0001 深夜営業
最近、都内に引っ越したがいいものの、仕事がきつい。
深夜の2時に上がるなんて当たり前、それから車に乗って、駐車場から歩いて30分。3時半になって、ようやく帰れる。
土日も出勤だし、いいことなんて何一つもない。こんな状態が2ヶ月経っているからもう不思議だ。
ある夜のことである。
車を駐車してから、坂道を歩いていた時の事、何でもないトラックの光が眩く見えた。
気づいた時にはもう遅かった。トラックに衝突したショックで意識を失った。
それからというもの、覚えていない。
考えてみると、胎児になっていた。その時には考えがそこまでなかった。赤ちゃんにそこまでの把握能力が芽生えると思う方がばかだろう。
3才になると、魔法を覚えた。自分にはフリルという名前が付けられていて、でかいお屋敷の中で古風に育てられ、おっぱいから授乳され、それでここは哺乳瓶のない時代だということが分かったとうろ覚えに憶えている。
「フリル、大きくなったね。」
母の名はクレア・ラ・キャンデス。父のエクエ・ラ・キャンデスの第1姫で、母の腕に抱かれたのは3才の時だった。ここから、私は前世の記憶があること。結構大人ぶいてること。伯爵令嬢の第二子であることが分かった。
「ほら、この子が妹だよ。」
除いたのは、シグルース・ラ・キャンデス。クレアの第1子だ。12才だったようで、私を一瞥すると、どこかへ行ってしまった。
そして、今は14才の私は、多忙な父に変わっておつつきメイドのアリスと共に、社交界を巡っている。
兄は24才で妻子ありでもうこの屋敷にはいない。
私はルイーズ伯爵の第二王女で、王家の次男との息子に恋をしていた。
名はシルク王子。王家では四男だ。
流れるような金髪と、いつも子綺麗な服装で現れるその殿方は皆の注目の的だ。
「シルク様がいらっしゃったわ。行きましょう。」
「ええ。」
私は自分に自信がなくてシルク様と話したことがない。お恥ずかしながら。
社交界の女性たちは皆、シルク様と話している。話していないのは自分だけだ。友達からはこういわれる。
「もう心に決まった人がおありで?」
「いえ、そんなことはないのです。」
私は友達にも言えずにいた。ただ一人を除いては。
メーア令嬢が占いのように当ててしまった。
「フリル様、シルク王子のこと好きでしょ?」
実家の庭のティーパーティの時に二人で席を囲んでいた時に言われた。
「何でわかったの。」
「お見通し。何せ私もフリル命だから。フリルの酸素で生きてるから!」
「私はメーアの酸素で生きてないよ。」
よもやこの異世界に酸素の解釈があったとは。
「フリル!そんな気弱なフリルにベストチャンスだよ!この会に参加してみな!」
「ええ、・・・魔法の神秘を知る会?」
魔法って何だ?
14才になるまで聞いたことないぞ!?




