王国精鋭の軍だ。
6番は今ボコってるんだよ? うん、まだボコボコとおボコり中? だってまだ出て来るんだよ、ここはしょぼいみたいだ。
7番はもうあれはもう別世界の何かだ、あれは甲冑委員長さん達と同じもので底が無いから考えても分からない。あのお姉さんが敵に回れば最強の敵だ、だがこっちに最恐の味方が2人いれば抑えられるはず、押さえちゃうとツイ手が滑って色んな所を押さえて揉んで脱がしそうだがきっと抑えられる! 寧ろ俺の男子高校生的な最狂が抑えられずにあのエロボディーに同調が越えて暴走モードが爆走でスタンピードで男子高校生暴走が大変そうだ!
そして8番9番はもうただの御御馳走で御馳走様だ、無限のぷよぷよに無限に食べられて終るだけのただの御御馳走の群れだ。
もう全部出しきって全部がギリギリで何とかなった、もう素寒貧の空っぽで奥の手どころか手札も隠し札の1枚たりとも残っていない。全て出し尽くした。
なのに5番から赤い狼煙と黒い狼煙、あそこはムリムリ城に一番近い、そしてムリムリ城は今は無人のただの建物だ。もう誰もいないし手札も何も無い。




