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31 金色カラスの楽しいサポート(ミレッタ視点)


昨日、舞踏会中に騒ぎがあった後、すぐにアーロンに密かに呼び出され私は事件の関係者の話を探ることとなった。




夜遅く帰宅したアーロンに詰め寄り、詳細を確認した。


「アーロン!! どういうことよ!!」



疲れた顔をしたアーロンが私の剣幕に下がっていた肩をさらに下げたことに気づく。

しかし私の勢いは止まることは無かった。



「『アイラが襲われかけた。周辺を探れ』だけ伝えられても心配で心配で!!」


「あの時、俺がミレッタに伝えられるのはあれが限界だったんだよ……」


ソファにどかりと座りながら左手で髪をかき上げながらアーロンが言う。

ちらりとアーロンの左手首から覗くアイラからもらったブレスレットに胸が締め付けられる。



「分かってる……。

ごめんなさい。今のは完全な八つ当たりだわ……。

アーロンも疲れてるのに……」


冷静さを取り戻した私にアーロンが手招きをして自分の座るソファに私を呼ぶ。



大人しくアーロンの隣に座ると優しく私の頭を撫でながら言い聞かせるように話しはじめる。


「ミレッタがアイラを大切にしてる気持ちは分かる。

アイラはもちろん傷1つついてないから安心しろ。

明日アイラに会って確かめてきたらいいから。

俺はこれからまた王宮に向かってジョエル様と事後処理に向かうからミレッタはゆっくり休んでろ」



「な?」と言いながら私の顔を覗き込むアーロンに怒りのあまり急上昇していた気持ちが完全に落ち着いた。



「うん。明日アイラに会ってくるわね。

アーロンも忙しいのにごめんなさい。

わざわざ私に話すために戻って来てくれたんでしょ?」



アーロンの目を見つめながら言うとアーロンは私から離れて片手で顔を覆いながら天を仰ぐ。


それから赤くなった顔を私に向けて言い出す。


「なぁ。頑張ってる俺に褒美をくれないか?」



私はよくわからなかったので簡単に「いいよ」と返事をしてしまった。

アーロンは嬉しそうに頬を染めたまま私をいきなり抱きしめる。



驚きのあまり少しの間、硬直してしまった。


しかしアーロンのぬくもりが伝わってきて緊張で入ってしまっていた力をゆっくりと抜きアーロンに腕を回す。

少しピクリと反応した後、私の髪に埋もれていた顔をアーロンが少しずらし私の耳元でささやく。



「落ち着いたら今後の話をしっかりしような」


私はその言葉に体の抜いていた力がまた入りビクリとしてしまった。

そんな私から体を離し、頭をポンポンと叩いてアーロンは「いってくる」と言って部屋を出て行った。





次の日アイラに何もないことは分かっていた。

しかし、せっかくのドレスと3回目のダンスでの二人の雰囲気を壊されたことに再び憤りを覚えながら公爵邸に向かう。



今日学園をアイラが休むことは聞いていたので私も欠席する事にする。


朝一番でアイラに今日会いに行ってもいいかと連絡するとすぐに「ぜひ」と返事をもらったので、公爵邸にやってきた。


アイラの私室にお邪魔し私は昨日の憤りをぶり返したままアイラに話しかけた。



「せっかくのジョエル様の色をまとったドレスに赤ワインをかけた挙句に!

雰囲気をぶち壊して!! あの女、許せない!!」


私が怒りのあまり声を荒げながら言うとアイラは困ったような顔をして昨日夫人と話した内容を教えてくれた。




そこまで言われてまだわからないのか……。

答えを言ってもいいけど多分それはよくないんだろうな。

でもほとんど答えになってしまうな……。

苦笑いを浮かべながらアイラに向き合う。



「アイラはジョエル様が特別なのね。それは私にとってのアーロンと同じね」


私が言った言葉にアイラは難しい顔をしながら黙りこんだ。

かなりの時間アイラは考え込んでいたので私は出されたお茶をいただきながらゆっくりとアイラを待った。


困ったようにまだ眉間に皺を寄せつつもおずおずとアイラが声を出し始める。



「ミレッタはアーロンが特別なんだよね?

それってこの間アーロンのことを好きって言ってたのと同じ?

同じってことは……。

私はジョエル様が好きってこと?」



明らかに独り言のようで心の声がすべて漏れているアイラ。

かなり困惑していると思い、独り言と分かっていながらも小さく「ええそうね」と微笑み、返事をしてみるだけにとどめてみた。


私の声が届いたのかアイラはビクリと体を揺らして私の方にパッと顔を上げてこちらを見る。

大きく見開かれた目が零れ落ちそうなほどだった。

普段の落ち着いたアイラからは想像できないほどに動揺し始める。



「どっどうしようミレッタ!

私、ジョエル様のことが好きなのに、私は側妃がふさわしい王子妃を選ぶまでの仮の婚約者なのよ!?」



アイラの言葉に今度は私が混乱する。え? どういうこと?


「もしかしてそれは貴族の噂の件かしら?」


「そう! いつもそう噂されているし……。

今まで義務的な事しかやってこなかったし……。

確かに最近、ジョエル様はよく私と一緒にいてくれるけれど……。

今まで本当に……。義務的にしかお会いしてなかったもの……」



自分で言って自分で傷ついているのかどんどん声が小さくなるアイラに苦笑いを浮かべるしかなかった。

そして未だ大きく勘違いを起こしているアイラを諭すように話しかける。



「ねぇアイラ?

噂よりも直接ジョエル様に聞いた方がいいと思うの。

もしアーロンにそんな噂が流れたら私はアーロンに直接確かめるまで噂は信じないわ。

それにアイラは情報収集の任務が多かったと思うのだけれど……。


公爵様たちはその噂を精査して実際現場を確認しない限り、噂だけではカラスに狩りをさせないでしょう?

だからアイラも現場を確認しないといけないと思うのよ。

それは殿下に直接確認することと同じだわ」



なるほど。と考え込むアイラの顔が納得した顔からどんどん悲しそうな顔になる。


この友人がどんどん表情が豊かになっていることに嬉しさがこみあげてくる。

しかし、さすがにアイラが泣きそうな顔になったことで、私はアイラが心配になり「どうしたの?」と聞く。



「もし、ジョエル様に噂を肯定されたときのことを考えると悲しくなってきたの……」


涙を浮かべるほどでもないが、目がウルウルとしてきているアイラにそっと寄り添って肩をなでる。



「大丈夫よ。その時は私とアーロンできっちり制裁をくわえるわ。

もちろん夫人もいっしょにね」


冗談めかしてウインクしながらそう言うとアイラはやっと笑ってくれた。



まぁ。ジョエル様の態度を見ているとそんなことは無いのはわかるが……。


もしそんな事があれば、夫人としっかりジョエル様にお話するけれどね……。



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