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シナリオ1 04馬車の中にて

広大な草原に敷かれた一本の街道。

その街道を走る馬車が一台ある。

馬は軽快に走りこの調子なら目的地には昼前には着く事だろう。


その馬車の中には勿論の事だが乗客が居る。

仕立ての良い服に金属製の軽鎧を身に着け、細剣(レイピア)を腰に吊っている冒険者風の女性。


そして、チェニックとスロップという軽装の旅装をしている少年少女が居る。

双子の兄妹なのか二人の顔はかなり似通っている。


もう一人、服装も良く身なりも整えられており一見して商人の様に見える男性が一人。


最後に、片腕のない袴姿にに手甲足甲をし、反りのある長めの剣を側に立て掛けい居る異彩を放つ青年が一人。

まぁ、コウガだ。



冒険者風の女性は、馬車の中や乗客を見ている。

まるで面白いものを見つけたように、興味深そうに観察している。


双子の兄弟は寝ているのか、とても静かにしている。

寄り添っている様は兄妹仲が良いのか、とても微笑ましい。


商人風の男性は、特に興味がないのか馬車の車窓から外を眺めているようだ。


コウガは船長から貰ったガイドブックをを集中して読んでいるようで、周りの様子は特に気にしていないようだ。

時折「・・・・・・オぉ」やら「名物ハ・・・・・・なルほど」と言う言葉が漏れている。



――――ガタガタッ――――ガタガタッ!――――ガタガタガタ


――――ペラ。――――ペラ。――――ペラ。


スゥ・・・・・・。スゥ・・・・・・。スゥ・・・・・・。



冊子のページが捲れる音と兄妹のものか微かな寝息、其れから車輪の音だけが馬車内に響く。


沈黙に耐えかねたのか、好奇心に勝てなかったのか女性が声を上げる。


「・・・・・・ねぇ、そこの変な服装の貴方。なんだか熱心に読んでいるけれど、何を読んでいるの?」


その言葉にコウガは反応するように顔を上げたが、また直ぐに冊子に顔を戻す。


「無視する事はないでしょ、失礼しちゃわね。そこの皇国風な服装の貴方よ!」


女性はその様子に無視されたと思ったのか、少し声を荒げて青年を指差す。

指差された青年は、ようやく自分が話し掛けられているのだと判り顔を上げる。


「失礼。・・・・・・まさか話シ掛けらレルとは思わなかったノで。不快にさセたならスいまセン。

 それで何でシたか。この冊子が何なのカでしたか?」


「そうそう、なんだか熱心に読んでいるし気になるのよ。

 もう直ぐ目的地には着くだろうし、唯の気晴らしに何か話しましょうよ。」


青年の一応の謝罪に気分を落ち着けたのか女性がそう提案する。

どうにも目的地への到着時間が中途半端な時間になる為、暇を持て余している様だ。


「・・・フム。一通りは読んダし、此方としテも暇を潰せルのはありガたいです。

 こレは、『都市連合国家』の案内図です。

 此方では何て言うンでしたっけ?確か・・・・・・ガ・・・ガイ?」


「・・・・・・・・・ガイドブック?」


「おォ!そうデす、そうでス。大陸の言葉は少し分かりにクくて、一苦労です。」


青年は少し恥ずかしそうにして手に持つ冊子の説明をする。


「一体なんでそんなものを?訪れてちょっと探索すれば判るような物じゃないの?」


その説明に女性は疑問を抱いたようで、その疑問をを口にする。

そんな女性に少しばつが悪そうに


「・・・・・・大陸の人なら問題なイでしょう。しかし、私は『日ノ本』の人間です。

 意外と常識が違ったリする事があルんです。・・・以前それで大変ナ目に合って……。

 だから事前情報ぐラいは得ておこウと思いまして。

 ・・・・・・まぁ、"郷に入っては郷に従え"と言う事です。」


「あぁ、成程ねそういう事なの。確かに異文化っていえなくも無いしね。

 ・・・・・・所で、"郷に入っては郷に従え”ってどういう意味?」


青年の答えに得心言ったのか女性は冊子に付いて納得したようだった。

最も、青年の特殊な言い回しに興味が移っただけかもしれないが。


「あぁ、此方ではこうは言わないノか。

 ・・・えぇっと、”その場に言ったらその場所のしきたりに従うべし”と言う意味です。」




「へぇ~、田舎者の皇国人でも一応の常識もあるんだ。」




青年が女性の質問に答えると、そんな人を小ばかにしたような声が青年に向けられた。

青年が声がした方向に視線を向けると兄弟の内、少年のほうが起きており生意気そうな目を向けている。


「・・・嫌だなぁ気分を害した?そんな事いっても皇国が辺境って事は本当だろ。

 ならそこに暮らす皇国人は田舎者って事だろ。」


青年を更に小ばかにするように少年は言葉を重ねる。

その時、少年の後ろ側から微かな怒気が発せられる。



――――――――――――バシン!



頭を叩く子気味のいい音が上がる。


「いってぇ!?何するんだよ姉さん!」


「痛いも何もないでしょ。初対面の人に失礼な。

 ・・・・・・申し訳ありません、兄が不快に成るような事を言ったようで。

 代わりまして、姉の私が謝罪いたします」


どうやら少女のほうも起きていた様で、少年の失礼な物言いに呆れたような怒った様な反応を見せている。

どうにもしっかり者のようで、青年に対して謝罪をした。


「いヤいや構いまセんよ。・・・・・・事実でモありまスから。」


青年が謝罪を受け入れた事に少女はホッとしたようで微かに胸を撫で下ろした様だ。

だが少年のほうはどうにも受け入れがたいようで


「・・・ほら!こいつも自分で田舎者って言ってるし良いじゃないか!

 姉さんはそうやっていつも僕に暴力を・・・」


と抗議をしている。


「ハハハ、所で話はかなり変わるんだけど貴女たちは兄妹?

 ・・・・・・子供たちだけで旅ってなんだか危険じゃないの?」


少し悪くなった馬車内の空気を変える様に女性は少年少女に質問を投げかける。

少女のほうも気を使ってか女性の話に乗っていく。


「・・・いえ、私たちは【アカデミー】への入学生です。

 推薦を貰いまいまして、今年から御世話になることに成っています。」


「そうなんだよ!推薦を貰えるなんて中々無いんだよ!

 それだけ期待されてるって事だよね!」


少年は胸を張り誇らしそうにしており自慢げだ。

少女の説明に女性は少し驚いたようで


「そうなの!?・・・私もそこの生徒なのよ。

 いや、奇遇ねぇ!こんな所で後輩に合えるなんて

 【アカデミー】であったらよろしくね」


「え!?そうなんですか。

 そのときは是非よろしくお願いします。

 ――――――先輩!」


女性と少女は意気投合したのか若干姦しい位に話が盛り上がっている。

女性は「・・・・・・先輩って、良い響きね」と若干得意げに成っているようだ。


「そう、そうよね。後輩って事は名乗っておいたほうが良いわよね。

 私は リリアンサス=ベイン。リリアで良いわ。


女性――リリア――が名乗る。

すると釣られてか少女と少年も自己紹介をする。


「私は リンネシア=ハル。どうぞリンと呼んでくさい

 それで此方が兄の・・・」


「レオナルドだよ!よろしくね先輩!」


少女――リン――は丁寧に

少年――レオナルド――は元気に名乗っていく。


「うんうん。リンちゃんとレオナルド君ね。

 これからよろしく。困った事があったら是非頼ってね。

 ・・・・・・・・・で」


リリアは二人の様子にしきりに頷いて微笑んでいる。

そして今度は青年の方に顔を向け


「―――貴方は?」


そう青年に尋ねた。


「・・・うむ、こノ流れなら名乗らねばイけませんね。

私は 甲賀三郎―コウガ・サブロウ―とイいます。

まぁ、言い難いでショうから好きに呼んで下さい。」


と青年――サブロウ――は答えた。



「なら田舎者で良いんじゃないか?」



――――――――バシン!



二回目の頭を叩く音が聞こえる。


「まったく兄さんは!すいませんサブロウさん。」


生意気言った兄にすかさず姉からの制裁が入る。


「ふふふ。じゃぁ、サブロウ君ね。

 サブロウ君は何でまた皇国を出てきたの?」


リリアはコウガがなぜ辺境でもある『皇国』から『都市連合』に出てきたのに興味があったのかその理由を尋ねる。


「いや、ちょっとした縁がありまして。とあるギルドの紹介状を頂いたんです。

師匠にも出来る限り世界と言う物を見て回って来いといわれまして。

折角なので厄介になろうかと思いまして、訪れる事にしたんです。」


サブロウは少しばかり過去に思いをはせ、

懐かしそうに自分の目的を話す。


「凄いじゃないギルドの紹介状なんて!普通は貰えるものじゃないわよ。

 よっぽど気に入られたのか認められたのか。

 なら、もしかしたら貴方とも一緒に仕事をする事があるかもしれないわね。

 そうなったらよろしく」


リリアはしきりに感心したように話し、コウガと一緒に冒険するのを楽しみに思っているようだ。


「何だよギルドの紹介状なんて、生意気だな。皇国の田舎者なのに

 僕らより優れているって言うのかよ・・・・・・ブツブツ」




―――――――――そんな時



「「「Whoooooo!?」」」



唐突に獣の咆哮が聞こえてきた。

すると今まで会話に入って居なかった商人風の男性が急に窓から4人のほうに振り向き慌てた様に言った。


「ご、ゴブリンだ!?―――ゴブリンライダーだ!?

 さ、3体も居るぞ!?ヤバイ、追いつかれそうだ!」


青い顔をしてそう叫んだ。

その声に反応してリリアとコウガが窓から様子を確認する。


「ふむ、確かに狼に乗った子鬼が3体。

 ・・・・・・結構早いな。この様子だとじきに追い付かれるじゃろう。」


「そうね、弓術師なんか居れば対処できるんでしょうけど。

 私は遠距離の攻撃方法が無いしね。無事に都市の圏内までは入れるのか祈るしかないかも。

 追い付かれてしまったら、最悪戦闘になるかも」


そんな二人の会話に残された三人は共に青い顔をして


「そんな、ゴブリンライダーのチームって言ったらBランクの討伐対象だろ!?戦闘になったら敵いっこないよ!?」

 

そんな不安と恐怖を綯い交ぜにしたような声を出して怯えていた。


「・・・・・・ふむ、仕方ないの。少し出るぞ。」


そんな様子を確認したコウガはそばに置いておいた剣を持つと馬車のドアを開けた。


「ちょっと如何するの。貴方剣士でしょ?飛び道具なんて無いでしょ。

 まさか降りて応戦するつもり?・・・・・・流石に無謀よ!」


リリアはコウガに詰め寄り問い詰める。

そんな様子にコウガは落ち着いて返答する。


「・・・・・・降りるつもりはありません、流石に置いて行かれるのは困りますから。

 ですが、・・・応戦はします!」


言うが早いかコウガは開け放ったドアの上部を掴み勢いを付けて馬車の屋根に上がって行った。





馬車の屋根に上ったコウガは両足で踏ん張りながら三体の蛮族を見据える。


『ふむ、上手い事バラけながら追従しておるの。

 一番近いのは・・・・・・アヤツか』


三体の内一番近いゴブリンライダーに目をつけると懐に手をいれ目的のものを取り出す。

それは細長い菱形の掌大のナイフを取り出す。


『・・・・・・・・・ふぅ』


そしてもう一度脚の踏ん張りを確かめて息を整える。

目標を見定めて


『―――――――――疾っ!』


投げた。


高速で馬車を追いかける狼は同じく高速で飛んでくるナイフに気付かず、また回避する事は出来なかったのか見事に眉間に突き刺さる。


「Gyhoooooo!?」


狼はバランスを崩し己の騎手を放り出した。

その後何度も転げながらやがて静かになり一鳴きすると静かになり動かなくなった。

騎手のほうは辛うじて生きているようだが、腕が曲がり足は折れているようで起き上がるのが精一杯なようだ。

馬車を追うのは無理そうだが意地なのかゆっくりと追ってくる。


『まぁ・・・良し、先ずは一体。

 次に近いのはどいつじゃろうな』


その様子を確認してからコウガは次の獲物を見定める。

今の投擲を見てか残り2体のゴブリンライダーは距離を離しながら隙を突こうとしている。


『・・・射程の限界一歩手前って所じゃの。

 ―――――――――よし!』


また懐から同形状のナイフを取り出し狙いを定める。

踏ん張り―――投げる!


『―――――――――疾っ!――――ッ!?』



―――――――――――ガタンッ!



その時馬車が大きめの岩を踏んだのか大きく揺れる。

早の上で踏ん張っていたコウガは当然の事くそのバランスを崩す。


『――――おわ!?』


そして、運の悪い事に馬車から落ちてしまう。

地面に叩きつけられる寸前に体を捻り転がりながら着地する事でダメージを減らす事はできた。

だがし、かし高速で走る馬車から落ちてしまった衝撃は大きい。

そのクラーケンと対峙した時の怪我に当たってしまい左手の力が緩み刀を手放してしまう。


「・・・大変!?助けないと

 止めて!馬車を止めて!?」


「・・・無理だ!残った2体のうち1体追ってきている!?

 止まる事なんてできない!」


コウガが落ちた事に気付いたのか、リリアの声が馬車から響く。

しかし無常にも御者は馬車を止めようとしない。

どうやら残ったゴブリンライダーの内、一体が馬車に対し更に追撃しているようだ。





落下したコウガは微かに痛む体を上げ周囲を確認する。


『(―――っイタタ。何とか骨は折れなんだが。

  さて、如何するかの。―――馬車は・・・・・・行ってしもうたか。流石に・・・この状況では怨めんな。

  さてさて、どうやって斬り抜けるか。)』


思考するコウガの対面に一体のゴブリンライダーが迫ってくる。


「Gyhooo!?Gyhooo!?」


狼は牙を?き出しにし、騎手は凶刃を見せびらかす様にゆっくりと迫ってくる。

それはまるでいたぶっている様にも思える。

そんな様子を確認し、軽く息を吐き意識を切り替える。


『・・・・・・・・・ふぅ。

 はてさて、ホンに厄介な事になったの。』


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