全身沫塗れでキャッキャキャッキャ騒いでる泡沫娘達は実は茸汁とは知らないだろう。
57日目 夕方 宿屋 白い変人 女子会
ご飯も待たずにお風呂になだれ込む、あとで訓練するとまたお風呂になるんだけれど兎にも角にもお風呂に入る。
「臭いうえにヌルヌル拘束って最悪だよ?身体もベトベトだけど装備も服もネチョネチョだったよ?」
「あ~、遥君が悪そうな笑顔で「装備のクリーニング 今なら特別ぼったくり価格2,000エレ!」って看板作ってたよ?」
「「「ぼったくる気満々だー!でも頼んじゃう?」」」
だってあの粘液に触りたくない。でも遥君は触りもせずにさくさくと洗浄できる、仕上がりもばっちりだ。でも普段は1,000エレくらいだ、本当に特別価格の特別ぼったくりさんだが多分みんな頼んじゃうだろう。きっととってもとびっきりの悪そうな笑顔をしてる事だろう、目に浮かぶ。
反省会もしながら帰って来たんだけど、問題は沢山有ったんだけど誰も地下を探知していなかったのが敗因だ。甘かった。
「まさか地下から触手さんに襲われるなんてね~?しかも数多過ぎ!」
「すいませんでした、まさか根が反撃して来るなんて想定していませんでした。」
「「「あれは分からないから良いよ!寧ろ根っこに気付いただけ凄いよ!」」」
地中に根を張って魔力を補充して再生していた、だから根を断ちに行ったら地中から根が現れて囲まれ、攻撃を受けて壊滅した。
予見し得ぬ予定外の予想外で崩壊してしまった、また不合格だった。
「でも焼いてたねー?よく考えたら魔法じゃ無ければよかったんだね~。」
「うん、発想が違うんだね~、だって「魔法で焼けないなら油で焼けば良いじゃないの?byMさん」って言ってたし?」
「あ~、Mさんの発想か~、それは無かった!」
いや、Mさんは言って無いからね?それ遥君が言ってるだけだからね?だけど盲点って言うか発想も何も魔法が吸収されるから火魔法も効かない、だから燃やせないって思い込んでいた。あの方法を聞いた事があったにもかかわらず思い出しもしなかった、私達は魔法なんて知らなかった筈なのに。
だから「当たり前に油で燃やした。」って言われてみんな吃驚した、その手があった事に、そして当たり前を忘れていた事に。
でも不合格だったけど評価は高かったみたいだ、だってご褒美が出たんだから!ただし追加は発売待ちだから2~3回しか使えないけど今日は何よりも嬉しい、きっと異世界初だろう。お風呂に入る前に渡されたものは「泡沫ボディソープ」だった、みんな大喜びだ。
もうみんな全身沫塗れでキャッキャキャッキャと騒ぎ捲くっている、凄い泡立ちでお肌がしっとりと滑らかになっていく。これは元の世界の高級品より良い物だ!香りも良いけど肌がしっとりとまるで再生されるかのように生まれ変わったみたいだ……異世界素材満載なんだろう、きっと超高級茸さん配合だ!それを惜しげもなくボディーソープにしちゃったの?一般販売は無理みたいな特製品だった。
ボディーブラシも1人1本つけて貰ってみんな泡沫娘で洗いっこの幸せバスタイムだ、アンジェリカさんもキャッキャと洗い合っているが泡沫ボディソープには驚いていなかったから既に泡沫実戦経験済みだ。きっとジャグジーで泡沫しちゃったに違いない!泡沫だったんだ。
「うわ~お肌ツルツルってこういうのを言うんだね~?初めて実感したよ~。」
「これ物凄い高級品ですよ、多分材料だけでも最高品でそれが錬金で配合されてるんですから。」
「「「ありがたや。ありがたや。」」」
そう、髪までしっとりでお肌は艶やか、みんなの肌が肌理細やかで艶めかしい。凄い即効性だ、触ってみるとこれって赤ちゃん肌って言う位に気持ちいい。
そして洗いっこと触りっこで大騒ぎで大はしゃぎ、反省会で落ち込んでたけどなんか無理矢理元気にされた。また無理矢理に幸せにされちゃった。
「うわっ髪サラサラで艶々ヘアー?このあいだ魔物に雷撃されてパサパサのダメージヘアーだったのにー。」
「なんか自分の肌じゃない肌ざわり、何この気持ち良さ?これが真のツルツルお肌なの!美肌女子さんになる石鹸?」
本当にみんなが綺麗になってる、肌が綺麗になるとこんなに違うんだ。うん可愛いとかが美少女って感じになってる?
「「「このボディーソープは買う!ぼったくられても買う!もうこれじゃ無いと嫌だー!」」」
さてお風呂から上がって訓練と思ってたんだけどこのボディーソープで綺麗になったのに汗をかいたり汚れたりは勿体ないとミーティングをする事になった、課題は私。指揮者だ、指揮者らしく引いた位置で情報分析と索敵に集中して指揮に専念するか、今まで通り前線で戦い情報分析と索敵を中衛に任せるか。このどちらかでスタイルを決めてしまおうと言う話し合い、後者なら指揮系統の2分化も考えてるんだけど作戦行動が複雑化し過ぎるのも不安がある。
全員が意見が決まらないままミーティングをしようと食堂に入るとバーゲン会場だった、これはラフレシアよりも危険な罠だ!だって犯人は迷宮王より悪い笑顔だ、きっとこの笑顔を見た後なら大抵の迷宮王さんはいい人に見えるだろう。だってとっても悪い笑顔だ。
「お待たせのアンクレット販売だよー?私服用の安いのも有るけど装備用は「高速移動」や「回避」の効果付きだよー。そして目玉商品の「お洒落系アイテム袋」だよー、これで私服でも武器が持ち歩き可能で装備だって収納しとけば安心なんだよー?みたいな?だって布袋だとビッチ番長が駄目だしするんだよ?一応今回はメッセンジャータイプとオーソドックスなショルダー系中心だけど全部一品ものだから取ったもん勝ちで奪い合いだああああああああっ……」
遥君は女子の進撃に飲み込まれて消えて行った、でも全部一品もので取ったもん勝ち何て言ったら襲い掛かられるって分かりそうな物なのに。きっと沢山用意したから安心して油断したのだろう、でもたとえどれだけ沢山の在庫があったって一品ものは争奪戦なんだよ?それは女子の前では最も危険な一言だった、既に大襲撃が進行している。そしてその女子達の襲撃の海に遥君は消えていった、且つて魔物の大襲撃を1人で倒した遥君でも女子高生の大襲撃は凌げなかった様だ。SpEが全力発揮されている、それにPoWが上乗せされている。これがラフレシアに出来ていれば勝てただろう、やはり突撃戦こそが必要だったのだ!でもこれは私のなの!先に取ったんだからね!絶対に渡さないんだ、「防御」!
「其れと此れとあれは私のだから取っちゃ駄目ー、もう唾付けちゃう!」
「どっちにするか悩むんだけど手放したらやられる!でも決められない~。」
「その青いのとって!って盗らないで!駄目だから、あ~っ、「跳躍」!」
既にスキル戦に突入した!だが魔法戦になれば不利だ、このまま遥君に行きたいが遥君が女子校生の海に埋まってる。
時々溺れるかのように遥君の手や顔が見えるがすぐに沈んでいく、圧し潰されて揉みくちゃだ。
そして遥君が無いからバーゲン会場内の大襲撃が止まらない、争いは激化して行き遥君は更に押し流されて行く。何処まで行くんだろう?
HPはまだ大丈夫そうだが女子高生たちにもみくちゃにされて精神がやられているのだろう、動揺したまま逃げきれずにそのままもみくちゃに飲み込まれて行く、そして消えていく。あれっ、出て来ない?撃沈した?
あっ出て来た?もがいてる?もう悪い笑顔をしている余裕は無くなったみたいだ。
でも早くお会計してね?遥君が押し流されちゃったら永遠に女子校生大襲撃が止まらないよ?




