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異世界に囚われた僕と囚われてた姫達  作者: TE$TU
倭国第伍魔力研究所での日々
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エピローグ 尾口 鉄郎

 俺達は伽藍堂になった研究所の戦闘課の職員寮一階食堂で今後どう生活していくかの話し合いをしていた。


 僕の前の席に漆、隣にヤタムナヤ、ヤタムナヤの前で漆の隣の席に詩さんが座って、会議何て重い感じではなく、食堂に残された食料品の紅茶を飲みながらなので、お茶会みたいになってしまった。


 如何やら、権藤課長を筆頭に食堂の職員のおばさんすら、ついて行ってしまったらしい。


 いやらしいのは、材料はあれど調理器具などの金属製品は軽い物は全部持って行かれてた。全職員の部屋を見て回ったが、写真や裁縫箱も無かったので随分前から計画はされていたらしい。


 詩さんと漆、俺とヤタムナヤの部屋は手付かずだったのは嬉しかった。

 

 逆鱗に触れないように、と言う考えもあったかもしれないけど。


 現在、残った人間で四人中、俺以外全員女だ。


「まさかこの研究所の大部分の人間が抵抗軍に寝返っていたとは……」


「ま、場所的にも人材的にも最適だったんでしょ? 山に囲まれた形の自然の要塞。電波も駄目。無線も駄目。伝令に昔ながらの方法を使ってるなら、逆に利点になった。見廻り兵を出さなくても原生している動物や猛獣、魔物、魔獣達が十分に代わりになると考えていたんじゃない?


 それにここに居た人達。人数はそこそこ、機械は使えるし、戦う訓練もしてある。職場に不満も多そうだしな?」


「ぐ……! 何も言えんな。私が正にそれだった」


 俺に視線を向けられて、たじろぐが素直に認める漆。


 ちょっと可愛いいとか思った。


「? よく分かんない?」


 ヤタムナヤ、君にとっては数年後の未来の話になるんだからね。しっかり勉強しようね。俺もだけどさ。


「ははは……。ま、まさかヤタムナヤちゃんが姫で、五郎丸さんも姫で、テツローさんは姫を姫じゃなくする人で……?」


 引き笑いをしつつ、僕達の秘密を一気に知って混乱気味の詩さん。


「詩さん。なんかすいません、ヤタムナヤの為に残ってもらっちゃって」


「あ! いえ! 良いんですよ! ヤタムナヤちゃんに先生として教えてあげる事を、まだやり残してますからね!」


「テツロー。うたせんせーのお話って分かりやすいから、楽しいんだよ?」


「へー……」


「ほう……」


 それは楽しみだ。俺も習う事はまだまだあるから、俺も詩さんに習おうかな?


「いや、まぁ、一応教員免許も持ってますし、一通りの事は、やりたいと思います!」


 異世界にも教員免許があるんだ。魔王が日本人だって事がまた一つ証明されたな。学校もあるのだろうか?


「じゃあ、詩さんは俺の国の育児教育大臣ね」


「えええええ!? 何で大臣なんですか!? 免許持ってるだけですよ!? 教育実習はやりましたけど、生徒さんの反応はあんまりでしたよ!?」


「うん、多分それ大っきい胸のせい」


「ひえ!?」


「うん! うたせんせーのおっぱい、やわらかかった!」


「「え?」」


 何それ? 羨ましい。詩さんの漆並みの胸を?


「ヤタムナヤちゃん!? シー! シー!」


 赤面しながら俺達の前でそんな事やってもアレですよ?


「詩さん? ちょっとあっちに行きましょうか?」


 長椅子のある机の方に移動するよう促す。


「ヤタムナヤ、倭国の歴史について教えるから、私とちょっとあっちに行こう」


「? うん。分かった!」


 察した漆はヤタムナヤを別の遠くの机に誘導する。


「はいぃ……」


 詩さん? 別に取って食ったりはしないよ? お話を聞かせてもらうだけだから?


 うん。もーるさんの時みたいな事はもう御免だ。興奮状態の幼女を羽交い締めして糸まみれになるとか、糸が小さい蜘蛛の大群になって襲って来るとか、もう最悪だった。




「なぁんだ! そういう事でしたか!」


「えぇ!! ヤタムナヤちゃんがおっぱいについての常識が欠落していたので、は、恥ずかしかったですが、触らせて、見せてあげました!」


 それを異性の俺に向かって言うのはもっと恥ずかしくないか? いや、まぁ、詩さん一応? 赤面してるけど。


 でも、そうか。ヤタムナヤはお母さんからお乳をもらった事はなさそうだしな。物心ついた時には、既にあの空間に囚われていたんだろう。


「……うん。考えていた事なんですよ。ヤタムナヤの常識の欠落が何処までなのか?」


「え?」


「彼女、大分長い期間、囚われていたみたいで、ってヤタムナヤの世話してくれた貴女に言っても知ってますよね?」


「……はい。彼女をお風呂に入れてあげた時です。もう消えかけていましたが、薄っすらと注射痕のような物が左腕に幾つか。


 過去に性的暴行を受けたような痕跡はありませんでしたが、彼女の年齢なら初潮位来てもおかしくない歳なのに、兆候が見られないんです」


 精神に引っ張られる形で肉体が成長に伴っていない部分があるのか。


 はたまた、その注射痕から打たれた薬が何かの効果を表して、彼女の身体的な二次性徴や精神的な一次性徴を妨げているのか……。


「あの詩さん」


「テ、テツローさん!?」


 詩さんの右手を両手で包み込むように握り、頼む。


「ずっと此処に居てくれませんか? その間、絶対、俺が守りますから」


 ヤタムナヤが懐く人間では、初めて最初から敵対したり、畏怖したりしなかったこの人は、絶対これから先、ヤタムナヤにも俺達にも必要な人だ。


「え、と、その、ふ、不束者ですが、よ、ろしくお願い、し、しまふ」


 え? 何その反応……?


 ……ぶっ!? プロポーズと思われた!?


 やばいっ!? さっきの台詞はどう考えても、そうとしか聞こえない!?


「テツロー? 私と言う上司()が居ながら、もう(次の女)をたらし込んだか」


「首、極めな、がら言、う事じゃ、ない」


「あわわわ……」


 いや、あんた逆セクハラするじゃん? 気がつくと背後に立ってるじゃん? 今も既に立ってるじゃん? さり気なく変形させた左腕を使って、尻撫でるのやめや。


 詩さん、そんな慌てなくても貴女は何もされませんよ。


 出来れば助けてぇ!!


「そ、そう言えば! さっき、俺の国って言いませんでした!?」


 ナイス詩さん! 思いが通じた!


「ん? 確かに、……テツロー、説明」


 何? その亭主関白。「母さん、お茶」みたいなノリ。当たり前のように俺を自分の膝の間に座らせるな。撫でるな。下半身を撫でるな。


「んーまぁ、魔王に対抗するなら此処を俺の私有地。国にして、他の囚われてる姫を解放しながら、魔王の軍とは抵抗軍を戦わせて、その隙に本陣の魔王を倒そう。と」


「テツロー、その間に出る倭国や抵抗軍の犠牲者は?」


「ほっとく」


「で、でも沢山の人が……」


「俺の大切な人を奪ったり、騙したり、蔑んだりする奴らなんか要らない」


 そう言うと、俺は漆と詩さんの二人に無言で挟まれるように抱き締められた。


「ん? 何さ二人とも?」


 抱き締められたまま、ヤタムナヤも飛び込みで参加して、俺は大変、温かい気持ちになった。


 別に二人の大っきい胸が気持ちよかったとかじゃない。


 筈だ。



 家族、か……。




「おいしーよ! テツロー!」


「……負けました。女として、負けました」


「い、良いんだ。私は、男を養う、タイプの女、なんだ。だから、料理で負け、ても良いんだ」


 その後、鎖を変形させて調理道具に、異能の力を使って純度百割の溶岩製のフライパンなどを作って、昼に捕まえて血抜きしておいた野生の鹿みたいな原生動物の肉を使った和風ステーキ、残っていた野菜でそれに合う和風サラダ、小麦粉も有ったのでパンを昼頃に仕込んでおいて、焼いたのを夕食として皆に出したらこうなった。


 昼は非常食みたいな物が残っていたから食べてみたが、ヤタムナヤや俺は不味いと思って一つしか食べなかった。


 漆や詩さんは不思議そうな顔で見つめてきていたが、無理な物は無理なんだ。


 夜雨は料理が出来なかったから自然と俺がやっていたし、一人で生活していたからどうせならと料理を頑張った。


 あれ? なんで異世界まで来て主夫やってんだ?



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